高知県須崎市にある、地形上穏やかな浦ノ内湾。ここで今、養殖業を営む人々を震撼させる出来事が起きている。3月9日、湾内のいけすで飼育されていたブリやマダイが、突如として大量に死亡しているのが見つかった。
「ほぼ全滅に近い」というその状況。一体、浦ノ内湾では何が起きているのだろうか。
《3月12日放送のニュース映像》*被害は3月12日時点のもの
「ほぼ全滅」 突然訪れた海の異変
発見したのは、海洋の調査や研究を行う「高知県水産試験場」の職員だった。彼らが試験場のいけすで実験用に飼っていたブリを見に行くと、ほとんどすべての魚が死んでいたという。
「こちらにはブリが泳いでいましたが、今は死んでしまい一匹も泳いでいない状況です」
取材をしたアナウンサーが、その衝撃を物語る。水産試験場だけの問題ではなかった。地元の養殖業者からも「魚が死んでいる」「調子が悪い」といった連絡が相次ぎ、被害は湾内の広い範囲に及んでいることが明らかになった。
見えない犯人 異例の春先の大量死
高知県が調査を行ったところ、3月16日時点で、マダイを中心に3万5221匹もの魚が死んでおり、被害額は約3800万円に上ることが判明した。記録が残っている1978年以降で2番目の被害額となり、過去最悪だった2001年の約6000万円に迫る規模となっている。
さらに海中に沈んでいる魚もいるため、被害の全容はまだ明らかになっていない。
最も人々を悩ませているのは、その「原因」が全く分からないことだ。
高知県水産試験場の梶達也課長は、「水の色が、少し白みがかった緑色に見えていたということはある。エサ食いが若干悪いという話もあったけれども、ここまでの被害につながるような明確な兆候というのはなかった」と語る。
今回の調査では、魚類に有害なプランクトンの密度はそれほど高くなかった。逆に、魚に無害とされる別のプランクトンが多く確認されている。しかし、今回の大量死につながっているのかは不明である。
死んだ魚には、赤潮被害で見られる「エラから粘液が出る」という症状があった一方で、海中の酸素量は十分に足りていた。決定的な証拠はなく、春先にこれほど広範囲で大きな被害が出るのは「非常に珍しい」という。
原因究明と海との共生への願い
浦ノ内湾は、地形上海水の流れが悪く、次の大潮まで水が滞留する可能性が高い。県は国の研究機関と連携し、一刻も早い原因究明に取り組むとしている。
梶課長は「いろいろな可能性をしっかり検討してつぶしていって、原因の解明に努めてまいりたい」と強く語っている。
