住宅街の細い道を、車が歩行者すれすれに追い抜いていく。そんな光景が日常となっている「生活道路」で、9月1日から法定速度が大きく変わった。これまで60キロだった上限が、30キロに引き下げられたのだ。もし30キロの道を60キロ以上で走れば、「一発免停」となる可能性もある。

対象となるのはどんな道路か

生活道路とは、中央線や中央分離帯などのいわゆる"センターライン"がない道路のことを指す。富山市磯部町の市道のように、周囲に住宅が立ち並ぶ細い道がその典型だ。
富山県警交通規制課の安達洋平課長補佐は、「住宅が立ち並ぶ中央線がない生活道路といわれるような道にあたります」と説明する。こうした道路は、県内の全道路のおよそ6割を占めている。

注意が必要なのは、融雪装置が道路の中央に設置されているケースだ。見た目はセンターラインのように見えるが、これは「中央線」ではない。融雪装置が設置された道路であっても、センターラインがなければ生活道路として扱われる。
なぜ今、速度を下げるのか
背景にあるのは、生活道路での交通事故の多さだ。道幅が狭いため、車と歩行者、車と自転車の接触事故が起きやすい環境にある。

安達課長補佐によると、「生活道路での歩行者、自転車の交通事故が車道の幅5.5メートル以上の道路に比べて約1.9倍の結果となっている」という。去年、車道の幅が5.5メートル未満の道路で起きた事故は、5.5メートル以上の道路の1.9倍にのぼった。

県内全体の交通事故は減少傾向にあるが、生活道路での事故件数は高止まりしたままだ。住宅や学校が集まるエリアを縫うように走る道での危険は、依然として解消されていない。
速度と致死率の深刻な関係

さらに重大なのが、速度と致死率の関係だ。歩行者と車の事故において、車の速度が時速30キロを超えると致死率が急激に上昇することがデータで示されている。
安達課長補佐はこう語る。「時速30キロ未満であれば、致死率というものが数値では1%未満だが、これが40キロ以上になってくると倍以上になる。わずか数キロの差が命の生死を分けるという状況」。
違反した場合のペナルティ

9月1日以降、法定速度が30キロとなった生活道路を60キロ以上で走行した場合、速度超過が30キロ以上となるため「一発免停」の対象となる可能性がある。
ただし、標識などによって速度指定がある場合は、その指示に従う必要がある。法定速度はあくまで上限であり、標識による指定がある区間ではその速度が優先される。
地域の道を、もっと安全に

警察は、住宅街や学校の周辺などに多い生活道路では、周囲をよく確認しながら「いつでも止まれる」速度で走行するよう呼びかけている。
子どもが飛び出してくるかもしれない路地、高齢者がゆっくりと歩く住宅街の道。生活道路は、地域に暮らす人々の日常と直結している。法定速度の引き下げは、単なるルール変更ではなく、地域の安全を守るための一歩だ。日々の運転習慣を、今一度見直す機会としたい。
(富山テレビ放送)

