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身近に潜む“都市型土砂災害”のリスク 擁壁崩壊の見分け方は“複数のヒビ”や“植物が生えているか” 古い時代から残る「二段擁壁」の危険|FNNプライムオンライン
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身近に潜む“都市型土砂災害”のリスク 擁壁崩壊の見分け方は“複数のヒビ”や“植物が生えているか” 古い時代から残る「二段擁壁」の危険

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市街地でも警戒が求められる、思わぬ脅威が「都市型土砂災害」だ。

台風25号が関東に接近した21日、東京・港区では…。

この記事の画像(24枚)

ディレクター:
壁が崩れています。

住宅の裏手に、大量の石や土砂が…。

近隣住民:
ドンドーンっていう音がしたの、なんだろ怖いね~って。

目黒区では、根こそぎ倒れた木や石が、小学校の通学路にもなっている道路になだれ込み、向かいの車を直撃。

鋭利に割れた石が、突き刺さっていた。

近隣住民:
まさかあんなにもろく崩れるっていうの、本当にダダダダダって感じで

近隣住民:
山があるところに起きる話なのかなと思っていたので、こういう都会で、驚きです。

身近に潜む土砂災害のリスク「擁壁の崩壊」

当時、レベル4の土砂災害危険警報が出されていた東京23区。

たとえ近くに山がなくても、身近に潜むリスクとなるのが擁壁の崩壊だ。

擁壁は、住宅などが建つ傾斜のある土地が崩れないよう、土砂をとめておく壁なのだが、目黒区や港区などでは、この擁壁が崩れ落ちたのだ。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
(全国に擁壁は)200万以上はあるって言われてます。1960年代とか高度経済成長期から建ってますので、そういった擁壁がもうかなり老朽化してきてますので。

そう語るのは、擁壁崩壊対策のスペシャリスト、国士舘大学の橋本隆雄特任教授だ。

きのう、崩壊現場を共に見て回ると、擁壁の中でも、注意が必要なものにはいくつかの特徴があった。

まず訪れたのは、16メートルに渡って擁壁が崩壊した目黒区の現場だ。
すると…。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
かけらが、これちょっと落ちてるこれがこういう風な形で、上から落ちちゃったものです。これ大谷石なんですよ 。

小さな穴があり、ザラザラした手触りが特徴の「大谷石(おおやいし)」。

加工しやすく、火に強いことから、高度経済成長期に作られた擁壁に多く使われたというのだが… 。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
これを見ると大谷石がバキバキと割れてますよね(大谷石は)地震とか雨とかによる風化による劣化みたいなのがすごく激しいんです。ですから、かなり脆いですよね。

大谷石が使われている擁壁は、古く、劣化している可能性があるため、注意が必要だという。

さらに、崩れず残った擁壁の中で、橋本特任教授が目をつけたのは… 。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
斜めにクラック(ひび)が入ってる。これはもう領域自体が脆いですから。

よく見ると、積まれた石の境目ではないところに線が…。

こうしたヒビの入った擁壁は要注意だという。しかも…。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
ですから、もう“転倒モード”に入ってる。ここからここ一帯が、全体がこっちに倒れようとしてます。

先ほどのヒビから、4メートルほどの位置にもヒビを確認した。

複数のヒビがある場合、その間が崩れてくる恐れがあるという。

ヒビがなくても“危険の兆候”

また、例えヒビがなかったとしても… 。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
特にこの角のところ、そこは注意しなきゃいけない。宅地の中に降った雨も全部ここに集まってくるんですよ。

そもそも、大雨で擁壁が崩壊する原因は、土砂が大量の雨水を含むことで壁を押し出す圧力が高まってしまうことだ。

下り坂が交わる角地は、より雨水が集まるため、他の場所より、擁壁が崩れる可能性が高いという。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
ところが水抜け穴がどこにもないんですよ。ここら辺は水が染み出てるんですよね。色が違うでしょ。

実際に今回、崩れたのは角からすぐ近くの擁壁だった。

実は、崩壊前の画像を見ると明らかな危険のサインがあると橋本特任教授は指摘する。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
膨らんでくるんですよ。上の方の二段目あたりから亀裂を生じてこう前に出てる。

確かに、擁壁が外に膨らんでいる。

これは土砂からの圧力が高まった証だ。

他にも、石の繋ぎ目のズレなど、変形が見られる擁壁は要注意だという。

さらに、崩壊現場ではない街中の擁壁にも、危険な兆候が見られた。

橋本教授が足を止めたのは高さ5メートルほどもある擁壁だ。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
植栽がいっぱい生えているという形になります。

ディレクター:
どうして危険の兆候なんですか?

