350匹の猫と生活

私たちは、ロンドンから北に鉄道で3時間かかるノースヨークシャー州のある町の一軒家で暮らすティナさんを訪ねた。

ティナさんは保護ネコのシェルターを運営しているのだが、家の中に入れて貰うと、ソファ、そして天井近くにも、ネコ、ネコ、ネコ…何と350匹以上の猫と暮らしているのだという。

ティナさんの元には、猫を保護してほしいとの通報が毎日寄せられている。その数、1日50件以上だ。

ある日通報を受けて現場に向かうと、ケージが放置されていて、その中には猫が入っていた。何者かに捨てられていたようだ。ティナさんは猫を車に乗せて、自宅へと連れ帰った。

こうした捨て猫だけではなく、望まない繁殖で増えすぎた猫を引き取るケースもあるという。

1日のエサ代が6万5000円

多数の猫を引き取って育てているティナさんは今、物価高に苦しめられている。

猫のエサ代は1日当たり日本円で6万5000円、年間では2400万円ほどになる。ティナさんはこうしたエサ代を確保するためにあらゆる物を売ってきた。

これだけあって、わずか9日分
これだけあって、わずか9日分

「全部です。全部。すべてを手放しました。持っているものは全部売りました。もう売るものは何もありません。結婚指輪も、宝石もありません」

エサ代などの飼育コストが物価高によって上がっている事が、多頭飼育崩壊の背景の一つにあるとティナさんは指摘した。

ティナさん:
猫は去勢・避妊していなければ、年に4回出産します。2匹だった猫が、あっという間に20匹になってしまうことがあります

ペットのエサ代や医療費が上がる中、手術代を工面できず、避妊や去勢を先送りにされ、その結果、繁殖が進み、やがて飼育が手に負えなくなってしまうのだとティナさんは指摘した。

ペットの医療費は3年で2倍に

飼い主の負担はどれほど増えているのか?私たちは、ティナさんが保管していたペットに関する請求書を預かり、3年前と今年の費用を比較。医療費がどれほど高くなっているのかを調べた。