縦画角のショート動画に「沖縄戦を語る大学生」の字幕が浮かぶ。その大学生が読谷村役場の前を歩きながら、沖縄のイントネーションでかつての戦争のことをやや速いテンポで語っていく音声がかぶさる。

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琉球大学に通う20歳の大学生・豊原悠太朗さんはSNS上で沖縄戦に関する動画を制作し、インスタグラムに投稿している。2026年4月にアカウントを開設して以来、総再生数は130万回を超え、フォロワーは1万人。若き発信者がデジタルネイティブの視点から戦争の実相を伝えようと試行錯誤を続けている。

「若者に刺さる」ための試行錯誤

「読谷のビーチには石碑がちゃんとある。キラキラした沖縄も良いけど、裏側も知ってほしい。一緒に沖縄を歩いていこう!」

豊原さんの動画の語り口はスマートフォンの画面の向こうから、同世代に語りかけるような距離感だ。映像の長さやテロップの表現にも同世代の目に留まるよう工夫を凝らしている。

「リール動画は長かったら見てもらえないので。どうやったら若者に刺さるかなと。記憶の継承が難しくなっていっている。体験者もどんどん減っていくなかで、自分が何かできることがあるんじゃないかな」

動画では、公開されている沖縄戦当時の写真や映像を織り交ぜながら、自らの言葉で戦跡の背景を解説する。たとえば、かつて激戦地となった首里城を取り上げた動画ではこう語る。

「沖縄戦当時、日本軍の司令部は首里城の地下にありました。第32軍司令部壕です。このように、首里城公園内に『トーチカ』があります。これが沖縄戦当時の首里城の映像なんだけど、これやばいよな。マジで首里城ってことが一切分からない。そのくらい粉々に破壊されました」

自分の足で歩いて事実を確かめる

新たな動画を撮影するため、糸満市にある「轟の壕(とどろきのごう)」を訪れた豊原さん。

沖縄戦で激しい砲撃から逃れるための避難先となったのは「ガマ」と呼ばれる自然洞窟。轟の壕は米軍が壕の地上部分を制圧し、内部へ爆薬やガソリンを流し込んで掃討する「馬乗り攻撃」を仕掛け、多くの住民が犠牲になった。さらに、狭い壕内では旧日本軍の兵士による住民虐殺もあったとされている。

「ガマや自然のものは、当時とあまり変わっていない。聞いてきたガマの中での悲惨な話が、ここに来ることによって身をもって実感できる。自分たちの家の近くに、こんな場所があるんだ、沖縄戦は各地で起きていて、身近にあったんだというのを感じてもらいたい」

撮影をサポートする同級生の谷添隼己さんは、豊原さんの活動に同行する中で自身も沖縄戦と深く向き合うようになったという。

「小学生ぶりだったんですけど、沖縄戦や平和について考えるのも。悠太朗の想いにつられて。(動画発信は)『戦争を忘れさせない』という本当に良い機会だと思います」

次世代へバトンを渡す等身大の言葉

豊原さんの活動が宜野湾市立大山小学校の教師の目に留まり、同校に平和学習の講師として招かれた。教壇に立った豊原さんは、自分と子どもたちの年齢差が近いからこそ響く等身大の言葉で、かつて戦場に動員された少年たちの悲劇を語りかける。

「軍人となって戦って命を落としました。年齢は14歳とか15歳と言われている。衝撃を受けてさ、こんなに悲しいことが、こんなに平和な島であったんだって。悲しくなった」

大山小学校の松田朝樹教諭も、若き発信者がもたらす新しい教育効果に期待を寄せている。

「動画の教材を使いながら、子どもたちに刺さるような、考えたくなるような発信の仕方。(悠太朗さんのように)自分で調べる、自分で聞きにいくということを、子どもたちにも学んでほしい」

子どもたちに一番伝えたいことは何か。豊原さんは力強く言う。

「沖縄戦の記憶と記録が、無くなりかけています。つなげていくのは、俺らの世代。みんなにも、近くの公園とか洞窟にある戦跡について『ここはこういう所だよ』と話せるようになってほしい」

あふれかえる情報の中で「正しい情報を発信する」

あらゆる情報が瞬時に飛び交う現代のSNSの手軽さに伴うある危うさを、豊原さんは自覚している。だからこそ、自ら調べ、自分の足で現地を確かめてから言葉を発することを最も大切にしている。

「広まりやすく、誰でも作りやすい分、間違った情報が流れやすいと思うので、まず正しい情報を発信者側は発信する。(見た人も)疑問に思ったことは自分で調べてみて、情報を選んでいく、探していく姿勢が大事だなと思います」

スマートフォンに流れる短い動画は、歴史の重みに触れるための小さな「入り口」に過ぎない。しかし、その入り口があるからこそ記憶のバトンは次の世代の手に渡っていく。

沖縄戦の記憶を決して風化させないために、若き発信者は、新しい時代の感性と手法を駆使しながら、過去と未来をつなぐ試みを続けている。

沖縄テレビ
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