スターシェフ監修の高級フレンチで苦境打破へ

フレンチ界の巨匠が、島根県松江市にある玉造温泉の老舗旅館でその技を伝授した。新型コロナ禍で温泉旅館の経営で苦境に立たされる中、攻めの一手にかける。

現在自身が手掛けるレストラン、ナベノ‐イズムで、ミシュラン東京2つ星を獲得する日本のフレンチ界の巨匠・渡辺雄一郎シェフ。
人は彼のことを「ソースの魔術師」と呼ぶ。

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長生閣 小塩秀行社長:
シェフのみなさんの中ではソースについて右に出る人はいないよねと聞いている、実際にすごいなと

スターシェフ監修のフレンチが味わえるのが、創業1803年、松江市玉湯町にある玉造温泉の老舗旅館・長生閣(ちょうせいかく)。和食メインの旅館で、なぜフレンチなのか。

老舗旅館・長生閣
老舗旅館・長生閣

長生閣 小塩秀行社長:
先陣切って、こういう料理でこういうスタイルで、長生閣は今年やりますよという意思表示

緊急事態宣言の拡大で、玉造温泉では再び休業する旅館が相次ぎ、長生閣もここ2か月の売り上げは、前の年に比べ8割減少している。
苦境の打破へ2月から始めるのが、スターシェフ監修の高級フレンチだ。

渡辺雄一郎シェフ:
一緒に焚いてもよい。すると新しい出汁ができる

2020年10月、長生閣で実際に指導する渡辺雄一郎シェフ。社長と親交があり実現した。

スターシェフがまず始めたのは、山陰食材の発掘、お眼鏡にかなったのが一本釣りで脂が乗った出雲のブランド寒ブリ「大社御縁鰤」と宍道湖のシジミ。

長生閣 佐藤浩料理長:
シジミに生クリームという逆にシジミの出汁が生きる。シジミの出汁から生クリームやバターを使うこと想像していなかった

和食では考えられないフレンチのソースの魔法。シジミの出汁で作るのが「ナージュソース」。フランス語で泳ぐという意味。エゴマを焼き付けたスズキのソテーを泳ぐように添え、島根半島の荒波で育った十六島海苔と共にいただく。

もう一品、大社御縁鰤にもスターシェフ直伝の技が。焦がしバターで香ばしくソテーした大社御縁鰤は、赤ワインベースのソース仕手てに。

スターシェフ直伝の丹念に繰り返される動作。ナージュソースとは対照的、色鮮やかに仕上がった。肝心の味も再現できたのか。

試食した従業員:
ワインの風味残ってる。エゴマのプチプチプチ食感。全く新しい、今までにない

長生閣 佐藤浩料理長:
かなり手ごたえありそう

新型コロナ禍でも選ばれる旅館へ。反転攻勢をかける。

長生閣 小塩秀行社長:
絶えず変化、伝統守ることも必要だが、変わっていくことに抵抗感もつと一挙に陳腐化する

スターシェフ直伝のフレンチは、2月から宿泊プランの和食コースのひと品として提供される。

(TSKさんいん中央テレビ)

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