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「加害者にも被害者にもなり得る」 好意が憎悪に反転 そしてストーカー行為に… 重大事件を防ぐには〈宮城発〉|FNNプライムオンライン
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「加害者にも被害者にもなり得る」 好意が憎悪に反転 そしてストーカー行為に… 重大事件を防ぐには〈宮城発〉

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2026年8月24日、東京・池袋にある「ポケモンセンターメガトウキョー」が営業を再開した。
5カ月前、アルバイト従業員の女性(当時21)が、元交際相手の男(当時26)に刺殺された事件を受けて休業していた。
男は、自分の首を刺して死亡。事件の前に男は、2025年12月、女性に対するストーカー規制法違反の疑いで逮捕されていた。

東北大学大学院の荒井崇史教授(犯罪心理学)は「誰もが加害者にも被害者にもなり得る」として、行為がエスカレートする前に早期の相談をするよう呼びかけている。
宮城県内ではストーカー関連の相談件数は減少傾向にあるものの、県警は重大事件を未然に防ごうと加害者対策や被害者保護を慎重に進めている。

2025年全国で2万2000件超えの相談 検挙件数は過去最多

“別れたくない”“最後に話し合いたいとメッセージを送ろうかな…”恋人との関係がうまくいかなかった経験を持つ人は、抱いたことのある悩みかもしれない。多くの人が相手に迷惑のかかる行為を踏みとどまる一方で、拒否されているにもかかわらず、つきまとったり、連続して電話やメッセージを送ったりするのがストーカー行為だ。

警察庁によると、2025年の1年間に全国の警察に寄せられたストーカーに関する相談は2万2881件で2017年の2万3079件に次いで過去2番目に多かった。加害者に出した禁止命令等は3037件、ストーカー事案に関する検挙は3717件でいずれも過去最多だった。

宮城県警が配布しているストーカーに関するパンフレット
宮城県警が配布しているストーカーに関するパンフレット
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一方、宮城県警によると、県内で2025年の1年間に寄せられたストーカーに関する相談は597件で、2017年の901件から減少傾向にある。相談者は女性が522人で87%を占めるが、男性からの相談も75件あった。ストーカー行為者は、男性が487人、女性が67人となっていて、 相談者と行為者の関係は、交際相手・夫婦(元を含む)が280人、知人・同僚・その他が233人、不詳が84人だった。

「相手のため」好意が憎悪へ反転する“ストーカー心理”

東北大学大学院 文学研究科 荒井崇史教授
東北大学大学院 文学研究科 荒井崇史教授

犯罪心理学に詳しい東北大学大学院の荒井崇史教授は、生まれながらに異常なストーカー気質を持っていたり、異常な暴力行為に至ったりする人は「稀」だとしたうえで、他の犯罪との性質の違いに「執着心の強さ」を指摘する。

東北大学大学院 文学研究科 荒井崇史教授
「自転車窃盗で、1つの自転車に執着するというのは、あまり考えられない。特殊詐欺でもお金に対する執着はあるかもしれないが、一人の被害者に執着することはあまり考えられない。ただ、ストーカーの場合は特定の対象に対してのみ執着が起きる」

荒井教授は、最も執着心が強く、暴力的な行動に発展しやすいストーカーのタイプとして、「拒絶型」を挙げる。これは、元交際相手など、親密な関係にあった相手との関係が終わったことや、相手から拒絶されたことを受け入れられずストーカー行為に発展するタイプだ。

前述の通り、宮城県警に寄せられる相談の多くは、交際相手や夫婦の間で起きている。この「拒絶型」は、最も危険な事件に発展しやすい傾向がある。

東北大学大学院 文学研究科 荒井崇史教授
「好きな相手から拒絶される経験をすると、その好意が憎悪に反転することがある。満たされない憎悪が拡大していき、つきまといから始まって嫌がらせがエスカレートし、住宅への侵入や暴力、監禁、殺人に至るケースもある」

「元々は自分のものなのに」「自分と対等にお互い好きだったのに、それが満たされない」。
満たされない気持ちが積み重なり、やがて「なぜ自分はこんなに好きなのに、分かってくれないのか」と、好意が憎悪に反転していく。これが、加害者の心理状態として考えられるという。

そして加害者は、自分が感じている不安を合理化し、「相手のためにやっている」とストーカー行為を正当化する。好意が憎悪に反転することに疑問を感じるかもしれない。しかし荒井教授は、一線を超えてしまう明確な境界線はなく、誰もが加害者にも被害者にもなり得ると警鐘を鳴らす。

