休校が決まった小学校…ただ一人の在校生

2021年の春からの休校が決まっている小学校。ただ一人の在校生が、記憶にない“ふるさと”を学んでいる。

10月、福島・浪江町の川で遡上(そじょう)するサケを追いかけていたのは、須藤嘉人君(12)。初めて、ふるさとに帰ってきたサケを見た。

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浪江町立津島小学校。福島第一原発事故による避難で、浪江町から約30km離れた二本松市で学校を再開した。
現在、津島小学校に通う児童は、嘉人君ただ一人。
2021年の春からは、休校が決まっている。

津島小学校・須藤嘉人君:
(Q.嘉人君にとって故郷はどこですか?)
(浪江町)津島。生まれた場所が津島だから、故郷は津島だと思います

記憶はなくても…ふるさとを学ぶ授業

震災当時は、2歳だった嘉人君。ふるさと、浪江町で暮らしていた記憶は、ほとんどない。
学校では、嘉人君に浪江町のことを知ってもらおうと、授業として街歩きや、町民と交流するさまざまな機会を設けてきた。

津島小学校・木村裕之校長:
体験したことを経験として生かしていくことができるようになってほしいなと思って、いつもやってます

この日は、郷土料理を学ぶ授業。
避難する住民が講師となり、嘉人君に故郷の味を教える。作るのは、生地にかぼちゃを練り込んだ「かぼちゃまんじゅう」と、サケを使った「紅葉汁」。

浪江町でどのような暮らしが営まれてきたか、1つでも多くのことを嘉人君に伝えたいと考えている。

津島小学校・須藤嘉人君:
話を聞いてもいいですか? 普通のまんじゅうじゃなく、なんでかぼちゃを使うんですか?

講師を務めた今野千代さん:
普通の小麦よりは、かぼちゃの方が栄養あると思う。カロテンって栄養があって、ビタミンも。冬場にはビタミンも不足するべ? かえって、今とれた野菜の方がいいと思って作ったんじゃないかなと思う

講師を務めた今野千代さん:
忘れないでもらいたい。“こんなの食べたな”ってことを。大きくなっても

「知らないことが分かるように…」

学校は、唯一故郷とつながる場所になっている。

津島小学校・須藤嘉人君:
知らないこととか分からないことが、分かるようになるのがいいと思う。覚えて作ってみたいです

津島小学校・木村裕之校長:
一番は、浪江を作っていくような人になれればいいんでしょうけど、そうじゃなくても、浪江出身の人と関わったりとか、浪江の文化に改めて関わった時に、「あの時にやったことだな」って、その引き出しを開けて、(浪江と)つながるとありがたいな、うれしいなって思います

離れていても、嘉人君にとって“ふるさと”は遠い場所ではない。

(福島テレビ)