サッカー日本代表初のドキュメンタリー映画『ONE CREATURE』が6月5日に公開された。北中米ワールドカップの開幕を目前に控え、日本代表への関心が高まる中、作品そのものにも注目が集まっている。
カタールW杯後の1287日に迫る
筆者は、公開に先立つ6月1日、東京都内で行われた特別試写会を取材した。
試写会には、日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長や岸枢宇己監督らが登壇。宮本会長は作品について、「後世にも残っていくようなレガシーになる映像、記録になってほしい」と期待を語った。
映画では、2022年カタールワールドカップ後から、北中米ワールドカップ直前までの1287日間にわたる日本代表の歩みが描かれている。
日本サッカー協会が記録してきた「チームCAM」の映像や独自取材をもとに構成されている。
森保一監督をはじめ、遠藤航や堂安律、上田綺世、鎌田大地、板倉滉、三笘薫ら、代表の主力選手が登場する。
描かれるのは勝利の瞬間だけではない。
アジアカップ敗退の悔しさ、代表選考の重圧、チーム内競争、そしてワールドカップを目指す日々の積み重ねだ。
ドイツ戦、ブラジル戦、イングランド戦など近年の名勝負も振り返りながら、日本代表が現在地にたどり着くまでの過程が描かれている。
「代表26人」だけの物語ではない
印象的だったのは、今大会のメンバーに入っていない選手たちも数多く登場することだ。
三笘薫をはじめ、負傷や選考によって本大会の舞台に立てなくなった選手たちも作品の中にいる。
現在の日本代表は、本大会に出場する26人だけで作られたチームではない。
カタール大会後の約4年間、多くの選手が競争し、支え合い、その積み重ねが現在の森保ジャパンにつながっていることが伝わってくる。現在の代表チームが、多くの選手やスタッフの積み重ねの上に成り立っていることを改めて感じさせる。
森保監督が信頼される理由
作品を通して強く感じたのは、森保監督と選手たちの関係性だ。
監督と選手の距離感は近い。しかし馴れ合いではない。
選手たちは監督への信頼を口にしながらも、自ら考え、自ら判断する姿勢を持っている。
鎌田大地や堂安律らの言葉からも、森保監督が単に指示を出す存在ではなく、選手たちから信頼を集める存在であることが伝わってくる。
選手たちと年齢差のある森保監督が、なぜこれだけ若い世代から支持されているのか。作品を見ていると、その理由が少し分かった気がした。
頭ごなしに押し付けるのではなく、選手を尊重しながら同じ方向を向く。40代の筆者にとっても印象的な場面の一つだった。

タイトルの「ONE CREATURE(ひとつの生きもの)」とは、そうした個性の集合体を表現したものだろう。
個々の能力が高いだけではなく、チーム全体がひとつの方向を向いている。現在の日本代表の強さの理由が垣間見える。
