少子化が進む中、全国的に都市部を中心に増えているのが、『犬の幼稚園』だ。子犬だけでなく成長した犬も預かる福岡市の“幼稚園”の1日に密着した。

午前7時に“園児”が登園

2025年10月にオープンした福岡市中央区港にある“犬の幼稚園”『アリベデルチようちえん』。仕事などで家を空け、犬に留守番をさせて心配な飼い主や犬の躾が気になる飼い主が主に利用しているという。

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開園してすぐ、“園児”たちが飼い主と共に登園して来る。

愛犬を預けに来た飼い主の女性は、「きょうは6時半くらいまで」と“お迎えの時間”を示す。「仕事で犬の留守番の時間が長いので、週3~4回利用している。とっても助かります」と笑顔で答える。

その後も、次々と愛犬を連れた飼い主達が来園。この日は、10匹が“登園”した。出勤前に保護者が、慌ただしく我が子を幼稚園に預けていく風景と何ら変わらない。

飼い主同伴による従来の躾教室とは異なり、スタッフ全員が、ドッグトレーナーの専門学校を卒業しており、躾だけでなく社会性を身に付けさせるのが、この園の特徴だ。

開園以来、口コミで愛犬家に評判が広がり、日によっては定員に達し、預かりを断らざるを得ない日もあるという。

幼稚園の“先生”はトレーナー

午前10時からは『お勉強の時間』。

「今からトレーニングを1頭ずつマンツーマンでやります」とスタッフが、預かったそれぞれの犬の性格や躾の程度に合わせて個別指導を行っていく。

「キンパおいで!」知らない人に慣れるのが目標のキンパ。“大きな男性”が特に苦手のようだ。

この日も背が高い男性記者の姿を見た途端、すぐに逃げてしまった。

トレーナーの指示に従い、記者が『しゃがんで、おやつを見せる』と、キンパは近寄って全部食べてた。

『しゃがんでオヤツを見せる』とキンパ君も近づく
『しゃがんでオヤツを見せる』とキンパ君も近づく

次に、「オスワリ、オテ、オカワリ」と記者が指示を出す。そして、指示通りできる度にキンパ君を褒めておやつをやると、少しずつ、指示に従ってくれるようになった。

「最初、怖がるのは性格や犬種で仕方がないこともある。仲良くなれる方法を分かっておくことで、家での過ごしやすさが全然違う」と松岡優香トレーナーは話す。

コミュニケーションが取れることが重要で、自宅への来客の場面などで役に立つというのだ。

次は、犬が自由に動き回る『プレイタイム』。犬同士が互いを知る“挨拶の時間”だ。他の犬と触れ、本来、犬に備わっている社会性を育むことで、散歩中の“無駄吠え”が減るという。

「他の犬が苦手だった子が挨拶できるようになったり、過度なストレスや緊張をしない子になる。環境に適応しやすい子になる」と松岡トレーナーが学習効果を説明する。

『クレート』で寝る習慣をつける

午後1時からは『昼食とお昼寝の時間』。

たくさん遊んだ後は、お昼ご飯。そして、お腹がいっぱいになったら、次は『お昼寝タイム』。但し、『犬の幼稚園』ならではのルールがある。それは、『クレート(箱型ハウス)』と言われる狭いスペースで寝ることだ。

松岡トレーナーは、この習慣が非常に重要だと強調する。

「ここにいれば安心できるという場所がクレートになれば、留守番や慣れない場所、旅行や車の中でも落ち着ける場所になる」という。

更には、「避難所では、クレートに入っていないとダメという所が多いので、日頃から慣れておくことで練習になる」と災害時の避難にも役立つのだという。

家での躾にも役立つ“連絡帳”好評

午後2時からは『昼休み』

預かった“園児たち”が休んでいる間に、スタッフも束の間の休息かと思いきや、スマホで“連絡帳”作りに取り掛かる。「きょう1日、どうやって過ごしたか、幼稚園での様子を文章で書いて送っている」と松岡トレーナー。“保護者”にって“我が子”の1日の様子を知ることができる『連絡帳』は重要だ。

また、動画を差し込むことで、家での復習にも繋がるという。

「愛犬に対し、家でのやり方が分からない人も多いので、指示の出し方や接し方など『動画があると真似しやすい』『参考になる』」と好評だという。

犬の幼稚園 料金と預ける理由

そして、『お迎えの時間』。

「福ちゃん、いい子にしてた?」。夕方になりお迎えの時間がやってきた。利用料(コースによる)は、週2日(月8回)で月3万1240円から。

愛犬をこの幼稚園に預けるのには、それぞれの事情がある。

「犬を飼うのが初めてなので、プロにみてもらえるは嬉しい。安心して預けられる」(飼い主Aさん)。「最初よりは全然、落ち着いたし、最近では『お座り』ができるようになった」(飼い主Bさん)。

「ずっと家にいた先住犬が1月に死んでしまって残された犬が淋しいかなと思って…」(飼い主Cさん)

犬の家族化でサービスニーズも変化

今、全国で『犬の幼稚園』が広がる社会背景について、『ヤマザキ動物看護大学』の新島典子教授は、「家の中で家族の一員として犬を飼うようになり、犬が家族化した」と話す。

今後は、人と犬、両者の幸せを追い求めるサービスが広がっていくと分析する。

いかに飼い主と犬との生活が豊かになるか、快適に過ごせるかといったサービスへの期待が、今後は一層強くなっていきそうだ。

(テレビ西日本)