北陸新幹線の大阪延伸をめぐり、与党整備委員会は7月15日朝に会合を開き、福井県小浜市を経由してJR桂川駅周辺の地下に新駅を設置する「小浜・桂川ルート」を正式に決定した。自民党の西田共同委員長は「北陸新幹線のルートが小浜・桂川ルートで正式に決定した」と話し、長年にわたる議論にひとつの区切りをつけた。


概算建設費はおよそ3兆9000億円。将来の物価高騰を加味すると5兆5000億円に膨らむとされ、工期は26年と見込まれる。「着工まで時間がかかっている。北陸新幹線ができたのも40年ほどかかった」――富山県民からそうした声が聞かれるように、完成までの道のりはなお長い。
最終3案から桂川案を選定


桂川案は、京都駅から西におよそ5キロ、在来線で2駅・約5分の距離にあるJR桂川駅の周辺地下に新駅を設置し、新大阪へとつなぐルートだ。自民党・維新の双方がこの案への支持を表明しており、今回の決定につながった。


西田共同委員長はこの新駅について東海道新幹線の「新大阪駅」になぞらえ、「桂川駅というのはまさに新京都駅という風に私は考えている」と述べ、単なる中間駅ではなく京都の新たな玄関口として位置づける考えを示した。

今回の選定から外れた案は二つある。一つは、京都駅地下の南北に新駅を設置する「南北案」だ。地下水への影響が懸念され、地元の同意を得て着工できる可能性が乏しいとして選定されなかった。もう一つは、工期が短く建設費も抑えられるとされた「米原ルート」。滋賀県の米原駅で東海道新幹線に乗り入れる案だったが、沿線自治体や鉄道事業者の同意が得られないとされ見送られた。

維新の前原共同委員長は「我が党としては桂川案と同等に米原一部乗り入れを提案させていただいた」としつつ、「地元自治体事業者等の理解が得られなかった。それに尽きる」と振り返った。
富山県民の声
決定を受けて、富山県内でも反応はさまざまだ。
「いいと思う。大阪府まで1本で行けるのがいいと思う」と延伸そのものを歓迎する声がある一方、「ちょっと不便。京都へ旅行でたくさん行く方がいる」と利便性への懸念を示す声もあった。「桂川駅から(京都駅までは)2駅だから、30分も40分もかかるなら(反対)ですけど」という本音も聞かれた。
京都から富山に単身赴任しているという男性は「もったいない。(家が)桂川に近いので良いけど、京都駅に新幹線止まらないと乗り換えできないので不便。京都駅に作らないと意味がない。利便性が無い」と語った。
桂川駅を使って京都の中心部を目指す場合、在来線への乗り換えが必要になる。この点が、北陸から京都を訪れる利用者にとって引き続き課題となる。
着工5条件が最大のハードル

ルートが決まっても、着工への道は平坦ではない。国が定める着工5条件の一つに「沿線自治体の同意」があり、京都府・京都市の姿勢が今後の鍵を握る。
京都府の西脇隆俊知事は「桂川案で着工5条件を満たすために進めようという入口の話しだけなので同意も同意じゃないもない」と慎重な言葉を選んだ。京都市の松井孝治市長も「具体的に財政一つとっても市にとってどれくらいの負担になるのか正札が付いているわけではない。市民に説明する務めが果たせないのでしっかり見極めていかなければならない」と述べ、財政負担の詳細を注視する構えを崩さなかった。
前原共同委員長は「誘致していないという京都市に対して受入れてもらえるよう最善を尽くす」と語り、地元の理解を得るための働きかけを続ける姿勢を示した。
地域への意義と今後の展望

北陸側からは歓迎の声が上がる。与党整備委員会の委員を務める自民党の野上浩太郎参院議員は「北陸から関西まで直接つながることになると富山にとっても国土強靭化、経済波及効果や利便性の向上という意味でも大きな意義があるのではないか」と意義を強調した。

富山県の新田知事も「与党関係者の尽力に敬意を表したい。速やかに認可・着工してもらい、一日も早い全線開業が実現されるよう、政府などに働きかけていく」とコメントした。

一方、維新の柴田巧参院議員は「決めたはいいが着工5条件が満たされない、懸念を払拭できないとなれば一歩も進まない10年になってしまう」と警戒感を示しつつ、「1日も早く新大阪まで通すために最大限の努力をしていきたい」と述べた。
ルート決定はあくまでスタートラインに立ったにすぎない。地下水や建造物への影響の回避、財政負担の軽減、そして沿線自治体の同意取得―乗り越えるべき課題は山積しており、26年という工期が現実のものとなるかどうかは、今後の交渉と合意形成にかかっている。
(富山テレビ放送)

