ごみや騒音などさまざまな問題が指摘されている特区民泊。

受付停止が29日に迫って大阪市を取材すると、申請が駆け込みで行われている実態が見えてきました。

さらに急増する特区民泊と、その先にある課題に迫ります。

25日、午前8時半の「特区民泊」の申請会場。

【記者リポート】「船場センタービルの地下1階です。まだ電気もついていない午前8時半なんですけど、すでに長蛇の列ができています」

ずらりと並んでいるのは、「特区民泊」の申請にやって来た人、その数なんと30人以上です。

■「特区民泊」9割集中の大阪 29日で新規受付停止

「特区民泊」は、インバウンド観光客の受け皿として期待され、10年前に“国家プロジェクト”としてスタート。

ホテルや旅館に必要なフロント設置が免除されるなど、さまざまな規制緩和のメリットにひかれて多くの事業者が参入しました。

そして、その9割以上が集中しているのが大阪市。

【民泊の近くに住む人】「ガラガラガラね。いつも大きな音して、荷物を運ぶでしょ。言葉が通じない」

【民泊の近くに住む人】「ここで座ってたばこ吸うんですよ。心優しき隣人が掃除するしかない」

しかし、ゴミや騒音トラブルのほか“容易な移住の手段として利用されている”などとして批判が殺到。

そのため大阪市では去年、新規受付を5月29日で停止することを発表しました。

■5月だけで1000件以上の見通し 駆け込み申請

事態は収束するかに思われましたが、先週、申請現場を訪ねると…。

(Q.きょうは何をしに?)
【申請に来た中国人】「民泊の申請。もう最後ですから」

【申請に来た中国人】「やっぱり民泊、最後のチャンスなんですけど、申請しすぎやな、過剰すぎ」
(Q.なんでそうなった?)
【申請に来た中国人】「私たち外国人のせいかな」

「最後の駆け込み」で今、これまでとは比較にならない勢いで申請が急増。

大阪市で認定されている特区民泊は8360件(3月末時点)ですが、4月だけで申請が434件寄せられ、5月は1000件を超える見通しとなっているのです。

■“駆け込み申請”めぐるトラブル

そしてこの“駆け込み申請”をめぐっては、すでにトラブルも起きています。

大阪市福島区のある物件が、町会長の男性によると「地元への説明会が開催されないまま、民泊として許可がおりた」というのです。

事業者側が大阪市に提出した資料には、説明会に6人が出席し、「理解を得られた。特に質問もなかったです」との記載があり、さらに説明会の案内は「訪問して手渡した」などとも書かれています。

しかし、受け取ったとされる人を取材すると…

(Q.説明会のポスティングはあった?)
【近隣住民】「ないですね」
(Q.インターホン押されたりとか?)
【近隣住民】「記憶がないですね」

【近隣住民】「インターホン鳴らしたら、(画面に)顔も出るはず。何時何分も(記録に)出るはずやけど、それ自体も全然ないんでね。不安とかより、怒りの方が多い」

住民らは大阪市に対し、申請許可に反対する意見書を提出しましたが、市によると事業者は4月、自ら申請を取り下げたといいます。

関西テレビの取材に対し事業者は…。

【事業者の代表】「住民を不安にさせたことは申し訳ありません。説明会の有無については、当時の担当者が辞めていて、確認が取れませんが、物件は今後、売却も検討しています」

■特区民泊の物件乱立の西成区 「空き家は全部売れたのでは」

締め切り直前でも続く住民と事業者とのトラブル。

これまでも特区民泊の物件の乱立が課題となってきた西成区を訪ねると…。

【近隣住民】「もう空き家は全部売れたのでは」

天下茶屋駅周辺のこのエリアでは、締め切り目前でも工事の音は鳴りやまないといいます。

(Q.『5月で終わる』とアナウンスされたが?)
【民泊に囲まれた場所に住む人】「だからほっとしていたんですけど、それでも建っています。そこに足場組んでいるところありますやろ?あそこも今やってますわ」

■「駆け込み申請する」物件を取材

「newsランナー」取材班は、締め切り直前に「駆け込み申請する」という物件を見せてもらいました。

【記者リポート】「富士山を眺めながら檜風呂を楽しめるこちらのお風呂なんですが、こちらご覧ください。まだ檜風呂は設置されていません。急ピッチで準備が進められています」

1泊10万円で貸し出すという外国人観光客向けのこちらの民泊物件。

オーナーが寝室を見せてくれましたが、床には養生がされたままです。もともと夏のオープンを目指していましたが、申請に間に合わせるため作業を前倒し。

ドライヤーや調理器具など申請に必要ではない備品については、開業後に揃えることも検討中です。

■「ビザの取得」が目的で民泊運営

さらにもう1つ、案内してもらった物件を取材すると、駆け込み申請が今後もたらしうるリスクが見えてきました。

【ウエストエリア行政書士事務所 大久保太一代表】「海外の方、台湾の方が取得された物件。ビザを目的として取得し民泊をされる」

なんと“ビザの取得を目的”にした依頼がいまもあるというのです。

【ウエストエリア行政書士事務所 大久保太一代表】「今回取得される方は、日本語能力がまだない。数年かけて日本語能力を習得し、将来的にはビザ取得を目的とされているのかと思います。

現状しっかり運営している方や、しっかりした事業者はネガティブなことはない。苦情もないというのは、まずお伝えしたかったこと」

■“本来の目的ではない”民泊経営のリスク

一方で専門家は、こうした民泊経営が本来の目的ではない外国人の物件が増加すると、「将来的にさまざまなリスクがある」と指摘します。

【特区民泊の問題に詳しい阪南大学 松村嘉久教授】「本来の民泊は、“家の一室を住みながら貸す”という形なので、家主が同居して管理するというのが本来あるべき姿です。

しかし、認定業者の4割強ぐらいが外国籍の方なので、“追跡しにくい”というか、土地家屋の所有者・運営者がはっきりしない。そんな状況がすぐに生まれると思います」

“駆け込み申請”でさらに急増する見通しの「特区民泊」。

受付は止まっても、そのリスクは街の中に残り続けます。

(関西テレビ「newsランナー」2026年5月25日放送)

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