東日本大震災の後、宮城県内では人口減少が進み、鉄道やバスなどの移動手段に乏しい交通空白の地域が広がっています。買い物や通院など日々の暮らしをどう維持していくか課題となる中、モビリティを活用し、持続可能な社会を目指す取り組みが進んでいます。

トヨタ自動車が静岡県裾野市に建設を進める、実証都市「ウーブン・シティ」。

トヨタの関連企業のほか食品、製薬、ロケット開発などさまざまな企業が参加し、実際に人が暮らす環境下で、未来の自動車や自動車事故ゼロを目指した交通インフラの研究などが進められています。

こちらは、今年4月から稼働が始まった「インベンターガレージ」と呼ばれる施設です。

記者リポート
「こちらのインベンターガレージは、トヨタ自動車東日本の東富士工場をリノベーションしたもので、今でも工場の名残りが残っています」

この場所では、参加企業が製品を試作したり、それらを迅速に検証できるスペースなどが備えられていて、実証実験の加速化が期待されています。

「僕は、自律走行ロボットのcocomoだよ」

大衡村に本社を置くトヨタ自動車東日本がここで実証実験を進めているのが、自律走行ロボット「cocomo」。

食料品などを収納した状態で、一度に、最長30キロほどを走行することができます。

東日本大震災の後、住宅の高台移転に伴い、買い物などが難しくなった人の声を受け開発が始まり、3年前の女川町を皮切りに、「ウーブン・シティ」でも、実用化に向けた実験が進んでいます。

トヨタ自動車東日本 ロボット・AI開発担当 山根五月さん
「震災後に高台移転をしたことで、買い物や日々の暮らしの中で移動課題がたくさん生まれていると学び、このロボットを使って何か助けることができないか、貢献を考えている。ウーブン・シティのなかは、実際のまちを模した道路や横断歩道や住宅があるので、実験室よりもリアルな環境で開発ができます」

モビリティの活用で持続可能な社会の実現へ。

南三陸町では動き出している例もあります。

この日、町内の社会福祉協議会で行われていたのは、町民と山形県のNPO団体との交流です。

参加した人たちが交通手段として利用していたのが、デマンドバス、いわゆる「予約型の乗り合いバス」。

3年前、町やトヨタ自動車東日本、地元の事業者などが集まり、始まりました。

利用者がスマホなどで時間や行き先を入力すると、AIが効率的なルートを選び出し、最短15分で配車されます。

町がこうした交通手段の確保に力を入れた背景には、深刻化する“少子高齢化”があります。
震災前、1万8000人ほどだった南三陸町の人口は、今年3月末時点で、約1万1000人と7000人近く減少。高齢化率も40%を超えています。

一人暮らしで車を持たない高齢者も多く、デマンドバスは、地域のつながりを守る重要な存在になっています。

町民
「89歳になりましたから、去年、運転免許証を返納した。事故を起こしたら大変だと思い、それでこのデマンドバスに出会った」

山内あい子さん(89)
「月に5、6回は使っているね」
Q.何に使いますか?」
「スーパーとか買い物。世間話をしたり、友達同士で1日楽しんでいる」

山あいの入谷地区に住む、山内あい子さん(89歳)。

一人暮らしで車は持っていません。交流会を楽しんだ帰り道も、もちろんバス。スーパーで買い物をしてから自宅に帰ります。

山内あい子さん(89)
「買い物したよ、カツオの刺身」

今後も人口減少が進む中で、地域の暮らしやつながりをどう守っていくのか。

行政だけでなく、地域に生きる民間企業も、その在り方が問われる時代となっています。

トヨタ自動車東日本 地域共生推進グループ 徳永さくらさん
「色んな声を聞いて課題を見つけながら、自分たちにできることは何か、解決策を一緒に考えて行ってきた。トヨタ自動車東日本がやりたいことを地域に押し付けるのではなく、まずは地域が考えていること、やりたいことをベースとしながら、一緒に課題解決に向けて取り組んでいきたい」

仙台放送
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