お正月飾りなどでよく見かける「赤い実」をつける植物ナンテン。縁起物として有名ですが、実はそれ以外にも私たちの生活でさまざまに役立っています。しかし、今年はそんなナンテンが不作に…梅雨から夏にかけての気象が影響を与えていました。

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お正月に大活躍!冬を彩る「ナンテン」

赤い実をつけ冬を彩る植物「ナンテン」がいま見ごろを迎えています。昔から縁起がいいものと言われており、正月飾りや門松などに使用されています。

撮影:あきた森づくり活動サポートセンター
撮影:あきた森づくり活動サポートセンター

ナンテンという名前の由来は「難転」、すなわち「難を転じる」から来ているともいわれています。そのため縁起物として知られ、正月飾りのイメージが強いナンテンですが、実は1年を通して、その時々の美しさを楽しむことができます。

例えば、6月には白くて小さな美しい花を咲かせ、10月になると紅葉も。そして12月に実がなると、お正月に向けて出荷が始まるのです。

縁起物だけじゃない!葉に「防腐作用」

この時期、ナンテンの栽培と出荷が盛んな岐阜県郡上市で作られているのは「南天玉」です。赤い球体はすべてナンテンの実!職人の手作業で作られた「南天玉」は、一カ月もすると赤い実が黒く変わるそう。そのことから「赤字から黒字に代わる」として、商売繁盛の縁起物として店先などに飾られる事が多いそうです。

ナンテンに込められた思いは他にも…。江戸時代には、頻発する火事から家を守るために、「火災よけ」として玄関前に植えられていたそうです。このように縁起物として私たちの生活に根付いてきたナンテンですが、さらに実用的な側面も持ち合わせています。

お赤飯などに添えられた緑の葉。実はこれがナンテンの葉。防腐作用があり、彩りも兼ねておせちやお赤飯などに添えられているのです。

今年は不作に!?原因は長雨&猛暑

そんな縁起物としても、実用的な側面でも大活躍のナンテンですが、今年は不作の年になりそうです。

豊作の年と不作の年で実の付き方に大きな差が出るナンテン。なぜ今年、不作になってしまったのでしょうか?堀園芸株式会社の代表取締役堀宏弐さんによると、考えられる原因は二つ。

まず、梅雨時の長雨です。ナンテンの実がつくには花が咲いて受粉する必要がありますが、6月の長雨で蜂が飛ばなかったり、花粉が破壊されてしまったりした事で、受粉のチャンスが少なくなってしまったそう。二つ目の原因は、夏の猛暑です。花が成長する夏の時期に十分に雨が降らず、栄養が行き届かなかったそう。そのため、今年のナンテンは不作傾向だということです。

お正月の時期に大活躍のナンテン。今年は貴重なものとなるかもしれません。

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(とくダネ!『あまダネ!』12月7日放送)

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