新型護衛艦「FFM」とは

海上自衛隊の「FFM」という新しいタイプの護衛艦の命名・進水式が命名・進水式が11月19日に三井E&S造船玉野艦船工場(岡山・玉野市)で行われ、新造艦は「くまの」と命名された。

進水式が行われた新型護衛艦「くまの」=岡山・玉野市の三井E&S造船玉野艦船工場(海上自衛隊提供)
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「FFM」とは、「フリゲート」を意味する「FF」に、「多用途」=Multipurposeや、「機雷」のMineの頭文字、さらに「掃海」を意味する「M」を加えた艦種記号だ。

実は「くまの」は、FFMの2番艦として建造されたもので、三菱重工業長崎造船所(長崎市)で建造中の1番艦は、ガスタービンエンジンの稼働試験中に脱落した部品をエンジンが吸い込んで壊れてしまい、11月中に予定されていた命名・進水式は遅れている。そのため1番艦より先行する形になった「くまの」は、今後、艤装や性能試験を行い、2022年3月に就役する予定だ。

FFMはステルス性とコンパクト化を実現

「くまの」などFFMがこれまでの護衛艦と大きく異なるのは、その見た目だ。これまでのようにマストやアンテナなどの凹凸は少なく、電波を吸収するセラミック素材で覆うことでレーダーに映りにくいステルス護衛艦となっている。

また、基準排水量の3900トンは、平均5500トンあまりの護衛艦の中ではかなりコンパクトで、定員は90名で汎用護衛艦の半分程度で運用できるようになったことも特徴だ。

「量産型」のため交代制での運用可能で人手不足の解決策に

そして、最大の変化がクルー制の導入である。これは例えば、3隻の護衛艦を4クルーの交代制で運用する、というようなものだ。これまで護衛艦には、「休みでもいつ出航命令が出るか分からず、家族との予定が立てられない」(海自隊員)など、勤務環境がブラック化する問題があった。

しかも「同じタイプの護衛艦でも1番艦と2番艦で計器類などの配置が微妙に異なり、暗い艦内でも配置に慣れるまで時間がかかる」(同上)といった艦特有の課題もあり、1隻の護衛艦を複数のクルーで運用することは難しかった。

しかしFFMは、細かい仕様まで完全に同じ、いわば「量産型護衛艦」なので、複数のクルーが交代で運用しやすくなっているのが特徴だ。

つまり海上自衛隊にとってFFMは、クルー制の導入とコンパクト化によって、「人手不足の解消」と「コスト削減」という一石二鳥を狙えるメリットがある。

海上自衛隊制服組トップの山村浩海上幕僚長は「FFMはコンパクト化、ステルス化、省人化、そして機雷戦の機能等、新しい装備品も備えた船であり、海上自衛隊の夢と希望を託した船だ」と強調した。

山村浩海上幕僚長

任務は増えるのに人が増えないのが悩みの海上自衛隊だが、FFMを将来の主力艦として22隻まで増やす計画で、より効率的な防衛を模索していくことにしている。

(フジテレビ政治部 防衛省担当・伊藤聖)