かつて日本人のがん死亡率ナンバーワンだった「胃がん」。治療の進歩や検診の普及などで死亡者数は減少傾向にある。一方で、実は50代からは患者数、死亡率ともに上昇している。早期発見、早期治療につなげるためのポイントを医師に聞いた。

胃がんが進行するメカニズム
胃がんが進行するメカニズム
この記事の画像(5枚)

胃がんは、胃の内側を覆う粘膜の細胞が悪性腫瘍=がん細胞となる病気のことで、進行するとがん細胞が胃の外へ広がり、ほかの臓器へ転移する可能性がある。

慢性胃炎から胃がんを発症

福井大学医学部附属病院・消化器内科の髙橋和人医師は「胃がんは50歳頃から急に増える」と話す。

胃がんの年齢階級別死亡率
胃がんの年齢階級別死亡率

胃がんの死亡率を年齢別に表したデータでは、50代を境にその数が上昇傾向にあることが分かる。「胃がんの原因はヘリコバクターピロリ菌による感染症だということが分かっている。感染した細菌が慢性胃炎を起こすことで胃がんを発症するのだが、この慢性胃炎が進行して胃がんを発症することが多いのが、50代頃から」と髙橋医師は説明する。また、加齢とともに胃がんの原因となるピロリ菌への感染リスクは高まるという。

胃がんは、症状がある人と全くない人に分かれ「みぞおちの辺りの痛みや不快感、お腹の張りやげっぷ、胸やけといった症状がある。だが、胃がんがかなり進行しても症状が出ないこともある」と髙橋医師。症状が1~2週間と長く続く場合は受診が必要だという。

ピロリ菌の感染を調べるには内視鏡検査を

胃がんの原因となるピロリ菌に感染しているかどうかを発見するために、髙橋医師は「特に50代以上は定期的な検診を受けることが大切」と呼びかける。

胃がん検診
胃がん検診

検診は、個人や企業で行う人間ドックのほかに、市町でも行われている。50歳以上は2年に1度、バリウムを飲んで胃の状態を検査するX線検査か、内視鏡検査(胃カメラ)のどちらか一方を選択して受診することができる。高橋医師によると、ピロリ菌感染の早期発見のため推奨されているのは内視鏡検査だという。進行すると死に至る病気なだけに、無症状の場合はいかに早期発見につなげるかが重要だ。

福井テレビ
福井テレビ

福井の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。