人口5万超の町が「市」を目指す理由
周囲を政令指定都市・広島市に囲まれるという全国でも珍しい立地の府中町。10.41km²に約5万人が暮らす、町としては〝全国最多の町〟だ。
その府中町が、単独で「市」になる議論を本格化させ、6月12日に初めて住民向けの説明会を開いた。冒頭、寺尾光司町長はこう述べた。
「現在は人口が5万人を超える商・工・住のバランスのとれた大きな町に育ってきている。町の都市的イメージをさらに向上させ、継続的な町の発展と活性化を促すため、当町の特色と将来を見据えた単独自治のあり方について検討を行う。」
少子高齢化による人口減少が進む中、市になることで「地域のブランド力や住民の愛着が高まる」とし、結果として「人・モノ・情報・仕事を呼び込むことができ、人口維持につながる」などと主張している。
コストの詳細は示されず
移行に伴う費用について、他の自治体ではシステム改修や看板の修正に10年ほど前で2億円前後かかったと説明。しかし、府中町が移行した場合の具体的なコストは示されず、住民からは不安の声が上がった。
「物価高騰の中で、費用がもっとかかるのではないか。住みやすい町にするために、他に使い道があるのではないか」
町のままではダメなのか?
政策の実効性を問う意見もよせられた。
「人口減少というのは日本全体が抱える課題だと思うので、市になっただけでそれが解決するとは思えない。市になった後、府中町が安定的に発展し、目的を達成するための具体的な政策や計画をお持ちなのか。それは町のままではできないのか」
この問いに対し、府中町政策企画課・浅田俊祐主査は、「市にならないとできないのかというと、必ずしもそういうわけではないが、市になって発信力を高めることで、町の取り組みの底上げにもつながっていくのではないかと考えている」と答えた。
少子化対策を求める声も…
「人の流動で食い止めようとしても府中町に人が来た分、他の自治体の人口が減るので、根本的解決にはならない。一番やらないといけないのは出生数の増加ではないか。少子化問題に対してはどう取り組んでいくのか」
桑原強副町長は「府中町出身者は全国津々浦々、いろんなところにいらっしゃる。特に首都圏、大阪圏に出ていっている。こういう方に戻ってきてもらう政策が一番大事だと考えている。府中町が活力を維持するためには、働く世代・子育て世代の方々に府中町がやっぱりよかったと帰ってきてもらう政策を、町としてもいろんな方々・いろんな団体と協力して進めていきたい」と応じた。
11月には全世帯を対象としたアンケート
府中町は定期的に住民説明会を開き、11月には全世帯を対象に賛否を問うアンケートを実施する予定で、併せて新たな名称も記述式で募る。住民投票は行わず、アンケートのほか関連の審議会や特別委員会など、様々な意見を総合的に判断し、早ければ2028年度中の市制移行を目指す。
一方で、府中町が判断した後にも、町議会の議決や県議会の議決などのプロセスが必要になる。今後も、メリットやデメリットを検討するとともに、「どのようなまちづくりを進めたいのか」を住民主体で議論していく必要がありそうだ。
テレビ新広島

