24日朝、石川県加賀市の小学校の運動場で成獣とみられるクマが目撃された。その後、クマは近くの住宅街に移動し、住民男性のわずか1メートル横を走り抜けるという緊迫した事態が発生。「逃げる時間もなかった」と男性は恐怖の瞬間を語った。県内では今月、クマの目撃件数が過去2番目の多さとなっており、緊張が高まっている。
グラウンドの茂みに黒い影…早朝の小学校に緊張走る

静かな朝の空気が一変した。24日午前5時40分ごろ、石川県加賀市大聖寺にある錦城東小学校のグラウンドで、「茂みに熊らしきものを見た」と近所の住民から市に通報が入った。目撃されたのは成獣とみられるクマで、その後、南の方角へ移動したということだ。

通報を受け、市の担当者がすぐに現場へ駆けつけ周辺を調査したが、クマの足跡や糞といった痕跡は見つからなかった。

最初の目撃情報から、約35分後。事態は新たな展開を迎える。小学校から川を隔てて500メートルほど離れた加賀市南郷町で、再び成獣のクマ1頭が目撃されたのだ。
「犬かと…」クマが庭に侵入、住民が語る恐怖
「あそこから黒いもんが顔を出したんですよ。で、犬かなと思ったんですが、真っ黒な。ところが、それが一目散に走ってきまして、私の横を…」
そう語るのは、クマに遭遇した住民の男性。

クマは男性のわずか1メートルほど横を走り抜け、勢いよく自宅の中庭に侵入したという。その時の様子を、男性は生々しく振り返る。
「ここ、ここを走ってきて、うちの庭の中に走り込んでいったんです」

大きさは大型のコリー犬ぐらいだったというこの男性。クマが走り去った後、男性の庭にはその爪痕が残されていた。植木鉢は倒され、大切に育てていた花は踏みつけられてぐちゃぐちゃになっていたのだ。
「素手ではかなわない」一瞬の出来事

「素手ではとてもかなわないですから。逃げる時間ないんですから、やっぱり。もしかかってこられたら、ねえ」
男性は恐怖で身がすくむ思いだったと語る。
「何が起きたか一瞬分からなかったです。ただーっと、もう、『あ、熊だ』って思ったときはもう走ってましたから」
一瞬の出来事で、抵抗したり逃げたりする暇は全くなかったという。

今回の事態を受け、クマが現れた錦城東小学校では、児童の安全を最優先に考え、今週いっぱいは屋外での授業や遊びを中止する決定をした。また、保護者に対しては、同伴での登下校を呼びかけている。

加賀市では、この後も予断を許さない状況が続いた。午後1時ごろには、熊坂町でもクマの目撃情報が寄せられたほか、午後7時半には、再び加賀市南郷町でも目撃された。幸い、これまでのところ、いずれの目撃情報でもけが人は出ていないということだ。

相次ぐ目撃情報、県内は過去2番目の多さ
石川県内では、クマの出没が相次いでいる。今月17日には小松市で80代の男性がクマに襲われて大けがを負う被害も発生。これを受け、県は「熊の出没注意情報」を発令し、住民に警戒を呼びかけています。

県によると、今月17日時点で県内のクマの目撃件数は、過去2番目の多さとなっている。特に、クマの繁殖期にあたる7月までは、人里での出没が増える可能性があるとして、県は一層の注意を促している。
秋のエサは豊作か、今後の見通しは
相次ぐ出没に不安が広がる中、一つの安心材料も示されました。今日、県はクマの主要なエサとなるブナやミズナラといった木の実のなり具合に関する調査結果を発表したのだ。

この調査は、雄花の落下数を調べることで、秋の実りの豊凶を予測するものだ。その結果、去年は大凶作だったブナをはじめ、ミズナラ、コナラについても、今年は「豊作」になる見込みだということだ。

山のエサが豊富であれば、クマが人里に下りてくる可能性は低くなると考えられています。県は8月にも再び調査を行い、実のなり具合を直接確認した上で、秋以降のクマの出没可能性をより正確に予測することにしている。

(石川テレビ)

