正副議長ポストを巡る金銭授受疑惑で揺れる福岡県議会が、これまでの方針を一転させ、日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会を設置を表明した。これまで第三者員会設置に反対してきた蔵内勇夫議長だが、相次ぐ批判に追い込まれた格好だ。
方針一転『第三者委員会』設置
福岡県議会の正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑の調査に関し、2026年8月4日夜、突然、蔵内勇夫議長のコメントを記したFAXがTNCに送られてきた。
「専門家と相談し、検討を進めた結果、ようやくベストな形が見出せる道が見えてきました。改めて県民の皆さまにはご報告いたします」。
福岡県議会の金銭授受疑惑をめぐっては、吉松源昭県議と江藤秀之県議が、それぞれ議長と副議長に就任する前、自民党県議団の幹部5人に合わせて約2840万円を支払ったと証言し、当時のやりとりとみられる音声データを公開した。
名指しされた議員の1人、中尾正幸元副議長は、現金受け取りは否定しながらも7月、自ら議員辞職している。
疑惑が発覚した直後から「調査に時間がかかる」という理由で、日弁連のガイドラインに基づいた第三者委員会の設置には否定的だった蔵内議長。
外部の有識者による聞き取り調査を行うとしていたが、8月5日午後開催された主要4会派による非公開の代表者会議で、蔵内議長は、「ずっと我々は、検討を重ねてきたわけだが、法律の問題等々があってハードルが高いという思いがあったが、やっと先般、議会に第三者委員会が設置できる、こういった見解が出された」と第三者委員会の設置理由を説明し、各会派の同意を得たという。
県議会と利害関係のない弁護士で構成される見通しで、調査の詳細は事前に議会側に伝えず、議会側に不利な結果でも公表される。調査には半年以上を要するとの声もあるが、詳細は未定だ。
なぜ、蔵内議長は、急に方針転換したのか?
背景には、服部誠太郎知事や鉄の結束を誇っていた身内の自民党県議団内部にも綻びが見え始めてきたことがある。服部知事は、県職員でつくる『部課長会』による政治資金パーティー券購入など、知事部局の問題について、突然、『第三者委員会』を設置して検証する方針を発表。議会側も同様の対応が望ましいとの考えを表明した。
また、世論の反応に危機感を感じていた自民党の若手議員からも「客観性の高い調査でないと県民は納得しない」と幹部を突き上げる声が高まり、“オール与党”として足並みを揃えてきた他会派からも第三者委員会設置を求める声が噴出し、抑え込むのが難しい状況になっていた。
地震直後の“ビアパーティー”で一変
そんな中、当初の予定を急変させる問題が起きた。7月28日に発生した熊本地震と直後に開かれた松尾統章福岡県議団会長(53)の政治資金パーティーだ。

震度7の地震で、大きな被害と多数の死傷者が報道される中、松尾会長は、地震発生を認識しつつも予定通り酒食を伴う会費1万5千円の『ビアパーティー』を開催した。

多くの批判があるのは承知しているが「やってよかった」と記者団にコメントしたことから、松尾会長のSNSは、全国から厳しいバッシングを浴びて炎上。

身内の自民党県議団内部からも「もはや庇いきれない」との声があがり、8月3日、遂に会長職辞任に追い込まれたのだ。
蔵内議長「ネパールは天国だった」
福岡県議会の一連の問題への対応が急がれる中、肝心の蔵内議長は、自らが会長を務める世界獣医師会の業務でネパールに出張していたという。どうやって事態収拾を図るのか。県議会の各会派が頭を抱える中、8月5日、久々に議会棟に姿を現した蔵内議長は、記者団に「ネパールは天国だった」などと笑顔を見せた。
熊本地震という想定外の緊急事態の発生と県議団幹部の配慮に欠けた言動が蔵内議長の計画を狂わせた格好だが、熊本で多くの被災者が猛暑の中、厳しい避難生活を続けている現状を考えると、全国都道府県議会議長会のトップも務める蔵内議長の発言も、配慮を欠いているのではと指摘する声もあがっている。

議長ポストをめぐる金銭疑惑に加え、“高すぎる”海外視察の問題など、山積する慣例という名の下に今も続く福岡県の『政治とカネ問題』。これから設置される第三者委員会がどこまで解明できるのか?住みやすい街として人気の福岡だが、その闇は深そうだ。
(テレビ西日本)

