広島大学の博物館では、全国的にも珍しい学生が作り上げる企画展が開催されています。
「生き物の魅力を伝えたい」という学生たちのアツい思いに追まりました。

【来館した子供たち】
「モササウルスの牙!」
「説明してくれて色んなことが知れたなって思いました!」
「今の鹿より角が長いことが分かった!」

今年、20周年を迎える広島大学・総合博物館。
子供たちが熱心に耳を傾けるその先で…、語りかけているのは学生ボランティアです。
彼らが今、手掛けている企画展示のタイトルは、「いのちのサバイバル展」。

【生物生産学部4年 土山壮大さん】
「2つの生き物を対比するような形で展示を作っています。テーマとしては生き物の食べる食べられる関係をメインのテーマとしています」

学生ボランティアのチームの名前は、広島ユニバーシティミュージアムの頭文字をとった「フムズ」。
毎年、1から学生が主体的に企画展を開いています。
こうした学生メインの取り組みは、大学の名の付く博物館では全国的にも珍しいといいます。
学生たちは、とにかく博物館と生き物が好き!
「この大きいたぬきみたいな生き物、何かわかる?アライグマ!お!正解!」
大学のカリキュラムではなく学生たちはボランティアで博物館に携わっています。
与えられる「学び」ではなく、自ら考えたことにチームで取り組みます。

【生物生産学部4年 土山壮大さん】
「僕が担当したところでいうと、牡蠣殻の生態系をイメージした。この段差になった展示エリア。魚が専門というか好きなんで、牡蠣殻でしか見えない生態系が見えているんですというのを多くの人に伝えたい、知ってもらいたいなという気持ちです」

テーマを決め…、それに沿った標本や資料を探し出し…。
限りある展示スペースとにらめっこしながら配置を考える…。
正解があるわけではないでも、伝えたいことがあるんです。

【生物生産学部4年 佐賀叶愛さん】
「話し合いは事前にやっていくんですけど、展示設営の時に置いてみないとわからないということがすごく多くあるので」

広島大学の総合博物館を飛び出し、企画展示を行うためその都度、内容や配置を見直します。
思いを伝えるためにはどうすればいいのか?毎回、手探りです。

【生物生産学部4年 土山壮大さん】
「僕らが対象にしているのが小学生中学生なので、やはり難しい単語とかは使えなくて、どうやったら伝わるかなって、小さい子にも伝わる内容にするのは一番考えたりしてますね」

【生物生産学部4年 佐賀叶愛さん】
「間違った情報を伝えることがあってはならないので、その部分を調べてしっかり勉強してという感じです」

来館者の多くは子供たち。
選ぶ言葉も常に、見てくれる人を意識し、「視覚的にわかりやすく」を徹底します。
例えば、パネルに選んだ赤と青の配色は、「食べる」「食べられる」の攻めと守りをイメージしました。
文字の位置は?吹き出しの枠の太さは?見た瞬間の「わかりやすさ」を最大限引き出す努力が続きます。

【片平知里 記者】
「こちらに並べられている展示物、大きなもの小さなもの平面のものや立体のもの大きさ、形がバラバラです」

【生物生産学部4年 佐賀叶愛さん】
「ここに展示物を置きたいってなったら『向きはどうしようか』とか『こっちに移したら横にある展示物が見えやすいよね』とか、そういったことを先輩方・仲間たちと話し合いながら決めています」

「フムズ」のメンバーは、自然科学系の学部以外にも教育学部や文学部の学生などが在籍しています。
興味の方向はバラバラ。
でも、その分、刺激しあえる環境があります。

「キャンパス全部が博物館というコンセプトでやっている」
自然豊かな東広島キャンパスにはたくさんの「気づきのヒント」が散らばっています。

【生物生産学部4年 槇原咲月さん】
「横向いたらいなくて、雨上がりだからきのこが生えてるなって思ったり、季節によって雨の日の後だったり、日によって環境の変化があるので、植物、景色の変化とか面白いと思います。歩くだけで」
「葉っぱとか見てみると、いろんな形があったりとかそこに虫がいたりとか、そういうのもひとつひとつ気づくことができて、すごく刺激になっています」

取材中にも…。
「尺取虫がいてすみません」

【生物生産学部4年 槇原咲月さん】
「正直、始めたのは友達に誘われてだったんですけど、例えば目立つものは一番最初に置かれていて、インパクトを高めてたりする。博物館も多いですけどでも、自分でやっていくと作る側の視点っておもしろいなって思って」

展示に学生が携わるようになったのは8年ほど前。
博物館からの提案で活動を始めました。

【広島大学総合博物館 黒島健介 学芸職員】
「博物館で働いているメンバー少ないですけど、自分たちで作る企画展とはまた違って『あ、こういうこと考えているんだ』っていうのが毎回面白くて、出来上がった時にある種感動を覚えるというか、本当に学生さんたちの想像力ってすごいなって改めて思いますね」

その時々の先輩たちが培ったノウハウに、後輩たちが少しずつアイディアを足して…、引き継いでいきます。

一方で学生が関わる大きなメリットの1つに、標本資料の活用があります。
この日は、次回の展示に向け収蔵庫を回る「お宝探し」です。

「ドロムシいけそう…。これ近い気がするな…」

広島大学が収蔵する「はく製」などの資料はおよそ125万点。
多くの資料が倉庫に眠ったままです。

【生物生産学部4年 佐賀叶愛さん】
「これを運ぶのが一番難しくて、たぶん持っていけないかな…」

【広島大学総合博物館 黒島健介 学芸職員】
「毎年違う形で、しかも文理問わずに色んな展示物を考えて出してくれる、博物館の中での活動、地域、社会に出していくっていうのを手伝ってもらっているどころか、自分たち主体でやってくれているのがうれしい」

学生が関わることで、新しい展示の方法を博物館スタッフと一緒に模索でき、展示の幅が広がります。

さらに、最近は学生たちからの提案で地域でのイベントも行っています。

【生物生産学部4年 佐賀叶愛さん】
「展示はあくまで私たちが置いているもの、作っているものではあるんですけど、それを見た人が新しい何か気づき、驚きに出会える場かなと思っています。展示に来られた方々それぞれに背景があって、展示に対する思いも違っていて、多様な学びが提供できればなと思っています」

新しい博物館のカタチを目指す学生たち。
学生視点の「知って欲しい」が、来館者にとっての「新たな気づきの場」へとつながっています。

テレビ新広島
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