地震による交通網の寸断が続く九州で、人々は代替ルートを模索しながら移動を続けている。九州自動車道のえびのIC(宮崎)から松橋IC(熊本)の区間は依然として通行止め、九州新幹線も鹿児島中央ー熊本間で運転見合わせが継続中だ。北部九州と鹿児島を結ぶ交通の要衝が失われた今、フェリーや東九州自動車道を経由した長距離迂回が、多くの人の「日常」になりつつある。
諸浦港に集まる人々 「高速も道もあまり良くないと聞いて」
鹿児島県長島町の諸浦港では、熊本県天草市との間を運航するカーフェリーが、地震発生後に利用客が大きく増加している。運航する天長フェリーによると、7月29日・30日ともに通常より約2割利用客が増加し、電話による問い合わせも急増しているという。

7月31日午前9時ごろの諸浦港には、天草方面からの船で県外ナンバーの大型車が次々と降り、天草に向かうフェリーを待つ車列も形成されていた。支援物資を積んで出水市から訪れた市職員は、「上天草市の方に行くが、高速もその後の道もあまり良くないと聞いてフェリーにした」と話す。

また、福岡への出張を控えた利用者は「どうしても行かないといけないので、色々とルートを探した中で迂回路もあると。無事に着ければいいなと思っている」と語り、不安を抱えながらも前を向く姿が印象的だった。

天長フェリーの波戸正和社長は「高速道路が通れないということで、こういう時に我々がライフラインを守り、少しでも手助けできれば」と語り、地域インフラとしての使命感を示した。
「熊本ルートは4時間、大分・宮崎ルートは7〜8時間」 疲弊する旅行者
一方、陸路で鹿児島を目指す人たちは、宮崎・大分を経由する東九州自動車道ルートを余儀なくされている。曽於市にある末吉財部インターチェンジ付近では、31日朝9時ごろから上下線ともに混雑が確認された。

近くの道の駅では、佐賀県から指宿市へ向かう家族連れの姿もあった。「元々は熊本を通って鹿児島に行く予定だったが、通行止めと聞いたので、大分、宮崎を通って鹿児島に来るルートを取った。熊本ルートは4時間だが、大分、宮崎ルートだと7〜8時間ぐらいかかる。夜遅くから出たので、まだ混んではいなかった。だいぶ疲れています」と疲労の色をにじませた。

本来の倍近い時間を移動に費やすこの現実が、地域をまたいだ人の往来にいかに大きな負担をかけているかを示している。
迂回路は2つ 東回りと西回り
現在確認されている主な迂回ルートは2つある。
ひとつは東ルートで、宮崎・大分を経由する東九州自動車道を使い、九州の東側を回って北部九州と鹿児島を結ぶルートだ。
もうひとつは西ルートで、鹿児島県長島町から天草を経由して熊本へ向かう、あるいは天草からさらにフェリーで長崎に渡り、福岡方面へ向かうルートとなる。いずれも通常より大幅に時間がかかるうえ、混雑が予想される。

お盆を前に懸念強まる 「できるだけ帰って来られるよう工夫したい」
特に関係者が警戒するのは、8月のお盆帰省シーズンだ。天長フェリーの波戸社長は「獅子島がお盆の帰省客が多いので、その辺りの対応も、できるだけ帰って来られるよう我々も色々と工夫して頑張っていきたい」と語る。定員を超える際には、町内の別の船会社を紹介する体制も整えている。
九州自動車道の不通区間と九州新幹線の鹿児島中央ー熊本間については、現時点で再開の見込みは立っていない。帰省や出張、支援物資の輸送など、様々な目的で移動が増えるこれからの時期に向け、地域の交通網を担う人々の奮闘が続いている。
(動画で見る▶九州道不通&新幹線見合わせ 東西の迂回路について利用者は)

