憧れが消える、就活の壁

「上下関係が厳しそう」「警察学校が怖い」。就活中の学生にとって、警察官はどこか近寄りがたい存在だ。第一生命保険の調査では、「警察官」は小学生の男の子の「なりたい職業」トップ10に過去10年連続でランクイン。幼いころの憧れが、就職の選択肢からこぼれ落ちていく。根強いネガティブイメージが、その分岐点となっている。

小学生の男の子の「なりたい職業」
小学生の男の子の「なりたい職業」
この記事の画像(7枚)

受験者、10年で半数以下に

昨年度の広島県警の採用試験受験者数は、2016年度比で半数以下に落ち込む。応募者数は過去最低を更新した。警務課採用係の清政伸治警部補はこう語る。
「警察というイメージ——厳しいとかつらいとか、そういったイメージが『警察離れ』につながっているかもしれない」
このまま減少が続けば、採用予定数を下回る「定員割れ」も現実味を帯びる。

警察官受験者数
警察官受験者数

公務員志望でも警察は11%

就職情報会社マイナビによると、公務員志望の学生のうち警察官を目指す割合はわずか11%。インターンシップ参加率にいたっては約1%にとどまる。マイナビキャリアリサーチラボの石田力研究員はこう指摘する。
「現在の就職活動準備の流れに、乗り切れていないのかな」

公務員の志願について
公務員の志願について

試験・年齢上限を大胆に見直す

危機打開へ、広島県警は採用戦略を抜本的に刷新。試験内容の変更や受験年齢の上限引き上げなど間口を広げ、高校・大学への訪問を積極化している。
「学生と接点を持つことが一番大事。高校とか大学へどんどん出て行って、学生さんと話をしていくよう頑張っている」(清政警部補)

警務課採用係 清政伸治警部補
警務課採用係 清政伸治警部補

リクルーター64人、現場の本音を語る

採用活動の核となるのが「県警リクルーター」制度だ。10代から40代まで幅広い64人が選ばれ、説明会で現場のリアルを直接伝える。安佐南警察署の横川勇翔巡査長はこう話す。
「実際に入ってみると人間味あふれる人ばかり。いい仕事なので、その思いをしっかり伝えられるように頑張ります」

県警リクルーター
県警リクルーター

SNSで「かっこいい警察」を届ける

対面の枠を超え、SNS動画での情報発信にも注力する。機動隊の小西優汰巡査長・本岡侑巡査長もリクルーターとして撮影に参加。清政警部補は狙いをこう明かす。
「警察に興味を持っていない人にも見ていただいて、とにかく警察の仕事はかっこいいと思ってほしい」

SNSで「かっこいい警察」を届ける
SNSで「かっこいい警察」を届ける

安全を守るのは「人」しかいない

テクノロジーが進化しても、地域の安全を守る仕事に「人」は不可欠だ。清政警部補はこう力を込める。
「受験者数をもっともっと増やしていけるように頑張っていきたい」
試験刷新、リクルーター制度、SNS発信——広島県警の採用活動は、地域の安心・安全を守るため、形を変えながら続いていく。

テレビ新広島

テレビ新広島
テレビ新広島

広島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。