原発事故以降、全国的に急拡大を見せ、各地で波紋を広げるメガソーラー。福島県二本松市でも設置工事が中断され、住民が災害の発生を不安視する事態が続いている。
■「雨が降るたび不安」
雨が続いた福島県内。二本松市針道の国道沿いに放置された工事現場を、住民が不安な表情でみつめていた。「雨が降るたびに心配になる」と語る。
この場所でメガソーラーの建設が始まったのが2023年5月。しかし、着工から1年経ったころ、大雨の際に敷地から大量の土砂が複数回にわたって流出した。国道にまで流れ込み、通行止めになる事態が発生、許可されていない場所に盛土が行われていることもわかった。
住民は「盛土が流れてきたら、大災害になるから。それが心配」と口にする。
住民によると2026年6月以降、事業者が現場に現れ雨水を流す水路を掘っていったというが、今後の災害対策は説明されていない。
住民は「災害が起きる前に早く片付けてもらいたい」話す。
■図面と現地がまったく違う
工事が止まったままのメガソーラーの現場で何が起きているのか。
開発の権利を引き継ぎ、設置を進めてきた県外の事業者は、計画そのものが実際の現場と大きく異なっていたと話す。
「もともと県に了解をもらっている設計会社の図面と、現地が全然違った。『こんな風にできないでしょ』って。僕も『それって大丈夫なのか?』と。『いや、こう変えるから、なんとかするしかないよ』っていう会話があって、工事が進んでいった」
■認定失効も判明
2026年3月までには、売電収入の前提となる固定価格買取制度の認定が失効したことも判明。
事業者は太陽光発電を断念し、蓄電池設備の建設も検討しているが、先行きは不透明だ。
「うちは取り急ぎやらなくてはいけない対応を、なんとかお金を捻出してやる。その間にここを事業として成り立つようなお客様を見つけてきて、一緒にやっていただく。太陽光を作る、もしくは蓄電池をやる。そういうお客様を見つけてきて、一緒になってやるしかない」と事業者は話す。
■後悔「あのままでよかった」
以前から面識があった事業者から勧められ、開発の権利を購入したという事業者。
「二本松はあのまま、きれいな山のままで良かった。本当にあの時に…じゃあ振り返った時、どういう調査をしてから手をつけなくて済むかっていうのが、僕にもわからない」と後悔を口にする。
■許可を出す農林事務所
一方、事業者から提出された事業計画に基づき、林地開発許可を審査したのが県北農林事務所だ。
國分真悟部長は『災害の防止』・『水害の防止』・『水の確保』・『環境の保全』の4つの要件が満たされれば、原則として許可をしなければならず、「開発行為は事業者の責任で行われる」ことを強調する。
國分部長は「許可は事業者が、事業者の責任において『この通りやりますよ』という計画を持ってきます。それで、その計画が適正かどうかを判断して許可しているので、それ以外はできない」と説明する。
■住民が安心できる道筋は
現在までに、事業者から計画の変更届は提出されていないが、区域外の盛土や防災設備の不備は確認していて、事業者への指導と月に2回の現地確認を実施している。
國分部長は「事業者が指示・指導に従わない場合は、復旧命令を行う可能性はある。場合によりますが、原則、森林に戻せというような命令になると思われる」と話した。
事業者・行政がそれぞれ問題を認識しながら、出口の見えないメガソーラー工事。住民が安心できる道筋を示すことが求められている。
住民は「県の責任者がここに来て、地元の人と話し合って、あと業者の人と話し合いをしてもらいたい。それが始まらないと、これは収まらない」と話した。
