先週金曜(10日)に皇室典範改正案が衆院を通過した。

皇室典範改正案が衆院を通過した
皇室典範改正案が衆院を通過した
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与野党含めて批判的な議員が多いように見えるが、投票結果だけを見ると、10日の衆院本会議で465人の議員のうち反対したのは共産党の4人とれいわ新選組の1人だけ。つまり99%の議員が反対していない。

中道改革連合の5人と自民党の2人は賛成せず、棄権したり本会議を欠席したりした。

野田氏「数の力でねじ伏せられる」

中道の野田佳彦元首相は13日に自らのホームページに「立法府の総意では全く触れられていない、養子に男児が生まれた場合に皇位継承権を与える規定が盛り込まれていた」と批判し、「数の力でねじ伏せられる」と訴えた。

野田氏は「極めて残念。いつの日か同志増やし…」とリベンジを誓った
野田氏は「極めて残念。いつの日か同志増やし…」とリベンジを誓った

だが野田氏をはじめ中道の立憲民主党系議員が改正案に賛成したのは中道内で多数を占める公明党系が当初から改正案に賛成の意向を示していたため、党が割れることを避けた、というのが最大の理由だろうと筆者は見ている。

「苦渋ではあるが、賛成」
「苦渋ではあるが、賛成」

15日から参院で審議が行われるが、立憲民主党は反対すると見られる。すなわち、

中道(立憲)=反対だが嫌々賛成
中道(公明)=賛成
公明(参院)=賛成
立憲(参院)=反対

ということになるだろう。

中道・立憲・公明は合流するのか

2月の衆院選の直前に立憲民主党と公明党は合流して中道改革連合を作ったが、参院と地方がまだ合流できておらず、現在は3党で協議会を作って「中道に立憲と公明が合流」「各党解散して新党結成」「合流せずに参院の立憲と公明で統一会派結成」などのケースについて議論しているらしい。

中道改革連合を結成したが選挙では惨敗 2026年2月
中道改革連合を結成したが選挙では惨敗 2026年2月

「新党を作って党名を変えた方がいい」といった声も出ているようだが、そんな「党名ロンダリング」などをするヒマがあったら、例えば皇位継承について3党で結論出るまで議論するとかしたらどうか。

鳩山元総理
鳩山元総理

2009年の民主党政権がいまだに「失敗」と言われる理由の一つが「政策は違うけど一緒にやってみようと思ったがやっぱり無理だった」というところだと思う。もう無理に一緒にならない方がいいのではないか。

世論は養子案を支持

野田氏が反発している養子案を世論も支持している。

11−12日に行われたFNNと産経新聞の合同世論調査によると、「養子案」については「賛成」57%が「反対」32%を大きく上回り、さらに「養子に男子が生まれた場合に皇位継承権を持つ」ことについては「賛成」61%が「反対」30%とこちらもほぼダブルスコアだった。

だが立法府と世論が支持する改正案を新聞各紙は評価していない。衆院通過の翌11日の社説の見出しは以下の通り。

産経「改正典範成立へ前進した」
読売「根幹変える質疑が3時間とは」
朝日「無体な可決 中道の不実」
毎日「男系養子は撤回すべきだ」
日経「結論ありきの皇室典範改正は理解得られぬ」

評価しているのは産経だけで、読売、朝日、毎日、日経はかなり否定的。系列のテレビ各局も大体同じようなトーンだ。

新聞各紙は野田氏と同様に「旧11宮家の男系男子の養子による皇族復帰」について、また「養子に男子が生まれた場合に皇位継承権を持つこと」について産経以外は批判的なのだが、99%の衆院議員が反対せず、有権者も賛成が反対のダブルスコアであるこの養子制度をなぜかたくなに拒否するのか。

これは立法府の意見も、国民の声も無視したメディアの「おごり」ではないのか。

“国会の常識”にとらわれない方がいい

さて終盤国会は与党が衆院議員の定数削減法案を強引に審議入りさせたことで野党が審議拒否し、1週間空転した。

参院では与野党の一部で、「議員定数削減法案が参院に送られてきたら“吊るし”にはせずに審議をして否決する、その場合60日の“みなし否決”なしで衆院に戻されて3分の2で再可決され成立する」という「奇策」が話し合われていた。

与野党ともに「どうしても大幅延長はイヤ」だったのと、「衆院の定数削減なので参院野党にとってはどうでも良かった」ということだったらしいのだが、高市氏は結局この「奇策」を採用せず、定数削減法案を引っ込めて国会を正常化させたのは少し残念だった。

なぜなら高市氏はあまり「国会の常識」にはとらわれないほうがいいと思うからだ。

「定数削減」がワイルドカードに

面白いのは野党が定数削減とともに「撤回」を求めていた副首都法案については審議が再開され、今国会で成立の可能性が出てきた。「定数削減はダメだが副首都はいける」というのは日本維新の会にとって実は悪い話ではない。

副首都法案は今国会で成立する可能性も
副首都法案は今国会で成立する可能性も

与野党の国対協議で自民は中道に対し定数削減法案について「秋の臨時国会で審議する可能性がある」と伝え、日本維新の会の吉村洋文代表も「臨時国会での実現を目指す」と述べた。

「定数削減」はまさに野党にとって「身を切られる」ものであり絶対に阻止したい。つまり与党にとっては「ワイルドカード(切り札)」になる。

臨時国会は「食料品の消費税2年間ゼロ」の他、夫婦別姓問題に終止符を打つ「旧姓使用の法制化」など与野党でもめそうな法案が多い。与党にとって「定数削減をまた出すぞ」というワイルドカードは結構「使いで」があるかもしれない。

【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。