職人の高齢化などによる担い手不足が続く建設業界に新たな可能性です。
雲南市で3Dプリンターを使った建設技術の実証実験が始まり、その様子が公開されました。
雲南市掛合町に現れたのは、高さ5メートル、幅、奥行きの8メートルの巨大なフレーム。
ノズルから出てくるのは生コンクリート。
何重にも重ねて、高さ2メートルほどのパーティションを備えたベンチを作っていきます。
実はこれ、巨大な3Dプリンター。
「実物大」の建物を作るための実証実験です。
5月25日、関係者に公開されました。
実験を行うのは、東京の企業「V3D Asia」。
3Dプリンターを使って建物を作る技術を開発し、東南アジアを中心に公共施設や住宅などを建設した実績を持っています。
実証実験は国内での普及に向け、日本の気候や建設環境、規制に適した技術を確立するのが目的で、会社によると、実際の建設現場で3Dプリンターを使って施工する実証実験は、国内で初めてだということです。
V3D Asia株式会社・小野和宏会長:
日本でのオペレーションでのコストやオペレーション上での問題が分かりますので、これを今後、大々的に展開するときの基礎情報としてやっていければ。
田淵木萌記者:
こちらは3Dプリンターで印刷された部品です。直線や曲線を自由自在に印刷できます。
従来は熟練した職人の技が必要な曲線の造形も、3Dプリンターなら正確に短時間で完成。
国内で調達可能なコンクリートやモルタルを使うことで、低コストで実現できます。
ただ、一方で課題もあります。
この技術では最大400平方メートル、20メートル四方の大きさまで作ることができますが、プリンターを稼働させるには、建物の外側にフレームを組む必要があり、特に都会地では、そのスペースの確保は容易ではありません。
そこで会社が目を向けたのが、地方での展開。
雲南市で地域おこし協力隊員として活動している一級建築士の小堀祥仁さんの紹介で、敷地の提供など地元の建設会社の協力を得ました。
中澤建設・中澤太輔専務:
雲南市では、過疎化だったり人口減少というところがいち早く起きてるということもありますので、より喫緊の課題になっているという状況。
国土交通省によると、建設業で働く人のうち、55歳以上が約4割を占める一方、29歳以下は約1割にとどまり、高齢化に伴う担い手不足が大きな課題となっています。
加えて、資材の価格や人件費も上昇。
現場では、作業の効率化や人手を減らすための工夫が一層求められています。
雲南市地域おこし協力隊・小堀祥仁1級建築士:
離島で建設資材だったり、あるいは職人さんも本土から輸送してこないといけないような条件不利地域にこういった新しいテクノロジーが入ると、非常に有意義なんじゃないかなっていう意味では、ここで実証事業を始めることがすごく価値あること。
会社では、今回の実験を通じて、地方の建設会社との協働の可能性も探り、将来は国内でも3Dプリンター工法を広げていきたいとしています。
実証実験は5月31日まで行われ、完成したベンチは公開されしばらくの間、自由に利用できるということです。