サッカーJ2ブラウブリッツ秋田が取り組むのは、サッカーだけではない。2025年5月にスタートした剣道スクール「ブラウブリッツ秋田侍道場」では、23歳の若き指導者が子供たちの育成に力を注いでいる。剣道人口の減少という課題に向き合いながら、競技の魅力と人としての成長を伝え続けている。

サッカークラブが始めた剣道スクール

稽古に励むブラウブリッツ秋田侍道場の門下生たち
稽古に励むブラウブリッツ秋田侍道場の門下生たち
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秋田市の県立武道館で元気な声を響かせる子供たち。

ブラウブリッツ秋田傘下のNPO法人ブラウブリッツ秋田スポーツネットワークが運営する剣道スクール「ブラウブリッツ秋田侍道場」の門下生たちだ。

スクールは、剣道人口の拡大と部活動の地域移行の受け皿づくりを目的に2025年5月に設立された。

現在は小学1年生から中学3年生まで23人が所属し、日々稽古に励んでいる。

「恩返しを」ふるさとに戻った若き指導者

ブラウブリッツ秋田侍道場の代表・高島愛理さん
ブラウブリッツ秋田侍道場の代表・高島愛理さん

スクールの代表を務めるのは、秋田市出身の高島愛理さん(23)。

小学3年生で剣道を始め、強豪・北海道栄高校へ進学。その後、大阪体育大学で腕を磨き、全国大会にも出場した。

大学卒業後の2025年春、「剣道で育ててもらった秋田に恩返しがしたい」との思いから故郷に戻り、指導者の道を選んだ。

高島さんは「こうやって楽しく生きていられるのも、秋田で剣道を始めたことが理由だと思っている。それを秋田県に還元したいと思って子供たちに指導している」と話す。

「失敗を恐れず挑戦してほしい」

高島さんが大切にしているのは、子供たちが前向きな気持ちで挑戦できる環境づくりだ。

稽古では、失敗してもまず挑戦を褒める。技術だけでなく、自ら考え行動する姿勢も育てたいという。

「かえるのがっしょう」を歌いながら打ち込みをする門下生たち
「かえるのがっしょう」を歌いながら打ち込みをする門下生たち

さらに、童謡「かえるのがっしょう」に合わせて打ち込みを行うなど、子供たちが楽しみながら学べる工夫も取り入れている。

「色々な日常の中から剣道は自分のものにできるんだよ、と教えたい。学校生活や家でできるようなことも伝えているので、そこを意識してやっている」と話す高島さん。

剣道を特別なものではなく、日常の延長線上にあるものとして感じてもらおうとしている。

慕われる先生の存在

高島さんの指導は、子供たちにも好評だ。

常に前向きな声をかける高島さんの指導は子供たちにも好評
常に前向きな声をかける高島さんの指導は子供たちにも好評

小学3年生の児童は「先生たちが優しいので、剣道がもっと楽しくなった」と笑顔を見せる。

また中学3年生の生徒は「高島先生は自分が苦手なところを打ってくれて、そこを直そうと思えるので、いい先生だと思う」と語る。

別の生徒も「遠いところからでも思い切ってダイナミックな技を打ってくるところがかっこいい。礼儀正しく基本がしっかりしている剣道をしたい」と憧れの眼差しを向ける。

技術だけでなく、人間性も含めて目標となる存在になっているようだ。

道具の壁を越えて競技の裾野広げる

剣道を始める際の課題の一つが、防具や竹刀など道具の費用だ。初心者が一式を揃えるには3万~5万円ほどかかる。

寄付で集まった防具や竹刀
寄付で集まった防具や竹刀

そこでスクールでは、Jリーグ公式戦の会場で使わなくなった防具や竹刀の寄付を募った。集まった道具は子供たちが活用し、新たな競技人口の獲得につながっている。

高島さんは「剣道を始めるきっかけの難しいところの一つが防具の値段。その心配がなくなって、子供たちみんなが集まった防具を身に着けて剣道をやっている。皆さんのおかげで、いま子供たちが稽古できて、私も指導に携われているのでありがたい」と感謝する。

子供たちとともに成長する道場へ

秋田県剣道連盟によると、県内で昇段した人は2011年度の785人から2025年度は488人に、昇級した人も1052人から579人へと大きく減少している。

こうした状況だからこそ、高島さんは競技の普及と人づくりの両立を目指す。

「子供たちと一緒に成長していきたい」と話す高島さん(右)
「子供たちと一緒に成長していきたい」と話す高島さん(右)

「子供たちが一番。競技としては全国で名前が挙がるような道場にしたい。人間性の面では思いやりの心を持った子供たちになれるように、私も一緒に成長していきたい」と先を見据える高島さん。

サッカークラブから生まれた新たな挑戦。

その先には、剣道を通じて地域の未来を育てようとする若き指導者の真っすぐな思いがあった。

《※高島愛理さんの「高」は「はしご高」》

(秋田テレビ)

秋田テレビ
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