マイページ
被災地に“温かい食事”を 福井のキッチンカー団体が行政と連携協定 機動力を生かすため情報共有 広がる新しい支援の形|FNNプライムオンライン

被災地に“温かい食事”を 福井のキッチンカー団体が行政と連携協定 機動力を生かすため情報共有 広がる新しい支援の形

Google ニュース プリファードソース

普段は街角で人々の笑顔を生むキッチンカー。しかし、いま注目されているのが、災害でライフラインが絶たれた被災地へ駆けつけ、温かい食事を届ける「移動する炊き出し」としての機能だ。能登半島地震での炊き出し経験から福井県内のキッチンカー事業者でつくる協会は「スムーズに動くには行政との情報共有が必要」として鯖江市と防災協定を締結。年内には県や福井市とも協定を結び、いざという時に迅速に動ける体制を整えている。

「唐揚げならマックス1000食以上」キッチンカーの底力

福井県キッチンカー協会の会長を務める佐々木周我さんのキッチンカー内部には、4層のフライヤーと鉄板が備わっている。「唐揚げだと、マックス1000食以上はできます」

唐揚げだと1000人分は調理できるというキッチンカー
唐揚げだと1000人分は調理できるというキッチンカー
この記事の画像(9枚)

調理はすべてガスで、発電機も搭載しているため、電気や水道といったライフラインが復旧していない被災地でも稼働できる。

ガス設備を完備している
ガス設備を完備している

さらに車内のスペースを活かし、食材だけでなく、依頼があれば物資も積み込んで届けることが可能だという。

“出来立て”の温かい食事を提供できるのが強み
“出来立て”の温かい食事を提供できるのが強み

キッチンカーの最大の強みは、場所を選ばず出来立ての食事を提供できること。自宅や避難所の台所が使えない状況下で、温かい食事を届けられる存在は、被災者にとって大きな支えとなる。

能登半島地震での教訓…受け入れ側は「それどころじゃない」

こうした強みを災害時に確実に発揮するため、県キッチンカー協会は2025年、鯖江市と災害時の支援に関する協定を締結した。

市が「〇〇町に200世帯があるから200食のうどんを持ってきてほしい」といった具体的な情報を提供し、協会はその指示に従って出動する仕組みになっている。

行政から「優先車両」として依頼を受けるため移動がスムーズに
行政から「優先車両」として依頼を受けるため移動がスムーズに

「市から優先車両として要請してもらえるので、一般車両が通れない道でもスムーズに災害地までたどり着ける」と佐々木さんは説明する。

どこに何食が必要か、どの道が通れるか―そうした情報を行政から得られることで、迅速に被災地に駆けつけることができるのだ。

佐々木さんのキッチンカーは能登半島地震で被災地に駆けつけた
佐々木さんのキッチンカーは能登半島地震で被災地に駆けつけた

協定には、炊き出しにかかる費用の一部補助も盛り込まれており、協会側の負担を軽減する配慮もされている。

行政との協定締結に積極的に取り組む背景には、石川県の能登半島地震での経験がある。佐々木さんは当時、キッチンカーで被災地に出向いて炊き出しをしようと石川県や金沢市に問い合わせたところ「ちょっと、いまはそれどころじゃない」という状況だったという。

車両が通れるルートを行政と情報共有
車両が通れるルートを行政と情報共有

「協定を結んでたら“ここに来てほしい”とか、スムーズに行けるルートを共有してもらえていたのでは」と振り返る。

大型のキッチンカーが壊れた道を通れず、逆に通行の妨げになってしまうケースを防ぐためにも、行政との密な情報共有が必要だと佐々木さんは考えた。能登での経験が、行政との協定締結へと動く原動力になったのだ。

食事がつなぐ人と人のコミュニティ

炊き出しの役割は、食事を届けることだけにとどまらない。佐々木さんが能登での活動で印象に残っているのは、仮設住宅の住民同士が食事の場で再会する光景だった。

「穴水の方に行った時に、仮設住宅の方同士が『あー!久しぶり』みたいに交流の場ができたのが、すごく良かった」と話す。

被災者の“心の拠り所”としても期待
被災者の“心の拠り所”としても期待

バラバラになった地域コミュニティが、温かい食事を囲むことで再びつながる。キッチンカーは単なる食事の提供だけではなく、被災者の心の拠り所としての役割も期待されているのだ。

鯖江市との協定を皮切りに、県キッチンカー協会は年内に福井県や福井市とも協定を締結する予定だ。協定の輪が広がることで、より広いエリアで、より迅速な災害支援が可能になる。

災害時のコミュニティーを豊かにするためにも、キッチンカーを災害支援に生かす取り組みが広がっている。

福井テレビ
福井テレビ

福井の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。

  • 1
  • 2
【よく一緒に読まれている記事】
「奇跡の一本松」から始まった15年 被災地を撮り続けたアマチュアカメラマン…“その時しか撮れない”風景で描く復興への軌跡
「奇跡の一本松」から始まった15年 被災地を撮り続けたアマチュアカメラマン…“その時しか撮れない”風景で描く復興への軌跡
関連記事
福井テレビの他の記事
罰当たり…神社の屋根から500キロ分の銅板引き剥がし盗んだか 解体業の男2人を逮捕 時価120万円相当をすでに売却 「身に覚えない」容疑否認
罰当たり…神社の屋根から500キロ分の銅板引き剥がし盗んだか 解体業の男2人を逮捕 時価120万円相当をすでに売却 「身に覚えない」容疑否認
社会
「自分の感情を抑制できなかった」10代女性に複数回、性的暴行した24歳中学校教諭を懲戒免職に 県の聞き取りに一連の行為認める 19日に臨時の校長会
「自分の感情を抑制できなかった」10代女性に複数回、性的暴行した24歳中学校教諭を懲戒免職に 県の聞き取りに一連の行為認める 19日に臨時の校長会
社会
「線引きを注意しなければ…」GI保護制度巡り福井県が研修会 漁業、食品加工関連や市町から100人参加 「足折れのカニは?」農水省に質問相次ぐ
「線引きを注意しなければ…」GI保護制度巡り福井県が研修会 漁業、食品加工関連や市町から100人参加 「足折れのカニは?」農水省に質問相次ぐ
社会
「政府のごまかし」食料品の消費税1%に消費者からも厳しい声 財源は?外食産業への対応は? 残された課題、それぞれの思い
「政府のごまかし」食料品の消費税1%に消費者からも厳しい声 財源は?外食産業への対応は? 残された課題、それぞれの思い
経済
一覧ページへ
×