北陸新幹線の開業を機に、マンションの建設ラッシュが続く福井駅前で、8月からカーシェアの実証実験が始まった。「1人1台」とも言われる車社会の福井では、過去に利用低迷で撤退した経緯もある。今回は新幹線開業を“追い風”にビジネス利用から観光客の移動手段まで「必要な時だけ共有する」という選択肢が福井に根付くのか、可能性を探った。

貸し出しから返却まで無人

今回、実証実験を進めるのは、車とサービスを提供する「オリックス自動車」、駐車スペースとなるコインパーキングを提供する「日本システムバンク」、そしてカーシェアの需要調査を担う「まちづくり福井」の3社だ。

カーシェアの実証実験をする3社
カーシェアの実証実験をする3社
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利用する際はスマートフォンのアプリで予約し、現地ではアプリを操作するだけで開錠できる。登録した免許証を車内の端末にかざすこともできる。貸し出しから返却まですべて無人で完結し、スタッフと顔を合わせる必要はない。

貸し出しから返却まで無人
貸し出しから返却まで無人

料金は15分単位で、ガソリン代・保険料込みで240円から。レンタカーとは違い、必要な時間だけ使えるのが最大の特長だ。

全国では右肩上がりに増加するカーシェア車両
全国では右肩上がりに増加するカーシェア車両

交通エコロジー・モビリティ財団によれば、全国のカーシェア車両はすでに8万5000台を超え、利用会員数は約540万人に達している。ただし、その大半は東京や大阪といった都市部に集中しており、地方への普及はまだ途上にある。

「社用車の代わりにカーシェア」ビジネス需要にも期待

なぜ、いま福井でカーシェアなのか。その背景には、北陸新幹線の開業がある。

福井駅前で進むマンション建設ラッシュ
福井駅前で進むマンション建設ラッシュ

福井駅前では新幹線開業を機に再開発が加速し、オフィスやマンションの建設が相次いでいる。まちなかへの企業や人口の集積が進む一方で、月極駐車場の確保が難しいという声も上がる。

まちづくり福井の松尾大輔社長
まちづくり福井の松尾大輔社長

まちづくり福井の松尾大輔社長は、この状況をビジネスチャンスとみる。「新幹線が来て再開発が進みオフィスの数も増えた。社用車を確保する代わりに、カーシェアをビジネス利用するというニーズがこれからどんどん高まるのではないか」と話す。

ビジネス利用のメリット
ビジネス利用のメリット

松尾社長は、駐車場代や車両の維持費を抑えたい企業にとって、カーシェアは現実的な選択肢になりうるとみている。

「まちなかで十分生活でき、必要な時だけ車で郊外へ」

カーシェアの普及は、単なる移動手段の多様化にとどまらない。まちづくり福井が見据えるのは、人口減少社会における新しい都市のかたちだ。

松尾社長はこう語る。「普段はまちなかで十分生活でき、車が必要な時にはカーシェアを使って郊外へのショッピング、あるいは旅行などにも行けるという環境を準備することが、まちなかに住みやすく、働きやすい環境づくりにもつながる」

まちなか居住のネックとなる車の所有
まちなか居住のネックとなる車の所有

車を所有することは、まちなかへの居住や企業誘致を進める上でネックになりやすい。購入コスト、維持費、そして駐車場の確保——これらの課題をカーシェアで解決し、「車を持たなくても暮らせるまちなか」を実現することで、福井の持続可能なまちづくりにつなげたいという構想だ。

休日には観光客向けの利用も想定している。都市部の人々にとってカーシェアはすでに身近な存在であり、福井を訪れた観光客が、駅から離れた観光地へ向かう際の交通手段として活用してもらうことも視野に入れている。

実証実験から本格導入の可否を判断へ
実証実験から本格導入の可否を判断へ

実証実験は2026年度末まで続けられ、利用状況を検証した上で本格導入の可否が判断される。

「必要な時だけ、みんなで使う」という選択肢が、車社会・福井にどこまで浸透するか、注目sれている。

福井テレビ
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