FA権の行使か残留か。悩んだ末にチーム愛が勝った。「やっぱりロッテで優勝したいという思いが強いです。リーグ優勝という、ずっと目標にしてきたことがまだ達成できていない。ロッテの優勝の力になれるように、チームの勝利に貢献していきたいと思います」ロッテ荻野貴司(35)のことだ。

入団してから度重なるケガに泣かされ続けたスピードスターは34歳にしてやっとフルシーズン、大きなケガ無く乗り越え、昨季2019年に初めて規定打席に到達。打率315、10本塁打、28盗塁でベストナインとゴールデングラブ賞をW受賞した。

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今季も開幕から28試合に出場して打率はリーグ2位の333。順調に進んでいたが、7月22日の西武戦で走塁で違和感を覚えたとのことで、3回の守備から途中交代。都内の病院を受診した結果、「右大腿二頭筋の軽い筋損傷」との診断。翌23日に登録抹消となった。

それでも9月25日、荻野はチームに帰ってきた。約2カ月ぶりだ。円陣の中心でシーズン終盤の巻き返しへ掛け声をかけた。

復帰初戦でヒットを放つと、1塁へ全力で駆け抜けた。待ち望んでいたファンはスタジアムでも、SNSでも狂喜乱舞となった。改めてファンから愛されていることを知った。

シーズン終盤の10月28日だった。首位ソフトバンクとの一戦。見せ場は3回に訪れた。1アウト1塁の場面。ランナー荻野は千賀滉大(27)のクイックモーションを盗んで盗塁を仕掛ける。甲斐拓也(28)にとっては送球しやすい外角のストレートだったが、荻野はそれを物ともしなかった。際どいタイミングだったが、今季50盗塁で盗塁王に輝いたセカンド周東佑京(24)のタッチをかいくぐり、セーフ。

35歳になっても衰えぬ走力をリーグ屈指の強肩・甲斐の前で証明することができた。
通算盗塁数220個の意地と貫禄を盗塁王・周東の前で見せることができた。

「振り返ればケガばかり。ただ、足は自分の持ち味。全力で走った結果の事に後悔はしていない」

2012年には右膝を損傷し、浦和球場でリハビリ中の時に、その傷を見せてくれたことを鮮明に覚えている。

走塁で度重なるケガに泣かされ続けた。それでも、荻野は恐れず走り続ける…来季も全力で。

(フジテレビ・加藤忍)