お気に入りのおもちゃが壊れてしまった経験はないだろうか。
長崎市では、そんな子供たちの悲しみを笑顔に変える「おもちゃ病院」が活動を続けている。白衣ならぬエプロン姿のシニア世代が、愛情と技術で壊れたおもちゃに"命"を吹き込む現場を取材した。
モーターに絡まった「汚れ」が犯人だった
長崎市の聖母の騎士東長崎幼稚園のホールには、お揃いのエプロンを着た60代から80代のシニア世代16人が集まっていた。
実は皆さん、壊れたおもちゃを修理する“ドクター”である。
おもちゃ病院がオープンすると、続々と修理の依頼が舞い込む。
この日の"患者"のひとつは、電池を入れても動かないおもちゃの機関車だった。
ドクターたちが“診察”を進めると、原因はモーターに絡まった汚れと判明。掃除するだけで“治る”かもしれないという声が飛び交い、早速修理が始まった。
約2時間後、受け取りにきた子供と保護者は笑顔があふれていた。
「直ると思わなかったから、喜んでもらえると思っていなかった、帰ったらレールで早速遊ぶと思う」と保護者は目を細めた。
直った瞬間の笑顔、それが最高だ
長崎おもちゃ病院は2012年に設立され、会社を退職した人などを中心に現在43人のドクターが在籍し、ボランティアでおもちゃを修理している。長崎市内を中心に毎月2~3回、"開院"している。
メンバーの一人、ドクター歴4年目の佐々木幸造さん(75)は、子供のころからおもちゃを分解するのが好きで、会社退職後に「おもちゃドクター」を第二の人生に選んだ。
この日も別のドクターからアドバイスをもらいながら修理を進め、動かなかった部分が少しずつ動くようになった。しかし時間内に直すことができず、再び"入院"となった。
それでも佐々木さんには揺るぎない信念がある。「受け取りにきた子供やお母さんが喜ぶ、それが最高だ」と語る。
この日は佐々木さんに修理を依頼した親子が犬のおもちゃを受け取りにやってきた。無事に直って戻ってきたおもちゃを見た親子の笑顔に、佐々木さんの顔にも笑顔があふれた。
それぞれの得意を持ち寄る、チームの力
おもちゃ病院の保志彰会長(67)は、元々造船業に携わっていた経歴を持つ。
「皆さんボランティア活動でおもちゃの修理に来てもらっているが、それぞれ自分の持っている得意なところで声をかけてくれて、そこがとてもよかったと思う」と語る。
異なるキャリアと得意分野を持つドクターたちが知恵を出し合うからこそ、難しい修理にも対応できる。この日の受付件数は12件、修理件数は3件、入院件数は9件と、すべてが即日“完治”するわけではないが、一台一台に向き合う姿勢は変わらない。
ドクターも患者も、もっと増えてほしい
保志会長はおもちゃ病院のさらなる広がりを願っている。
「おもちゃドクターとして来てくれる人もさらに増えてほしいし、おもちゃ病院をやっているという活動を皆さんに知ってもらって、ぜひ活用してほしい」と呼びかける。
壊れたおもちゃを直して子供たちの笑顔を引き出す長崎おもちゃ病院。これからも"治療"の腕を磨きながら、子供たちの直してほしいという思いに向き合い続ける。
(テレビ長崎)

