「地産地消」で料理の移動販売

沖縄で2020年 豚熱が発生し、多くの豚が殺処分された。
追い打ちをかけるように新型コロナウイルスが猛威を振るう中、沖縄市にある喜納農場は農場再建への希望を乗せ、キッチンカーで新たな挑戦を始めている。

かわいらしい豚のキャラクターが目を引くキッチンカー。
コロナ禍で需要が落ち込む県産豚肉を使った料理の移動販売を行っている「Kinner's(キナーズ)」。

キッチンカー「Kinner's」
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喜納農場・喜納忍代表:
(名前の由来は?)私の苗字が喜納で、うちの農場が喜納農場なので。コンセプトは地産地消を創造するというのがテーマで、商品自体も地域のものを使って提供していく

喜納農場の代表を務める喜納忍さん

テイクアウトで、密にならずにおいしい料理が食べられると好評のキナーズ。
中でも人気なのは、県産の豚肉や野菜をふんだんに使った、その名も「ご地創(ごちそう)サンド」。

人気の「ご地創サンド」

沖縄テレビ・稲嶺羊輔アナウンサー:
お肉が香ばしい! これは病みつきになります

購入者:
うまいっす。やっぱり、できたてがすぐ食べられるのが良いですね

「豚熱」で約3000頭全ての豚が殺処分に

「地産地消」を信念に掲げる喜納さんの強い思いの根底には、沖縄の食文化を揺るがした衝撃的な出来事が深く関係している。

玉城デニー知事:
本日、残念ながらCSF・豚コレラの患畜が確認されています

玉城デニー知事の発言

2020年1月、イノシシや豚の伝染病CSF(豚熱)が、沖縄県内で34年ぶりに発生。
喜納農場でも一部の豚が感染し、当時飼育していた3,012頭全ての豚の殺処分を余儀なくされた。

喜納農場・喜納忍代表:
その部屋にいた豚たちを覚えているので、全部。あの時、あそこで移動した子たちがいないなとか。本当にいないんだと思って、まさに(心に)ポッカリ穴があいた

喜納農場で飼育していた豚

失意の中にありながらも、祖父の代から続く農場を絶やしてはならないと再建を誓った喜納さんは、豚熱が発生した「2020年1月」と刻まれたペンダントを肌身離さず身に着けている。

「2020年1月」と刻まれたペンダント

喜納農場・喜納忍代表:
まだ私が3,012頭の豚を犠牲にしてしまったということとは、ちゃんと向き合えていないのが正直なところです。(それでも)いなくなった豚に恥ずかしくないようにいよう、強くあろうと思って

「いなくなった豚に恥ずかしくないように…」

感染予防策を徹底「とにかく再建する」

ーーここからは立ち入り禁止になっているんですね?

喜納農場・喜納忍代表:
はい。ここからは、衛生管理区域内ということで、徹底して人の立ち入りを管理させてもらっています

豚熱の発生後、喜納農場では、これまで以上に徹底した感染予防策を講じている。

感染予防の様子

2020年7月 喜納農場・喜納忍代表:
きのうから豚が来ました。久しぶりに豚さんの顔を見て感無量というか、やっとスタート地点に立てたなと思ってうれしいです

豚熱が収束した現在は、預かった豚を飼育する「預託」に加え、再び豚の繁殖を行うための準備を進めている。

喜納農場・喜納忍代表:
自分たちの豚でいっぱいになるっていうのは、2年半ぐらいかかると思います。とにかく再建する、絶対ここからまたやる

再建を誓う喜納さん

「キッチンカーは私たちの希望」

喜納農場が再建途中のため、キナーズでは、自分たちの豚肉ではなく、県内の生産者や販売店から仕入れたものを使用している。

石川ししや~・平良あゆみさん:
今までの予約とかが一気にゼロになって、だいぶ厳しくなりました。(キナーズからの発注は)とってもありがたいです

喜納農場・喜納忍代表:
コロナの影響とかで豚肉が売れなかったりした時に、私たちだけが売れればいいということじゃないなと

自分たちの豚肉を商品として提供できない状況にもかかわらず、喜納さんがコロナ禍でキッチンカーを始めたのは、地元の生産者と消費者をつなげたいという強い思いがあるからだ。

購入者:
農場で豚を飼っている人たちも苦しい中で、また盛り上げていこうという沖縄ブランドとかですね、こういう形で貢献できたらうれしいなと思いましたね

喜納農場・喜納忍代表:
キッチンカーは、私たちの希望でもあったんです。県内の豚肉を微力ですけど盛り上げて、2年とか2年半後には自分たちのところの豚肉で、うちのお肉でやっとできた、キナーズで提供できるサンドですとやろうねという話で。その日が今の希望であり、楽しみですね

目標を語る喜納さん

(沖縄テレビ)