
ユネスコ無形文化遺産への登録を目指す宮崎県の神楽の公演が10月27日、東京都の国立能楽堂で開催された。公演には、国の重要無形民俗文化財に指定された「高鍋神楽」の舞台を一目見ようと、定員約590人に対して例年を大幅に上回る約1500人の応募が寄せられた。宮崎の豊かな伝統文化と熱気あふれる舞台の様子を取材した。
珍しい女性の舞手
国立能楽堂での宮崎県による神楽公演は2016年度から行われており、今回で10回目となる。神楽のユネスコ無形文化遺産登録に向け、宮崎県内の神楽の魅力を全国に発信しているものだ。

会場には、ほぼ満席となる約530人の観客が詰めかけ、国の重要無形民俗文化財に指定された高鍋神楽が披露された。
高鍋神楽は、旧高鍋藩領に伝わる比木神楽、三納代神楽、都農神楽の総称で、6つの神社が輪番で奉納する「六社連合大神事」の形式で伝承されている。

都農神楽の演目「花の手舞」では、紺の舞衣をまとった地元の小中学生や高校生が神楽を舞う。神楽は全国的に男性が舞うことが多い中、女性の舞手が加わる点がこの神楽の特徴だ。公演では、まるで花が咲いたかのような華やかな舞が披露された。
ユニークな翁の舞
舞手が背負われながら登場するという、全国的にも珍しい演目が、比木神楽の「寿の舞」だ。

長寿や幸福、家内安全を願う祈りが込められている。

足取りがおぼつかない舞手の翁は、背負われながら舞台から降りて会場内を回っていく。

そして手に持っている「御幣」で観客の頭をコツン。観客を巻き込んだユーモラスな所作を見せ、客席を大いに沸かせた。
定員2.5倍の1500人が応募
主催した宮崎県によると、今回の公演には定員の2.5倍に相当する約1500人の応募があったという。例年と比べて約500人多く、ユネスコ無形文化遺産登録に向けた社会的な関心の高まりを如実に示した。

東京都内からの観客:
神楽は見たことがなかった。能とは全然違う感じ。おじいちゃんがおんぶされて出てくる神楽が印象的だった。ヨロヨロしているのに飛び乗る時だけめっちゃ元気だった。
東京都内からの観客:
宮崎にも一度神楽を見に行ったことがあります。能楽堂での公演はほぼ毎年来ていますけど、人気があって抽選で外れてしまう時もあるので今年は来られてよかったです。
東京都内からの観客:
とにかく美しい。神々しいところに魅力を感じます。
東京都内からの観客:
神楽を見たのは初めて。紹介してもらった。
宮崎県都城市からの観客:
宮崎からぜひ世界にいってほしいと思います。素晴らしい文化財だと思います。

高鍋神楽保存会 永友丈晴会長:
非常に感無量です。背伸びするつもりはないですけど、今までの神楽をそのまま伝えて、感動とともに勇気・元気を届けられればいいと思います。
宮崎県内では約200の神楽が地域の人々の手によって受け継がれている。
神楽のユネスコ無形文化遺産登録は、2028年12月に実現する見通しだ。登録対象となる国指定の重要無形民俗文化財の神楽は全国で43件あり、宮崎県内からは高鍋神楽や高千穂の夜神楽など全国最多の6件が含まれている。
地方の伝統芸能において後継者不足が課題となる中、首都圏での高い評価や関心は、神楽の確かな継承に向けた大きな後押しとなる。自然や食のみならず、重厚な歴史を持つ地域文化の価値を国内外へ発信する好機として、関係者からの期待が高まっている。
(テレビ宮崎)
