商店街の活気を取り戻そうと住宅からお弁当まで作る

ダブルワークに副業などコロナ禍の今、様々な働き方をする人が増えている。そうした中で作るのは住宅からお弁当まで。島根県松江市の商店街の活気を取り戻そうと奮闘する女性を追った。

松江市の坪倉菜水さんは一級建築士だ。手に取る木の模型は。

一級建築士 坪倉菜水さん:
これが御野立所と呼ばれる建物で、全国植樹祭で天皇皇后両陛下をお迎えする建物です。島根県が設計コンペをして、採用されて設計を担当させてもらいました

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坪倉さんが設計したのは2021年5月の全国植樹祭で、天皇・皇后両陛下が式典をご覧になる「お野立所」。
そんな坪倉さんは建築に携わって26年のベテラン。6年前に松江市に古くからある天神町で独立開業した。

築70年の古民家をリメイクした事務所には随所に工夫が。なんと室内は3階構造。

一級建築士 坪倉菜水さん:
(階段上りながら…)建築基準法や消防法の関係で使えておらず、階段は撤去してあった。それを申請して使えるようにした

別の会社も入居し、この地区で問題化する空家問題にも役立っていた。

一級建築士 坪倉菜水さん:
古い建物がこれだけ町の中にあるということを可視化できる状態で繋げることが大事

実は坪倉さん、設計士とは別の顔が。

松尾直明記者:
おはようございます

一級建築士 坪倉菜水さん:
おはようございます。きょうはパスタ2種、オードブルなど作ります

事務所で始めたのは弁当作り。周辺に飲食店が少なかったことから地元産の食材を使った弁当屋を2020年8月にオープンさせた。

一級建築士 坪倉菜水さん:
すごくシンプルなものばかり作るんです。レシピを聞かれても、だだ漏れで教えてしまってます

2時間後には、台湾グルメのルーローハンやトマトパスタなど色とりどりのメニューが完成。しかも格安。この日は市の日で300円。(平常時は税込み500円)

弁当に使っている野菜も販売する。また、事務所をちょっとしたカフェとして開放している。憩いの場をつくり挽きたてのコーヒーを150円で提供。

建築士の坪倉さんがなぜここまで…。

一級建築士 坪倉菜水さん:
(商店街の)飲食店や食料品店の不足が課題だった。要るものを足すからできる自信があった。だったら自分がしようと思った。

とにかく忙しい坪倉さん。午後からは建築の打ち合わせ。

ーーこれからはどこに?

一級建築士 坪倉菜水さん:
美容院の現場へ行きます

設計を手掛ける美容院で工事の進捗を確認する。

終わったのは夕方の5時をまわっていた。そんな坪倉さんも、2020年はコロナに翻弄された一年だった。

取引先でコロナの感染者が確認されたことから一時打ち合わせや面談を自粛。弁当屋もストップし、誰とも会えない日々が続いた。そんな中、気づいたことが。

一級建築士 坪倉菜水さん:
直接顧客と会える機会が減って、ZOOMでの打ち合わせが増えた。色や雰囲気を共有すること、よりその人と会うことの大事さを実感した

人と関わることの大切さに改めて気づいた。

一級建築士 坪倉菜水さん:
私がやれることはコツコツ毎日同じことを続けていけば、街が勝手に明るくなっていくと思うので。すごく楽しみにしている

そんな松江市の天神町商店街では、坪倉さんの活動などによって店舗数が年々増加し、2018年度から2年連続で4件増加。明るい兆しも見え始めている。

手掛けるのは家からお弁当、そして商店街まで。坪倉さんの2021年はますます忙しくなりそうだ。

(TSKさんいん中央テレビ)

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