突然やってくる災害から、大切なペットを守れるか。2026年の夏は熊本地震が発生し、千葉や北陸でも記録的な豪雨が相次いだ。そんななか、「ペット防災」の重要性が改めて問われている。
しかし、ペットに関する防災対策をしている飼い主はわずか2割。「危ないと思ったら躊躇なくペットを連れて避難する」。仙台を拠点に活動するペット防災についての活動を続けるNPO法人の理事長は、そう力強く訴える。
備えのある飼い主は「2割」という現実

2026年3月、ペット保険専門の保険会社が飼い主1000人を対象に「ペットに関する防災対策をしているか」を調査したところ、「している」と答えたのは全体の2割にとどまった。
飼い主たちに聞いてみると、危機感を感じながらも行動に移せていない実態が見えてくる。
「避難しなきゃいけないときも来るかもしれない。備えたほうがいいのかなとは思う」
「自分たちも(東日本大震災を)経験しているのに、何十年も経っちゃうと忘れて備えがおろそかになる」
頭ではわかっていても、備えは後回しになりがちだ。
東日本大震災が明らかにした「同行避難」の重要性
2002年に仙台で発足したNPO法人エーキューブは、2011年の東日本大震災でも各地の避難所を回り、ペットフードやシーツを配布するなど支援活動を展開した。その経験をもとに、現在もペット防災についての自治体向け講座などを精力的に行っている。
後藤美佐理事長が一貫して訴えるのが「ペット同行避難」の大切さだ。
NPO法人エーキューブ 後藤美佐理事長:
ペットの飼い主はペットを置いて自分だけ逃げることはできません。ペットの命を守ることは、飼い主の命を守ることにもなる。
環境省によると、東日本大震災では一度避難した飼い主がペットを避難させるために自宅に戻り、津波に巻き込まれた事例があった。避難生活のなか、放浪状態となった動物の救護活動が行われるなど、様々な問題も浮き彫りとなった。
こうした教訓を受け、宮城県でも2017年に地域防災計画が修正され、避難所は可能な限りペット同行避難をした人を受け入れる体制を整備するよう記された。
石巻で被災した経験を持つ岩井美和子さんは、「2〜3時間すればおうちに帰れるだろうという感覚で、本当に犬だけ連れて、リードも持たずに」と、当時を振り返る。いざというときに何を持ち出すか、日頃から考えておくことの大切さが改めてわかるエピソードだ。
「安心して避難できる状況」はまだ整っていない
ペット同行避難が制度として整いつつある一方、現場には依然として課題が残る。後藤理事長によると、これまでの災害ではペット同行避難をしても受け入れを拒否されたり、動物アレルギーの人や動物が苦手な人と同じ空間にいることが難しくなったりするケースがあった。猛暑の中、飼い主とペットが屋外のテントで避難を余儀なくされた例もあるという。
NPO法人エーキューブ 後藤美佐理事長:
ペットを連れて避難した人が、安心して避難できる状況をもっとちゃんと確立していかないといけないと強く感じている。
自治体向け講座に参加した人からも「うちの町内会でも防災訓練をやっているが、どうしても人命ばかり考えていて自分もペットを飼っていなくて意識が全くなかった」という声が上がった。
地域ぐるみで意識を変えていく必要がある。
今日から始める「ペット防災グッズ」の備え
避難所ではペットの生活用品は原則として飼い主自身が準備しなければならない。後藤理事長が勧めるグッズは以下のとおりだ。
• ペットフード
開けたら次の新品を買っておく「ローリングストック」をしておくことで、災害時も1カ月程度は持つという。
• 衛生用品
小分けにしたトイレシーツや排泄物を処理する袋など。家が危険で入れない場合に備え、車に常備しておくのも有効だ。
• 折り畳み式ケージ
慣れない環境でのペットの脱走防止とストレス軽減のため、コンパクトに持ち運べるものが便利。目隠しとしての機能も果たし、ペットを安心させる効果がある。
• ペット情報カード
ペットの名前、既往歴、ワクチン接種日などをまとめたカードを防災グッズに同封しておく。
また、マイクロチップをペットに挿入して飼い主情報を読み取れるようにしておくことも、はぐれた際の再会率を高める重要な備えだ。
近所の避難所がペットを受け入れているか確認を

ペット同行避難を受け入れるかどうかは避難所ごとにルールが異なる。仙台市のようにペット同行避難を原則とする自治体でも、避難所ごとに細かいルールが定められている。さらに、宮城県内の自治体のなかにはペット同行避難の受け入れをしていないところもある。
日頃から自分の近隣の避難所の受け入れ状況を確認しておくことが、いざというときの混乱を防ぐ第一歩となる。
NPO法人エーキューブ 後藤美佐理事長:
東日本大震災の時も、家にペットを置いていかざるを得なかった方たちもいらっしゃる。本当に辛い・悲しい思いをされたと思います。自分のペットを守れるのは飼い主しかいないので、そこをしっかり考えて準備していただければ。
大切な家族の一員であるペットを守るための備えは、すぐに始められる。

