SPをめぐるトリビア
先日、首相官邸の近くに「SP風」の男が表れ、周辺を往き来していた。もちろん不審者なのでホンモノのSPが職務質問したところ、その男は自分が偽者であることを認め、その場を立ち去ったという。
一部にはマニアもいるというSPだが、今回は番外篇としてそのロゴにまつわるトリビアを紹介する。

SPのロゴに隠された?2つの意味
SPが胸に付けるバッジや袖のカフスなどには「SP」のロゴがあしらわれている。
それがこちらだ(下記はコースター)。

実はこのSPのロゴを逆さにするとある漢字に見える、というのをご存じだろうか。

それは「心」。「心を込めて警護対象者をお守りする」、「誠心誠意職務にまい進する」という思いが込められている、などという美しい話で解説されているが、製作者にそこまでの意図があったのかは定かではない。
さらにもうひとつ。ロゴの上下を元に戻してみると、人間のある姿に見えてくるのだ。おわかりだろうか。

正解は「土下座」。右に頭を向け、ひざまずく様子にも見える。日々の業務が辛いことを意味しているのか、政府という権力に服従して行動するという意識の表れなのか。これも諸説あり真相は謎である。
実はこのロゴが入ったグッズは、広く出回ることはなく、普段は警視庁警護課の片隅に鍵をかけられて眠っている。国民に広く周知しても良さそうなものだが、拡散よりも秘匿に重きを置くとはいかにも警察社会らしい。
余談になるがSPがカフスをするのは決してお洒落や趣味ではない。警護対象となる政治家にはカフスを着用する人も多く、何かの拍子に落としたり、失くしてしまった際にすぐに代用してもらうという、極めて現実的な目的のためだという。

米大統領警護のシークレットサービスとの差は?
アメリカのトランプ大統領が来日した際に同行した警護組織・SS(シークレット・サービス)はまさにプロのボディガードだ。数も日本よりはるかに多く、勤務は完全にシフト制、その警護ぶりも「徹底している」(現職SP)という。

対する日本のSPは首都・東京の治安を守る警視庁とはいえ、地方公務員の集団だ。特にトランプ大統領クラスの外国要人が来日する際は、人員の確保、配置で手一杯なのが実情である。
銃社会であるアメリカの要人警護と単純に比較できるわけではないが、お世辞にも良好とはいえない環境下で、国のトップら要人を守るために命を投げ出す彼らの仕事は、傍で見るよりはるかに厳しい任務だと言えるだろう。
大きな盛り上がりを見せているラグビーW杯をはじめ、天皇陛下の即位に伴う式典や東京五輪、大阪万博など、国際的な行事は今後も続く。訪日外国人の増加を経済活性化に繋げるのは政府の大方針でもあるだけに、イベントに参加する要人の安全確保やイベントそのものの成功には、彼らの陰に隠れた、表に出てはいけない活躍が必要だ。
ちなみに現在上映されている、総理大臣を取り上げた映画「記憶にございません」でもSPは随所に登場している。映画と現実には差異があるものの、注目してみるとより楽しめるのではないだろうか。