千葉・埼玉・神奈川の3県の知事は29日、総理大臣官邸で木原官房長官に地方の「財源の偏在是正」を要請した。

3県の危機感の背景にある、国による地方交付税の配分の仕組みと、東京都の主張をひもとく。

東京都は、公共サービスの提供に必要な財源を自前の地方税収入で賄えており、国から地方交付税の交付を受けていない。地方税収入が増えれば、増収分は100%、都の収入となる。

大企業と人口が集中している東京は、地方税の増収が顕著で、財務省の計算では都の必要な支出に対する税収(財源)の超過額は過去最大となる約2兆円にまで拡大している。

一方、千葉・埼玉・神奈川など、公共サービスの提供に必要な財源を自前で確保しきれない場合、国が地方交付税を交付して穴埋めしている。

地方交付税の交付を受けている道府県の地方税収入が増えた場合、国は増収分の75%相当を地方交付税から減額して交付するため、道府県の手元資金は増収分の25%しか増えない。

資金潤沢で子育て支援など住民サービスを充実させられる東京都に対し、隣接する千葉・埼玉・神奈川の各県は資金面で対抗しきれず、周辺県から東京へ人口が流出するほど収入格差が拡大し、さらに住民サービスを充実させられなくなるというジレンマに、3県の知事は危機感を抱いている。

神奈川県の黒岩知事は、「東京都が首都機能を強化するために豊かな財源を使うのは大歓迎だが、1人1人の行政サービスに持ち込まれると我々は対抗しようがない」と認めたうえで、「川(=多摩川)を隔てて向こう側(=東京)は毎月子ども1人あたり5000円もらえるが、こっち側(神奈川)はもらえない。住民目線では納得できない。なんとかしてくれとは言われても対応できない。これが一番大きな問題だ」と、直面している県民の声を例に挙げて訴えた。

千葉県の熊谷知事は、「福祉を支える人材が流出することによって、各県の住民福祉が成り立たなくなる」「最終的にはそれぞれの住民が、福祉・医療・介護を受けられなくなるという危険性が高まっている」と強調した。

3県の知事は木原長官に対し、まず、自治体の税収や財政力の格差を縮小する具体的な取り組みについて早急に検討を進めることを求めた。

さらに、4月に初会合が開かれた「国と東京都の協議会」について、「『地方財政制度全体の在り方の検証』などは、国と東京都で取り扱うべき内容を逸脱している」と批判し、協議会の「適切な運営」を求めた。

4月10日の「国と東京都の協議会」は、高市総理大臣と小池都知事が出席して「国と都が連携して成長するための重要課題」について意見交換している。

ただ、小池知事は協議会後の取材に対し、「東京の場合は、警視庁が官邸をはじめ様々な警備を行っている。そういったことも含め、ほかの県では負担していない様々な約1兆円に近い負担を東京が行っている」と訴えたうえで、「東京都は去年、1兆6000億円収奪されている」と述べ、地方法人課税の偏在是正措置などによって都の税収の一部が国税化され、結果的に地方交付税などとして他の道府県に分配されていることを指摘し、「どのように使われて、どのような形での効果が出ているのか、正直検証が必要だと思う。地方交付税の在り方そのものが本当に有効なのかどうかも、これからも議論していく必要がある」と強調した。

埼玉・千葉・神奈川の3知事による「国と東京都で取り扱うべき内容を逸脱している」との指摘は、この小池都知事の発言を受けたものだが、東京都は地方法人課税の偏在是正措置について「本来都民のために使われるべき税の不合理な見直し」と断定するとともに、「地方税に地方交付税などを加えた人口1人当たりの一般財源額で比較した場合、都は全国平均とほぼ同水準であり、是正すべき偏在はない」と主張している。

埼玉県の大野知事は、「木原官房長官からは、東京都は首都とはいえ47都道府県のうちの一つで、税制改正そのものについては年末の税制改正のプロセスで行われるべきものであって、東京都との協議で決まるものではないということを明言していただいた」と明らかにし、「国としての税制の制度について抜本的に見直してほしい」と訴えた。

都と道府県の主張が真っ向から対立し続ける一方、東京一極集中や物価高への対応は焦眉の急で、政府が「大岡裁き」を打ち出すのは容易ならざる状況であることは間違いないだろう。

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