8日、豪雨に見舞われ、床下・床上浸水の被害が458棟に上った名古屋市。
現地を取材すると、一時、床上10センチまで水に浸かった自宅で、家族が片付けに追われていた。
10センチほどの浸水でもフローリングにはカビ…。
消毒液で掃除するが、問題は他にもある。
母(80代):
すごく(床板が)上がってる。フローリング張り替えないとだね。
娘(50代):
火災保険どうなってるって話よ。見ないかんけど、多分切れてる。本当にどうしようですよね。
「保険で賄えるはず」が誤算に
以前の日常を取り戻すまで、一体いくらの費用がかかるのか。
一方、8月13日の千葉豪雨から1カ月。
浸水被害を受けた人たちの実情を追った。

床上浸水30センチの被害にあった家族は思いがけない現実に直面していた。
源さん(71):
床にビニールを…もし水が上がるということになれば、まくり上げて。

家具や家電の下にビニールを敷き、防水できるようにしたという源さん(71)。

食器棚や、冷蔵庫、洗濯機など、1階に置いてあったものは、水に浸かってほぼダメになり、少しずつ買い直しているというが、その費用は…。
源さん(71):
同じもの取り揃えるって言ったらやっぱり150万円ぐらいは。

家具や家電だけでおよそ150万円。頼れるのは、自治体からの支援や保険。
その額は、被害状況によって変わる。

源さん宅は「半壊」と判定されたため、最大75万7000円分の支援や、災害見舞金3万円が受け取れるという。
一方、個人でかけている保険は…。
源さん(71):
一応パンフレットではこう書いてあったもんですから、(風水害の保険に)入ってるんだろうなって。
加入していた保険のパンフレットには、「風水雪害」「最高600万円」という表記。
そのため、源さんは保険金で全額を賄えると思っていたという。
源さん(71):
(被災後に)いざ手続きをしようと思ったら、「それは違います」と。

ここで、思い違いが判明。
水害で「最高600万円」が出るのは、家が全壊するか、流された場合。
源さんの場合、30センチの床上浸水だったため、支払われるのは、「見舞金」の60万円のみだった。
自治体の支援と合わせても、家具や家電を揃える額には及ばない。
その上、さらにのしかかる負担が…。

床下には、緑色のカビがびっしり。
源さん(71):
どうしましょうかね。この先、臭いだとか、カビがどういう風に出てくるかっていうのはちょっと心配ですけどね。
床下浸水 復旧に130万円
床下の修繕、費用はかさみそうだが、実際、どれくらいかかるものなのか。
業者が復旧作業に入った40代夫婦のお宅を訪ねた。
夫(40代):
(千葉豪雨当日)異音がして、床下の収納が持ち上がっていたんです。床下がもう満水になっていたのが見えて…。

2年前に購入。まだ4000万円のローンが残る3階建ての自宅が被害に。

浸水は床上1センチだったものの、床下に水が溜まった。

風呂の残り湯を洗濯機に送るポンプで排水を試みたが、手に負えなかったという。

豪雨被害からおよそ1カ月、専門業者が床下に入った。
水害・漏水の復旧業者「プロドライ」 三木由之社長:
(床下に)断熱材が入ってるんです。それがびしょびしょなので。
見た目は乾いているように見えるけれど、このまま放置すると目地からカビが生えてくる。
今日は撤去します。

浸水した床下を復旧するには、まず、水や泥などを取り除き、除湿機や送風機を数週間あてた後、濡れた断熱材を撤去。
その後、さらに数週間かけて乾燥させ、清掃や消毒を行い、新しい断熱材を入れた上でシロアリ対策。
復旧にはこれだけの工程が必要で、特に時間をかけて乾燥させないと、住宅の強度が低下するなど二次被害の恐れもあるという。
これにかかる費用は…。
夫(40代):
130万円ぐらいだったと…。
重くのしかかる130万円の負担だが、幸い、地震も水害もカバーできる保険に加入していた。
5年でおよそ21万円の保険料を払い、今回、受け取れる見込みだという額は「100万円以上はいただけるんじゃないかなと思う」という。
リフォームに「下手すれば1000万超える」
一方、八千代市では、豪雨の夜、住宅街にとめた車のドライブレコーダーがみるみる上がっていく水位を捉えていた。

そして、車ごと水没してしまった。
この周辺では住宅の1階がほぼ水没したという。
復旧への費用は、想像を超えるものだった。

床上浸水2メートル26センチ。
1階がほぼ水没した住宅では、復旧にどれほどの費用がかかるのか?

