若手農家の挑戦です。長野市戸隠で20代の男性2人がブルーベリーと野菜を栽培する農園を立ち上げ、カフェで提供しています。「戸隠をブルーベリーの産地に」。脱サラして夢を追いかける2人を取材しました。
■自家栽培の食材にこだわるカフェ
長野市戸隠の奥社入口近くにある「戸隠民俗館」。手裏剣道場や忍者からくり屋敷があり、外国人観光客にも人気の施設です。
その敷地内にあるのが、カフェ「珈琲の館」です。
珈琲の館・和田悠太さん:
「“ブルーベリーソーダ”です」
店長の和田悠太さん(28)。使っている食材にこだわりがあります。
珈琲の館・和田悠太さん:
「自分たちで栽培したものだけを使用するこだわりというか、野菜に関しては自信を持っているので」
戸隠で「ブルーベリー」と「野菜」の農園を営んでいる和田さん。収穫したブルーベリーは、シロップ漬けにして、バニラアイスに乗せたり、ソーダで割って、夏にぴったりのドリンクに。
客:
「すごくおいしいです。ブルーベリーの香りと味がします。酸味と甘味のバランスがよかった」
タマネギはタルタルソースにしてサンドイッチに。自家栽培の食材を取り入れています。
客:
「具だくさんで、すごくおいしかった。タマネギがシャキシャキでね」
■”調理”と”畑”で役割分担する2人
小山啓吾さん:
「おつかれー、野菜持ってきたよ」
採れたての野菜を店に持ってきたのは、小山啓吾さん(27)。一緒に栽培に取り組んでいます。
和田悠太さん:
「トマトめっちゃいいじゃん!きょうのやつ」
小山啓吾さん:
「調理は和田に任せていますので、自分は畑、農場で野菜の生産を担当しています」
■ほぼ未経験で始めた農園
小山啓吾さん:
「こちらが自分たちの畑です」
2人は2024年、戸隠に「泉屋ファーム」を立ち上げました。和田さんが代表を務め、小山さんが農場長として畑を管理しています。
栽培しているのはブルーベリーやトマト、ピーマンなど10種類ほど。
収穫した農産物は、ECサイトで販売したり、地域の飲食店に卸しています。
農園も3年目になり、順調に生産量を増やしていますが、2人とも農業はほぼ未経験でした。
泉屋ファーム 農場長・小山啓吾さん:
「祖父がリンゴ農家だったので、リンゴについては手伝い程度で普通の人より知識はありましたけど、こうやって野菜を大きくやっているとか、ブルーベリーについては素人同然というか、未経験でした」
■運送会社の同僚2人が「脱サラ」
もともと長野市内の運送会社の同僚で、仲が良かったという2人。
3年前に小山さんの実家のリンゴ畑に和田さんが手伝い来たのが大きな転機となりました。
泉屋ファーム・和田悠太代表:
「自分は新しいものに触れる時間が好きなので、畑というのを知っていくうちに、農家というものが不足しています。今後5年、10年、15年先を見据えたときに絶対に必要になってくるものだろうなと、農業という選択肢も一つありなのかなと」
泉屋ファーム 農場長・小山啓吾さん:
「いつかは農業をやりたいとは思っていたし、若くて農業をやるからこそ物が売れる、興味を持ってもらえるのではと思った。和田とだから何とかなるかなと思ったのも正直なところ」
■耕作放棄地をブルーベリー畑に
農業で新たな挑戦をしようと決めた2人。畑を探していたところ、紹介されたのが戸隠でした。
和田悠太さん:
「ここは自分の中学の同級生の祖母のおばあちゃん家になるんですけど、数年前から(誰も)住んでいなくて、耕作放棄地だったので、きれいにしてくれるならいいよと(貸してくれた)」
2人で脱サラし2024年、「泉屋ファーム」を設立。
2人とも市街地に住んでいるため、毎日、戸隠に通いながら草刈りなど農地の整備を進めてきました。
高冷地の特徴を生かし、「稼げる」作物として着目したのがブルーベリーです。
2人の退職金などを集めて約600本の苗を購入。2026年初めて収穫を迎えました。
木の成長につれて収穫量も増えるため、7年後には1トンを超える収穫を見込んでいます。
■生活のためアルバイト…感じる喜び
小山啓吾さん:
「自然を相手にしているこっちのほうが、自分のやりたいようにできますし、うまくかみ合って、おいしいものが作れたり、きれいなものができたという時の喜びは(前職の)ドライバー時代には代えられないものがある」
まだ収穫量が少なく、農園だけで生活を賄っていくことはできません。2人とも飲食店などでアルバイトもしています。
■農園を知ってもらうためのカフェ
少しでも売り上げにつながればと、2025年8月からは、休業していた戸隠のカフェの営業も引き継ぎました。
和田さんがメニュー作りなどカフェ業務の全般を担っています。
和田悠太さん:
「新しいもの作って、おいしかったりするとおもしろいと思います。最近、その感情が芽生え始めたかもしれない」
店では、自慢のブルーベリーの他、形が悪いなどの理由で販売に回せなかった野菜も取り入れています。
イタリアのおつまみ、「ブルスケッタ」。ブルーベリーとクリームチーズを混ぜたソースの上に、さらにブルーベリーをトッピング。トマトやニンニク、ズッキーニは自家栽培のものを使いました。
(記者リポート)
「ブルーベリーの果肉がみずみずしくて、爽やかな香りが広がります。甘酸っぱいブルーベリーとクリームチーズの相性も良くてとてもおいしいです」
和田悠太さん:
「『泉屋ファーム』というものを知っていただくいい機会になるのと、プラスアルファで農家さんがやっているカフェというか『うちで栽培したものを食べられます』と周知できたらと思う」
■「戸隠をブルーベリーの産地に」
地域の人たちも2人の挑戦を温かく見守っています。
地元の客:
「イケメンの2人が来てくれたからよかった。続けてくれればありがたい」
「若いだけじゃなくてすごく真面目に農業も取り組んでいるので、期待してるし頑張ってほしい」
若い2人が始めた農園とカフェ。将来的には、ブルーベリーのみで勝負していきたいと考えています。
泉屋ファーム 農場長・小山啓吾さん:
「(地元の人は)自分たちの活動がまず成功して、自分たちの活動を通して戸隠がより名前が知れ渡ることを望んでいると思うので、『戸隠と言ったら、そばとブルーベリー』なんて未来がくればと思っています」
「戸隠をブルーベリーの産地」に。新しい挑戦は始まったばかりです。