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
石の背後には土になってるんですね。植栽が上の方にこういっぱい生えてるってことは水位がもう既にいっぱい高くきてますよという証拠ですね。

特に、植物が高い位置に生えていると、それだけ土砂にたまった水の量が多いと考えられるという。

この擁壁がある新宿区など、自治体によっては擁壁の位置を記した「がけ・擁壁ハザードマップ」があり、植物が生えた擁壁は、確かに「土砂災害警戒区域」に入っていた。

こうしたハザードマップで、事前に確認しておくことも大事だという。

擁壁の上に増設する「二段擁壁」の危険

次に向かったのは、港区の住宅街。

ディレクター:
手作業で石をどけています。

住宅のすぐ裏で擁壁が崩壊。

重機を入れられるスペースがないのか、手作業で撤去を続けていた。

擁壁の前で暮らす住人は… 。

近隣住民:
また雨が降って水がたまったりとかしたら、同じ事が起きるのは時間の問題だと思うので、この裏のところってもう戦前戦中もこのままずっと倒れずにあったので大丈夫かなって思っていたんですけど。

戦前からあるという古い擁壁。

大谷石でできた擁壁の表面を、モルタルで補強したものだというが、橋本特任教授は、あるサインから、危険性が読み取れると指摘した。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
ここから線が見えますよね。

崩れず残った擁壁の中央付近。

真横に、黒い線が浮かび上がっている。

これは一体、何なのか?

この擁壁の成り立ちを確認すると、ここはもともと崖で、擁壁を作り、下に住宅が建てられた。その後… 。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
ひな壇上に盛り土して住宅地を作ってる。ここら辺一帯はですね、全部崖面の上に建ってる。

崖の上にも住宅地を作るために盛り土をし、その分、擁壁を上に重ねる形で増設した「二段擁壁」とみられる。

現在の黒い線は、その隙間から水が染み出ることでできたものだというが… 。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
擁壁の上に乗っけてるだけですので強度が弱いうえに、さらに弱い擁壁を重しのように乗せているので、そういう境にちょうど線が出るんですが、なんら補強してるわけでは決してないので、そこはやっぱりここから落ちるケースが(多い)。これがパタンって(二段擁壁の)上だけ倒れるケースもあります。

この「二段擁壁」の多くは強度が弱く、現在の基準では適合しないという。

しかし、古い時代のものが多く残り、それを見分ける手掛かりが、この横に伸びる黒い線だという。

崩れた擁壁の前に暮らす住人は次のように話す。

擁壁の前で暮らす住人:
ガス漏れがあったので、家に戻るのは危険っていうことだったので、その日は避難して。めちゃめちゃ不自由です。寝てる場所とか変えたりとかしたので。いつまでそうしなきゃいけないのかも分からないので。

擁壁の下では、ガス漏れを起こした家や、建物に歪みが生じた家もあるという。

そうした被害の責任は誰が負うのか?

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
(擁壁崩壊を起こした土地の)それはですねやっぱり所有者なんですよね。土地を買ったから擁壁を知らなかったよって言ってもですね、やはり買った本人になってしまうんですよ。

原則、責任の所在は、擁壁崩壊を起こした土地の所有者だという。

また、擁壁が危険な状態と知らずに家を建て、後から補修が必要になった場合費用は1000万円を超えるケースもある。

国士舘大学理工学部 橋本隆雄特任教授:
ですからそういうときにこれからですけども不動産関係を買う時は、どんな擁壁でどんな健全性を持っているのかぐらいの重要説明事項を(不動産業者に)義務づけるくらいをもうしていかないと、危ない擁壁で買って、崩壊して責任を負わされるってのは、かなりたまったものじゃないんで、そういうことがないようにできたらしてほしいなと思いますね。

経験したことのない大雨が相次ぐ今、身近な擁壁にも注意が必要だ。

(「Mr.サンデー」9月27日放送より)

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