東北大学大学院 文学研究科 荒井崇史教授
「ストーカーの加害者は、見捨てられ不安や支配欲求が強い場合、執着が止まらないという研究がある。ストーカーをする人もしない人も、同じ人間。見捨てられ不安や支配欲求は誰もが持っていて、その強さが違うといわれている。どのケースがエスカレートするか、100パーセント予測することはできない。違和感を覚えた場合はそのままにせず、警察や行政機関、支援団体などにためらわず相談することが重要」

また、第三者の目線が必要なのは被害者だけでない。加害者側にも、治療やカウンセリングを受けることで重大事件を未然に防ぐケースも増えるが、全国でストーカーの検挙件数が過去最多となった2025年でいえば、警察が働きかけて実際に加害者が治療やカウンセリングを受けたのは全体の1割以下にとどまっているという。
池袋のポケモンセンターで女性が殺害された事件でも、男は事件を起こす前に「周りを巻き込んで死ぬことを考えてしまう」などと話し、カウンセリングの受診も拒否していたという。

「被害者の安全を第一に」重大被害を防ぐ警察の初動対応

宮城県警本部 県民安全対策課 佐藤淳課長補佐
宮城県警本部 県民安全対策課 佐藤淳課長補佐

宮城県内で日々寄せられるストーカー犯罪の捜査にあたる各警察署を束ねるのが、県警本部の県民安全対策課だ。

宮城県警本部 県民安全対策課 佐藤淳課長補佐
「警察ではまず相談を受け、被害者の安全を第一に、被害者の避難や加害者に行為を中止させることを大きな方針としている。重大事件に発展するおそれがあるため、加害者の言動やこれまでの経歴、特性などから“危険性”を判断して対応にあたる」

ストーカー行為は恋愛感情が動機となるため、「自分が犯罪行為を行っている」という自覚がない場合も多い。警察官が加害者に直接、口頭で指導することで収束する事案も少なくないという。一方で、被害者の身に危険が及ぶ場合は、「警告」や「禁止命令」、「逮捕」など、ストーカー規制法に基づき早急に法的措置を講じる。

県警は2025年の1年間で、ストーカー事件関連で60件を検挙し、74件の禁止命令などを出している。一律の対応基準がないため、佐藤課長補佐は対応の難しさを次のように話す。

宮城県警本部 県民安全対策課 佐藤淳課長補佐
「被害者と加害者の関係性、それぞれの性格や立場によって危険度が異なる。“危険性”や“迫性性”を正確に判断することは難しい。事態が急展開し、重大な事件に発展する可能性もある」

SNSの投稿からストーカー行為へ 情報発信のリスク

宮城県警察本部
宮城県警察本部

2025年12月、承諾を得ずに紛失防止タグを取り付ける行為も、新たにストーカー行為の禁止対象となった。県警によると、県内では2025年の1年間に、紛失防止タグに関する相談が20件寄せられている。

デジタル技術の発展とともに、ストーカー行為も変化している。近年、特に注意が必要なのがSNSでの情報発信だ。

宮城県警本部 県民安全対策課 佐藤淳課長補佐
「SNSでは行動や生活パターンが分かり、知らないうちに加害者へ情報を与えてしまう可能性がある。SNSの投稿を見てつきまといや押しかけをするケースも増えてきているので、SNSでの情報発信の危険性を自覚してほしい」

ストーカー被害に遭ったら?すぐに相談を

佐藤課長補佐によると、ストーカー犯罪では「仕返しが怖い」などと報復を恐れたり、加害者への同情があったりして、警察による法的措置を望まず、口頭指導だけを求める被害者も多いという。
しかし、被害者の生活を少しずつ追い詰め、ときには重大な犯罪に発展する危険性があるのがストーカー犯罪だ。警察は被害者の意向を聞いたうえで、どのような措置を講じるのが適切か判断するとして、迷わず相談してほしいと呼びかけている。

宮城県警本部 県民安全対策課 佐藤淳課長補佐
「加害者への必要な対応を検討するうえで、被害者の意向を無視することはありません。被害に遭った場合は、迷わず警察に相談してほしい」

宮城県警では、110番通報のほか最寄りの警察署24時間体制で、確実な被害者保護対策が進められるよう、受け入れ態勢を整えている。

相談先:110番通報や最寄りの警察署、警察相談ダイヤル「#9110」

仙台放送
仙台放送

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