福岡・田川市の保育園で、10人の保育士が“虐待”といえる不適切な保育をした問題。これまでに園側は8月20日と10月24日の2回、保護者向けの説明会を開いた。
保育士は虐待発覚翌日に懲戒解雇
問題が発覚したのは2025年8月4日。昼休みの時間に園長が、園の防犯カメラ映像を確認した際、20代の女性保育士が受け持つクラスで園児を虐待している姿に気付いたことだった。

そして発覚から2週間が過ぎた8月20日。園側は、1回目の保護者説明会を開き、女性保育士による園児虐待を報告した。

松原保育園の園長の説明によると「たまたま防犯カメラの映像を見た時に『〇×組』の担任が、園児を叩いているような姿が確認された。『えっ!』とびっくりして、事務の先生と防犯カメラ映像を巻き戻したところ複数回、叩いている姿が確認された」という。

さらに「往復ビンタ。物でも叩く。引っ張る。とにかく大きな声で叱責している姿も確認できた。不適切保育というよりか虐待事案」と園長は説明した。

そして「本人にも防犯カメラの映像を見せながら『これどういうこと?』と聞くと『手が出てしまった…』と」。そう保育士は応えたという。

園長は「被害園児が給食を食べている時、食べるのに時間がかかっているような場面でした。口にパンパン入れたまま、お皿を下げないという約束事を破ったから叩いたと聞いています」と説明した。

園側は、問題の女性保育士は、虐待発覚の翌日に懲戒解雇にしたと保護者たちに報告した。

しかし、保護者たちからは、松原保育園に勤務する他の保育士の虐待行為について質問が相次いだ。
「ここの他の先生は気づかないんですか!」
▼保護者(男性)「他の保育士も、そういうことを見たことがあるんですけど」

▼保護者(女性)「今、運動会の練習をやっているじゃないですか。その練習中に結構、引っ張ったりだとか、怒鳴ってる姿の子だとか、結構、耳にはしてきたんですよね。私が、送りに来た時だけでも何回も目にしてるんですよね」

▼保護者(男性)「他の先生もしてる可能性があると言っていたんですけど、もう複数回、確認されたのであれば、ここの先生は気づかないんですか」

次々にマイクが回され、保護者からの質問が続く。これに対して園長は「以前から、そういったことがなかったか、とかいうことも含めて、全職員に聞き取りが今、行われている状況です」と回答。

そして「多くの職員は今回の暴行に、暴行というか叩いたことに関して、非常にショックを受けている状況です。今の時代、大きな声を出すだけでも不適切保育ですし、引っ張るっていうのも完全に不適切保育ですし、現在、防犯カメラ映像を行政にも渡している」と続けた。

この日の保護者説明会で、保育園に勤務する多くの職員がショックを受けたと説明した園側。ところが、その後に行われた県などによる調査の結果、想像を超える悪質な実態が明らかになったのだ。

想像を超える悪質な実態が明らかに
福岡県は10月20日に行った記者会見で「各保育室にカメラがあったので、虐待、不適切保育が行われた事案がないか確認したところ、10名の保育士の事案があったことが確認された」と発表したのだ。

福岡県によると松原保育園では、14人の保育士のうち10人にも及ぶ保育士が、園児を殴ったり、叩いたり、口に食べ物を強引に押し込んだりする身体的な虐待行為を行っていたという。

さらに「頭悪いんか」など、子どもの心を傷つける発言を繰り返していたことが確認できたという。また、こうした問題行為を把握していた他の保育士が、注意や園長への報告をしなかったことも把握していた。

園はこれまでに虐待などが確認された20代の女性保育士2人を懲戒解雇。福岡県と田川市は、松原保育園を運営する『社会福祉法人・松原福祉会』に児童福祉法に基づく改善勧告を出していた。(※前編終了 後編に続く)
(テレビ西日本)
