男子バレーアジア選手権予選ラウンド第2戦、日本代表はバーレーンにストレート勝ちを収めた。
3本のサービスエースや15本のスパイク。チーム最多の19得点を挙げた髙橋藍、3本のブロックなど12得点を挙げた石川祐希、好守で存在感を発揮したエバデダン・ラリーの活躍で、6639名の観客を大いに沸かせた。
満員の会場に響くリベロの声
ネーションズリーグで対戦する欧州勢と異なり、「アジアのチームは独特で戦い方が難しい」と多くの選手が口にしたように、初戦のオマーン戦は2セットを連取した後、1セットを取られた。
同じく高さがあるわけではないバーレーンに対し、どのように戦うか。序盤に主導権を握ったのは髙橋のサービスエースだった。
パワーを乗せたジャンプサーブでエースを取った直後に、今度はコート中央にポトリと落とすショートサーブで連続サービスエース。バーレーンの出鼻をくじき、中盤には深津英臣のサーブから小野寺太志が連続得点。
この試合先発出場のリベロ、小川智大がブロック枚数や空いたコースをコールする声も会場に響く中、最高の形で25対15と第1セットを先取し、第2セットも終始リードを得た日本が連取。
第3セットは終盤まで拮抗した展開が続いたが、最後は初戦の反省を生かし「3セットで決めることだけ考えていた」という髙橋の連続スパイクが決まり25対23で制した。
石川「コンディションは上がっている」
五輪がかかり、精神的にもプレッシャーのかかる大会であるだけでなく、10日で最大6試合を戦うアジア選手権は選手にとって身体的負担も大きい。
順当に勝ち進めば、準々決勝から決勝までは3連戦。主将の石川も「正直、3連戦は大変です」と苦笑いを浮かべるほどで、できるだけ失セットを少なく勝ち進み、決勝トーナメントを見据えて上位進出を果たしたいというのが本音でもある。

とはいえ、ただ勝てばいいというのではない。終盤の大事な試合で勝ち切るためには序盤の試合で先を見据えて試すことは試し、手応えを得ることも重要だ。
バーレーン戦の第2セット、まさに象徴的なシーンもあった。
石川とセッター深津と会話しトスを調整
8対3と日本が5点をリードした場面で前衛レフトから石川が放ったスパイクがネットにかかり8対4。日本がリードしている状況に代わりはなかったが、次のラリーでも深津はレフトの石川に上げ、また次のラリーでも石川を使う。
9点目を決めたレフトからのスパイクは、鋭い角度に決まり会心の一本に見えた。
深津は「(ネットにかけたスパイクは)自分のトスが低かったのと、少し割れてしまったので打点を出せなかった」と話し、石川も「打点だけ欲しかったので、もう少し高さを、と話をして(9点目を決めたスパイクは)いい位置で打つことができた」と手応えを示す。

今季はイタリアでのシーズン中に負ったケガの影響や、合宿期間の終盤に首を負傷した石川は全体練習への参加が遅れていたが、「コンディションはかなりいい」と口にするように調子を上げている。
準々決勝以降の爆発力を引き出すためにも、バーレーン戦で得た手応えは、この先にもつながっていくはずだ。
次戦豪州戦は高さと勝負
1日の休息を挟み、8日には予選ラウンド最終戦で世界ランキング44位のオーストラリアと対戦する。
過去の対戦成績は39勝10敗と勝ち越している相手ではあるが、近年は公式戦での対戦がなく、親善試合を除けば22年のネーションズリーグまで遡る。その時は3対1で日本が勝利しているが、これまで対戦したオマーン、バーレーンよりも高さのある選手が揃い、個ではなく組織で戦う総合力も備えている。
イタリアなど欧州リーグで戦う選手も多く、石川は「アジア選手権はいいメンバーが集まっていて力もある」と口にするが、その表情に不安はない。

「彼らの強みはブロック。動きはそれほど速くないですが、経験値も高く、こちらが隙を見せれば突いてくる相手。どちらかと言えば、この2戦(オマーン、バーレーン)は小さいけれどよく跳んでくる相手に対して戦い方が難しかったですが、僕としてはオーストラリアのように高さがあってくれたほうが戦い方のイメージはしやすい。決勝トーナメントで当たるだろうと思われるイランや、中国を見据えてもオーストラリアのようなチームと戦えるのはいいチャンスだと思っています」
勝利に満足することなく、その次、さらに先につなげる戦いで自信をつける。次戦は準々決勝へ向け、またひとつギアが上がる試合となりそうだ。
【執筆:フリーランスライター 田中夕子】

