気になる疑問やニュースのナゼを解き明かす「どうなの?」です。
南米のベネズエラで起きた大規模地震は発生から2週間以上がたちましたが、今も被害が拡大しています。
そんな中、13日は、地震の直後にSNS上に投稿された日本にも関わる動画をファクトチェックしていきます。
安宅晃樹キャスター:
ベネズエラでマグニチュード7を超える地震が立て続けに起きた直後に投稿された動画には、警報が鳴り響くなか、2隻の小型船に迫る津波が映っています。そのまま勢いを増して、大きなしぶきを上げながら港にまで到達しました。動画の投稿文には、スペイン語で「ベネズエラのラ・グアイラで津波。今日発生したマグニチュード7.1および7.5の地震に続く」と書かれていて、これまでに101万回表示されています。山崎さん、この投稿内容どう感じますか?
山崎夕貴キャスター:
これフェイク動画なんですよね。ベネズエラでは大きな被害が出ましたし、投稿内容を見ても信じてしまいそうなことになってますよね。
安宅晃樹キャスター:
13日の「どうなの?」は、「ベネズエラ地震で津波?ニセ情報拡散するワケ」と題してファクトチェックしていきます。
改めてその投稿を見ていきますが、投稿文には動画とともにスペイン語で「ベネズエラのラ・グアイラで津波」と書かれて、今回の地震とこの津波が関連付けてあるような内容で投稿されていたわけです。この投稿に寄せられたコメントを見ていきますと、「ニセ情報広めないで!」「ガセネタ流すのはやめましょう」「ここはベネズエラ?それとも日本?」と、このようなコメントが多かったんです。100万回以上表示されながらも、ベネズエラで起きたものなのか懐疑的なコメントが今回多く見受けられたんです。
榎並大二郎キャスター:
偽情報だと気づいている反応が多そうですが、なぜですか?
安宅晃樹キャスター:
それが今回の特徴かもしれませんが、もう一度、投稿されている動画の部分をよく見てみると、動画の投稿元、引用元となるアカウント名が記されていたんです。このアカウントに飛んでみますと、元動画は2026年2月に投稿されていたもので、説明文には英語で「2011年の日本 津波が襲来する数秒前」と書かれていたんです。つまり、何で懐疑的なコメントが多かったかというと、やはり引用元の動画を見れば日本で津波が起きた時の映像と分かった人が多かったためと。
ただ、偽投稿と知ってか知らないかは分かりませんが、先ほどの投稿から4時間後に同じ動画を引用した日本語の投稿もあったんです。その投稿内容は「ベネズエラの津波 やっぱり凄かったんですね。被害がこれ以上出ませんように」と投稿があり、15万回以上表示されているんです。
榎並大二郎キャスター:
この動画の本当の引用元は分かっているんですか。
安宅晃樹キャスター:
「イット!」が詳しく調べたところ、大元とみられる動画を特定することができました。見てみますと、東北地方整備局の「震災伝承館」というところが、東日本大震災の際の岩手県の久慈港で撮影された映像をウェブ上にアーカイブとして公開しているものだそうです。「イット!」が取材すると、担当者から今回のベネズエラで起きた津波とする投稿については「同一のものと思われる」という回答がありました。なぜアーカイブとして公開しているのかというと、被災経験や教訓を今後に生かしていくために公式ホームページで誰でも動画をダウンロードできるようにしているので「目的外での使用は避けてほしい」と話していました。
遠藤玲子キャスター:
発信者は別の動画を全く別の文脈で載せている、つまりは偽情報だと分かっている上であげているということですよね。
安宅晃樹キャスター:
なぜこのようなことが起きてしまうのかについて、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一教授は次のように指摘しています。災害時というのは発信する側にとってすると、まず関心が一点に集中するめったにない機会となって、要は注目そのものが価値を持つため、大きな災害がこういう表現を使いたくないですが、稼げる場になってしまっているというんです。例えば、Xですと、一定条件を満たすと表示回数によって収益を得られる仕組みだということで、ほとんど手間をかけずに、もともとある動画ですから「文脈を付け替えるだけ」で投稿できてしまう。先ほどお伝えした注目というものが報酬に結びつく構造になっているために、災害のたびにこうしたフェイクニュースが起きてしまうんだと分析しています。
三宅正治キャスター:
残念ながら、こういった災害が起きたら別の災害の動画を拡散して、これは簡単でかつ稼ぎやすいということになるってことですよね。被災地にとって見れば有害な情報以外何物でもないですから本当やめてほしいことですね。
安宅晃樹キャスター:
山口教授は偽情報が拡散することによって引き起こされる危険性を指摘しています。まず1つ目は「防災教育にブレーキがかかる」ということです。今回、取材した東北地方整備局のホームページのように、経験や教訓を伝えるためのものであるんですが、これが悪用されてしまうとそのようにして仮に閉鎖してしまうと今後の防災教育の基盤そのものがやせてしまう。ここに意味が持たなくなってしまうということで、防災教育にブレーキがかかる危険性を指摘しています。
もう1つのポイントが「真実を疑わせる副作用」というところで、仮に動画を見た人が「どうせ過去の使い回しでしょ」「どうせAIでしょ」と見る人の疑いが常態化してしまうと、本当に危険を伝えるための映像が流れてきた時も人が動かなくなってしまう。この2つの危険性があると指摘しています。
ということで13日の「どうなの?」は、「ベネズエラ地震で津波?ニセ情報拡散するワケ」を見てきましたが、実際に映像のファクトチェックを行ったところ、拡散された動画の引用もとで示されたとおり、これは東日本大震災で起きた津波の映像であり、ベネズエラで起きた津波というのは偽情報です。
そして、災害時に偽情報が拡散すると専門家は「防災教育にブレーキがかかってしまう」「“疑いの常態化”招く恐れ」これが起こることで本当に危険な映像であってもそれで人が動かなくなってしまう感覚を鈍らせてしまう恐れがあると指摘しています。
山崎夕貴キャスター:
ベネズエラ政府はフェイクの拡散を受け、津波は発生していないし発生の危険性もないとの声明を発表しています。
榎並大二郎キャスター:
過去には被災、震災の時に嘘の投稿で有罪になった人もいるわけですから、こうした行為は命を本来救えるはずの情報をゆがめてしまう可能性があります。そうしたことを心にとめておく必要があります。
