照りつける太陽の下、宮崎県で「第28回全国水産・海洋高等学校カッターレース大会」が開催された。地元・宮崎海洋高等学校カッター部は、強固な結束力を武器に全国から集まった強豪校へ挑んだ。そこには、仲間と共に勝利を目指す高校生たちの熱き姿があった。
14人で1.5トンの艇を操る

宮崎海洋高校をはじめ、多くの水産系の学校が心血を注ぐ部活動が「カッター部」だ。同校のカッター部には、1年生19人、2年生13人、3年生8人の計40人が所属している。

カッターとは、全長9メートル、排水量1.5トンのカッターボートを、船の左側を漕ぐ左舷クルー6人と、右側を漕ぐ右舷クルー6人の計12人がオールを漕ぎ、さらに、号令をかける「艇指揮」と舵を取る「艇長」を合わせた14人が一丸となって速さを競うマリンスポーツだ。

宮崎海洋高校カッター部コーチの高木征教さんは「カッターは海の格闘技」と話す。
高木征教さん:
元々カッターは大型船に搭載されていた救命艇。どんな海でも漕げるのがカッターです。

2026年、宮崎港で開催されるカッターレースの全国大会に向けて、宮崎海洋高校では厳しい練習を続けてきた。

宮崎海洋高校カッター部3年 米滿大翔さん:
きついときもあるけど、全国大会で勝つためには厳しい練習をしないと勝てない。


宮崎海洋高校カッター部2年 服部洸太朗さん:
手や足など、いろんなところの皮が剥けて豆になったりするけど、それでも漕がなきゃいけないから、そこが一番きつい。

宮崎海洋高校カッター部主将 綿島真叶さん:
12人で12本のオールを合わせるので、自分だけ甘えたり、楽をしたりすると、他のクルーに迷惑をかけてしまう。きつい時に1人じゃないと思って我慢することで忍耐力が鍛えられる。クルー全員が近くにいるので、苦しい時に励まし合えるのがカッターの良さだと思う。
寮生活で育まれる絆
夕方6時半。練習を終えた部員たちはそれぞれの自宅へ帰っていく。そんな中、一部の部員は学生寮へ。

現在、13人のカッター部員が学生寮で生活している。部員たちは県内のみならず遠方からも「海を学びたい」という志を持って集まってきた。神奈川県から来た千ヶ﨑悠仁さんは「船があり、施設が充実していてカッター部もあるのでいいなと思った」と話す。
寮では、19:00までに夕食、その後入浴・洗濯等を行い、22:30消灯だ。密なスケジュールの中で、部員たちは多くの時間を共有している。

宮崎海洋高校カッター部3年 甲斐蒼大さん:
1年生の入寮時、カッター部の先輩は1人だけで寂しいなと感じていたけど、今は後輩がいっぱいいて、一緒にお風呂に入ったり、一緒にご飯を食べたりして一緒に過ごしているから、その分、息が合うかなと思う。1、2年生の時は、早く部活終わらないかなって思っていたけど、今はもうちょっとやりたいなと思う。もっと皆と漕ぎたい。
絆を胸に全国大会へ
2026年7月24日~26日「第28回 全国水産・海洋高等学校カッターレース大会」

北海道から鹿児島まで、地区予選を勝ち抜いた14校が宮崎港に集結。競技は往復1000mの回頭レースで行われ、予選、準決勝、決勝が行われた。
宮崎海洋高校は予選第2レースに出場。京都府立海洋高校に敗れ、2位となったが、予選全体で5位の好タイムを記録し、準決勝進出を決めた。

宮崎海洋高校カッター部3年 濵砂孔宇基さん:
みんな緊張してるけど、しっかり合わせて漕げば勝てると思うから、頑張って漕ぎたい。
宮崎海洋高校カッター部主将 綿島真叶さん:
ここまでくるのにいろんなことがあったけど、ここまで頑張ってきてよかった。成果を出して、決勝進出できるように頑張りたい。

準決勝第3レース前、円陣を組んで喝を入れる部員たち。
宮崎海洋高校カッター部主将 綿島真叶さん:
他のチームがどれだけ強いかわからないし、どれだけ速いかもわからないけど、自分たちのチームの漕ぎに自信を持っていこう。

レースは、東京都立大島海洋国際高校、愛知県立三谷水産高校と競い合う。

スタートすると「イチ、ニ、イチ、ニ」と掛け声をかけながら、左舷クルーと右舷クルーが息を合わせて漕いでいく。
レース序盤は3校とも接戦だったが、回頭(500m折り返し)で2艇にリードされてしまう。

レース後半、2艇を必死に追い上げていく。

しかし、宮崎海洋高校は惜しくも準決勝敗退となった。

レースを終えた部員たちにカッターボートの魅力を聞いてみると…
宮崎海洋高校カッター部3年 米滿大翔さん:
チームプレイや助け合いができるところ。
宮崎海洋高校カッター部3年 甲斐蒼大さん:
みんなで12本のオールを合わせて、声を出して、ベストタイム1位を狙っていく、最高の競技。
宮崎海洋高校カッター部主将 綿島真叶さん:
仲間が近くにいるので、きつい時も励ましあえる、1人じゃないと思えるいいスポーツだと思う。
第28回全国水産・海洋高等学校カッターレース大会の結果は、1位「京都府立海洋高校」、2位「愛知県立三谷水産高校」、3位「静岡県立焼津水産高校」だった。

技術だけでなく精神的な結束が求められるカッター競技。目標としていた結果には届かず涙を流す場面もあったが、学生時代に一つの目標に熱中した経験は、彼らにとって何物にも代えがたい財産となったはずだ。共に荒波を乗り越えた仲間との絆を胸に、彼らは次なる航路へと進んでいく。
(テレビ宮崎)

