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「国を治めるためには1億人殺してもいい」中国が見据える台湾統一 「虎から降りられない」権力者の気持ちとは|FNNプライムオンライン

「国を治めるためには1億人殺してもいい」中国が見据える台湾統一 「虎から降りられない」権力者の気持ちとは

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中国共産党の正当性を示し続けるため、中国にとって台湾統一は何よりも優先すべき課題の一方、アメリカは政治・選挙的な視点で台湾問題をとらえていて認識にずれが生じている。

日中関係についても首脳会談の“位置づけ”には「すれ違い」がある。

中国に必要な「正当性」

中国の14億人を治める指導者はどんな気持ちなのだろうか。地域や出自、学歴、民族などの違いで日本以上の激しい格差があり、価値観も多様化する国民を統治するには強い力が必要だろう。

習近平国家主席
習近平国家主席
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「国を治めるためには1億人殺してもいいというくらいの覚悟ではないか」(外務省筋)というように「まず国があり、その下に国民がいる」(同)というのが中国的な考え方だ。

主権在民、民主主義の日本とは国の在り方、考え方がまったく違う。

国民が投票する選挙もなく、世論調査もない中国にとって統治に欠かせないのが中国共産党の正当性を示し続けることだ。「ひとつの中国」としての台湾統一はその正当性を確保するために欠かせない、何より優先すべき課題だろう。

米中間の“すれ違い”

一方のアメリカ・トランプ大統領はもともとビジネスマンだ。「得か損か」には鋭い嗅覚がはたらいても、それだけでは計れない「国益」に関しては「習主席やロシア・プーチン大統領のしたたかさにはかなわない」(外交筋)という声が上がる。

台湾指導者との直接対話に言及したのは、どのような狙いがあったにせよ、この問題に対する中国の思いを理解しているようには見えない。

「台湾が中国にとってどんな意味を持つのか、トランプ氏はわかっていない」(同)

「『中国がそれほど統一したいというなら、俺が台湾と話してやる』くらいの言葉ではないか」(同)

との解説が聞かれるほどだ。そもそも「トランプ氏は頼清徳総統の名前も知らないだろう」(関係筋)とも言われる。

中国は台湾統一、アメリカは中間選挙を見据えた駆け引きが5月の米中首脳会談で注目された。

しかし台湾問題に限って言えば、国家のメンツと威信をかけて取り組む中国・習主席と、中東情勢に翻弄され、中間選挙に有利な材料を探すアメリカ・トランプ氏では、そのこだわりや意識に大きな差やすれ違いがあるように思えてならない。

中国が対日批判を強めるわけ

この台湾をめぐる高市総理の国会答弁や台湾行政院長の来日などは中国の強い反発を招き、日中関係は冷え込んだままだ。

だが、これに先立つ2025年10月の日中首脳会談を主導しただろう王毅政治局委員兼外相、呉江浩駐日大使らの責任が問われる事態にはなっていない。

おそらく、ここ最近の日本の動きは中国の正当性を強調するツールになっているのだろう。

「中国はすべて正しい。日本は間違っている」という認識で、これを中国国内はもとより、世界に広めようという意図がうかがえる。

イギリスで報じられた「習主席が米中首脳会談の席で日本を批判した」とのニュースは、中国の対日批判が絶対的な方針であることを示している。「新型軍国主義」という言葉を使い「悪いのはすべて日本だ」という主張を喧伝するのは、日中首脳会談の開催に中国側の瑕疵はなかったと強調したいためでもあるのだろう。

日中のさまざまなレベルでの交流が減っているのは、「日本の要人と会うことそのものが中国国内ではリスクになるから」(外務省筋)で、日本批判の報道が相次ぐのは「そうあってほしいという中国側の願望でもある」(同)。もちろんこうした筋書きが世界に広がっているわけではない。

ちなみに、米中首脳会談で習主席の横に位置した王毅氏は「外交面では習主席から全幅の信頼を置かれているのだろう」(同)との評価が聞かれる。かつて日本大使を務めた経歴などを意図的に出さないようにしている、との見方は関係者の間では有名だ。

日中首脳会談の“位置づけ”の違い

米中の間で見られた「すれ違い」は、実は日本と中国の間にもある。

中国にとって首脳会談は、相手国との関係を見定めるためのもので、良い関係か悪い関係かをトップがどのように位置づけるかが何より重要だ。個別の政策課題は首脳同士の関係の善し悪しで進んだり停滞したりする。

一方の日本は、首脳会談での具体的な成果の有無や共同文書の中身などが焦点になる。要は「見出しが立つかどうか」だ。

いわずもがな、今の日中関係は当面改善する兆しはない。国際会議での首脳会談も見通せない。外務省で中国語を専門とする、いわゆる“チャイナスクール”と話しても前向きな話はほとんど聞かれず、事実上のお手上げ状態だ。

権力者は虎から降りられない?

中国には「騎虎難下」ということわざがある。いったん虎に乗ると降りにくくなる、転じて引くに引けなくなることの例えだ。

いまや習主席の側近と呼ばれる幹部にも摘発が及ぶ事態は、指導部内の権力闘争の激しさを容易に想像させる。その地位を不動のものにした権力者でも、乗った虎から降りたくても降りられない事情があるとすれば、その心境は複雑かもしれない。

【執筆:前FNN北京支局長 山崎文博】

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山崎文博
山崎文博

FNNプロデュース部長 1993年フジテレビジョン入社。95年から報道局社会部司法クラブ・運輸省クラブ、97年から政治部官邸クラブ・平河クラブを経て、2008年から北京支局。2013年帰国して政治部外務省クラブ、政治部デスクを担当。2021年1月より北京支局長に。その後2024年から国際部長を経て現職。入社から28年、記者一筋。小学3年時からラグビーを始め、今もラグビーをこよなく愛し、ラグビー談義になるとしばしば我を忘れることも。

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