ロサンゼルス五輪の出場権をかけた男子バレーボール・アジア選手権がいよいよ始まる。
4日の初戦の相手はオマーン。世界ランキングは64位、日本との対戦は2013年のアジア選手権での一度きり、その時はストレートで完勝した相手ではあるが、どんな大会でも初戦は独特の緊張感も伴うもの。
だが会場となる北九州市立総合体育館での前日練習に臨んだ日本代表選手14名は、そんな不安は一切感じさせず、明るい表情でサーブやサーブレシーブ、実戦に見立てたコンビ練習で汗を流した。
威力を増したサーブ “西田流”の練習
日本の武器はいくつもあるが、まずはどんな相手に対してもサーブで攻め、主導権を握るのが鉄則である中、練習でもキレのあるサーブを何本も打っていたのが、オポジットの西田有志だ。
昨シーズンも日本代表登録選手に名を連ねたが、1人の選手としてさらなるレベルアップを目指し、専門家の指導を受け、独自のトレーニングに時間を費やし自らの身体と向き合ってきた。
“トレーニング”と聞けば筋肉へのアプローチで身体をどんどん大きくさせることが目的と捉えられがちだが、西田が取り組んだのは身体の動かし方や身体の構造を原理原則から学び、より無駄のないしなやかな動きをすること。

長い時間をかけて取り組んできた成果はジャンプ力向上にもつながり、スパイクはもちろんだがサーブでも存在感を示した。
「誰が出ても同じ強さを」元同僚が合流
ネーションズリーグからアジア選手権、試合が続く中で国内合宿も実施。精度や質にも向き合い、チームとしての戦い方や形、戦術を確認してきたが、大きな変化も1つある。
ネーションズリーグでは深津英臣とともに選出されたセッターの永露元稀に代わり、アジア選手権は河東祐大が選出されたことだ。
高校時代まではアタッカーだったが、ボールの下に素早く入って両サイドへ上げる伸びやかなトスや、ラリー中にも速攻を使うトスワーク、トスの精度には定評がある。
とはいえ、チームに合流してからの時間は限られているため不安があるようにも見えるが、その面に関しても「練習で準備してきた」とかつてジェイテクトSTINGS愛知でも共にプレーした西田は言う。
「非常にアグレッシブにプレーする選手で、コミュニケーションもしっかり取ってくれる。1つ1つのトスもとても丁寧なので、アタッカーとして難しさはないです。どのタイミングで入ろうと、チーム一丸となって一人ひとりがやっていくだけなので、誰が入っても同じように日本代表の強さを発揮できればと思いますし、この短期間の中でもより素晴らしいものができてくると思っています」

未知なる相手との対戦とはいえ、やることをやるだけ。西田の言葉からも今季最大のターゲットと掲げた大会へ臨む力強さが伝わってきた。
未知の相手に「やるべきことをやりきる」
4日の初戦で対峙するオマーンは、スタッフ陣による分析はすでになされているとはいえ、選手にとっては未知なる相手だ。
3年前の23年、パリ五輪をかけた予選では初戦のフィンランドに2セットを大差で連取してから2セットを奪取され、フルセットの末に勝利を収め、続く2戦目のエジプトには同様の展開でフルセットの末に敗れた苦い記憶も過去にはある。
同じ五輪がかかる大会とはいえ、アジア勢と欧州、アフリカといった違いはあるが、世界ランキングでも大きく上回る相手に対して油断があったわけではない。メンバーチェンジも積極的に行い、日本のブロックに対しても細かく策を練るのではなく、当てて飛ばす。シンプルな戦術を貫いた相手に押し切られた。
何が起こるかわからないのが、五輪予選でもある。だが、苦い経験も重ねて力に変えてきた。そう言わんばかりに西田は確かな自信を見せた。
「映像やデータを見る限り、ボールをコントロールしてここに打つ、と狙ってくるというよりも、大振りしてそれがブロックに当たって得点になる、というイメージが強かった。そうはいっても、アジア選手権に出場するための予選を勝ち抜いたチームでもあるので、相手のペースに合わせるのではなく、自分たちがやるべきことをやる。それが最優先だと思うので、初戦からやるべきことをやりきりたいです」

いざロス五輪へ。男子バレー日本代表の戦いが始まる。

