辺野古沖での転覆事故を巡り、文部科学省が政治的中立性を定めた教育基本法に違反すると指摘したことについて、有識者は「教育現場の萎縮に繋がりかねない」と懸念の声をあげています。
文科省と有識者それぞれの見解からこの問題を考えます。
松本洋平 文科大臣:
辺野古への移設工事に関する学習について、現時点で把握した情報からは、政治活動を禁じる教育基本法第14条第2項に反するものであった
3月、名護市辺野古沖で船が転覆し女子高校生を含む2人が死亡した事故で、先週、松本洋平文科大臣は、京都府の同志社国際高校に対して研修内容が「教育基本法に反する」という見解を示しました。
松本洋平 文科大臣:
船長が日常的に抗議活動を行い、生徒らを乗せる船が抗議船であるという認識を教員の相当数が持っていた中で、抗議船による見学プログラムを組み実施していた。ヘリ基地反対協議会による座り込みをお願いする文章を掲載していたこと、生徒の考えが深まるような様々な見解を十分に提示していなかった
松本大臣は今回の判断の理由をこのように述べ、京都府に学校を指導する通知を出しました。
琉球大学の山口剛史教授は、文科省の判断についてはかなり踏み込んでいて、平和学習の萎縮に繋がりかねないと指摘します。
琉球大学 山口剛史 教授:
今回のその通知が、反対運動とか抗議活動の声を聞いたら違反になるかもというような、学習そのものをやっぱり萎縮させる効果のほうが強いんじゃないか、全国の学校に対する影響を懸念したというのが率直なところ
山口教授は、抗議現場や参加者の思いを学ぶことを特定の政党の政治活動として問題視することは、国策に反対することが中立性を逸脱するという誤ったメッセージになりかねないと指摘します。
その上で、山口教授は「生徒の学習状況を長いスパンで見ることが必要」としています。
琉球大学 山口剛史 教授:
例えば基地問題であれば、国防か人権かでそこをどのように折り合いをつけたり、合意形成するか。長いスパンで、子どもたちも自身が判断していく材料をもって、学びを繋いでいくのか、自分で判断していくのかっていうのがとても大事なことだと思うんですね
また、山口教授は今回の文科省の判断により、生徒たちの政治的な教養を育む学習の機会が失われてしまわないかと懸念しています。
琉球大学 山口剛史 教授:
議論の余地があるからこそ、沖縄では多くの人が声を上げて、県民大会をしたり、県知事を選んだり、色んな政治選択がそこにはある。政治に関わると危ないというようなことを植え付けてしまうというか。教育基本法の実現という所から、どんどん遠のいてしまうのではないか
山口教授は、教育現場での安全管理の徹底は不可欠だと強調し、学校については今回の研修が適切なプログラムだったのかや、生徒の安全管理についても検証して、今後のあり方を示す必要があるとしています。