南海トラフ地震などの大規模災害では、携帯電話基地局の約7割が機能を失うと想定されている。その切り札として期待されるのが、成層圏から広範囲に通信を届ける「空飛ぶ基地局」。アメリカから太平洋を横断した機体で行われた初の実証実験を取材し、災害時の通信確保に向けた最先端技術の実力と課題に迫った。
地震のたびに起きる「通信の問題」
「最初は2、3日ぐらいは全くつながらない状態だった」
7月に発生した熊本地震から1カ月。被災地では今もつめ痕が生々しく残る。
発生当時、携帯電話の電波が遮断された状態だったと振り返る被災者たち。地震のたびに繰り返されるのが、携帯電話などが通じにくくなる「通信」の問題だ。

2024年1月に起きた能登半島地震でも、通信障害が発生した。

携帯大手4社の「支障が出たエリア」などを重ね合わせると、どの携帯もつながらなかったエリアは広い範囲に及んでいた。
「空飛ぶ基地局」の新たな可能性
こうした通信障害の解消を期待される「新たな手段」がある。

格納庫から出てくる巨大な物体。ゆっくりと浮かび上がり、垂直に上昇していく。目的地は1万キロ以上離れた日本だ。
機体は、現地の航空宇宙企業「SCEYE(スカイ)」が開発し、日本のソフトバンクが投資する「空飛ぶ基地局」。携帯の基地局を無人機に乗せ、被災地の上空に長時間滞在させる構想だ。

FNNは去年、アメリカ・ニューメキシコ州でこの機体を日本メディアとして初めて取材した。全長65メートルにも及ぶ。
記者:
近づくと本当に圧倒されます。そして今回は特別に触ってもいいということですので、ちょっと触ってみますが、結構弾力のある素材なんですね。押すと押し返されます。

携帯の基地局を載せるこの機体は、航空機や台風などの雲よりも高い、高度20キロの成層圏で位置をほぼ変えずに、とどまることができる。1機で地上の直径最大200キロのエリアをカバーし、安定した通信を提供できるため、災害の時にいち早く、通信を復旧させることが期待されている。