夫(40代):
床から水がバーンと上がってきて、天井くらいまで水が来てたと思います。
分電盤も新しくしたんですけど、それが完全に浸かっちゃうぐらいまで水がいったんです。

1階の天井には大きな穴が開いていた。
水に浮いた冷蔵庫の角が刺さったという。
他にも、至るところに残る爪痕。
この日、家を見たリフォーム業者が、コンセントを外すと、ここにも泥が…。

リフォーム業者:
表から見たら全然問題ないように見えますけど、触ってみるとまだ湿っている。カビが発生してくる可能性があります。

フローリングには、すでにカビが点在。
さらに、壁の裏にある石膏ボードや、その奥にある断熱材も水や泥を含んだ状態だった。
リフォーム業者によると、風呂場やキッチンも含め、水没した1階は全面リフォームを検討してもよい状態だという。
リフォーム業者:
理想としては1階部分をスケルトン(骨組み)にしちゃうのが一番。
夫(40代):
まだローン残ってるので…。今の時点でここを売るとなったとしても、現状、買い手なんてつかないだろうというところで、ここを修理して住んでいかなきゃいけないのかなって。
1階を全面リフォームする場合、かかる費用を見積もってもらうと…。
リフォーム業者:
何百万円後半、下手すれば1000万超えてくるのかなと。
夫(40代):
1000万って言われちゃうと…今後の見通しが立たない部分ではありますね。
まさか川とか水辺から離れたところで水害っていう…。

実はこの地域は、市のハザードマップで洪水の浸水想定区域ではない場所。
住人は、水害に対応した保険に入っていなかったという。
では、公的な支援は…。

この家は、「大規模半壊」と判定され、受けられる補助は、最大75万7000円分。
また、家を補修して住み続ける場合の支援金もあるが、その額は150万円。
家電や家具を買い直す必要もあり、とても全面リフォームには踏み切れないという。
夫婦で3人の子供を育てる男性は…。
夫(40代):
ちょっと難しいですね。なかなか、すぐには判断できないです。
しかし、こうした事態は、比較的浅い床上浸水でも起こる可能性があるという。
リフォーム業者:
断熱材自体が長く1枚ものになっているので、結局、壁は壊さなきゃいけないっていう。金額が安くなるわけでもない。

断熱材は壁の奥に、縦長の形で入っていることが多く、下側が濡れただけでも、交換するには壁ごと壊すケースがあるという。
例えば、床上75センチほどの浸水だった家は、壁ごと修繕することになった。
住人(40代):
本当、経済的に予定外。とりあえず壁は変えて、床はちょっと時間たってからでもいいかなと。最低限の状態でいこうかなという感じですね。
マンション地下の配電・給水設備が水没
一方、浸水被害がなくても水害による思わぬ出費がかさむケースもある。

妻(70代):
8月・9月分の年金が全部(水害関係に)いったっていう感じだよね。結構キツイもんね。
70代の夫婦が暮らしているのはマンションの1階。
8月の千葉豪雨で水が地下へ流れ込み、駐車場や、配電・給水設備が水没。
マンション全体が停電と断水に見舞われた。
8月、まだ暑さが厳しい中…
妻(70代):
電気がつかなかったので、夜暑くて寝られないから。うちは年齢高い夫婦だから死んでしまってもね。
そのため、避難した先が…。

妻(70代):
結局、ビジネスホテル(に泊まった)。1日どうしてもとれなくて、モーテルに行ったことがありますよ。この歳でモーテルなんて。でもホテルより全然安かった。

停電は2週間で解消され、夫婦は自宅に戻ったが、現在もマンションの断水は続き、洗濯はコインランドリー。
年金生活の中、宿泊費などを合わせたこの1カ月の出費は…
妻(70代):
20万は出てると思いますね。月々の(年金の)中から20万以上。
住宅自体に被害がない場合、出費をカバーする公的支援や保険はないという。
(「Mr.サンデー」9月20日放送より)

