春から夏にかけて自転車で出かける機会が増えるこの季節、子どもを乗せて走る保護者に見落としてほしくないことがある。「指が2本分入るくらい緩かった」—富山市の老舗自転車店が親子の自転車を点検すると、ヘルメットのズレから空気圧不足まで、いくつもの"見落とし"が浮かび上がった。今年10月には富山県でも自転車保険の加入が義務化される。装備・乗り方・制度、三つの視点から安全を確かめたい。

「ヘルメット、指が2本分入るくらい緩かった」


富山市内で自転車の中古販売や修理を手掛ける老舗自転車店。販売担当の深見卓司さんは、自転車の青切符制度が始まって以来、来店者の意識が変わってきたと感じている。
「ヘルメットを被らなきゃいけないという意識が出てきた。いいことではないか」

安全点検を求めて店を訪れたのは高田さん親子。元気いっぱいな3兄弟を連れ、昨秋以来ぶりに自転車を引き出してきた。深見さんがさっそく点検すると、タイヤの空気が不足していることが判明した。
「空気が少ない。子どもを乗せると重たく、ふらつきがある」

さらに目を止めたのが子どもたちのヘルメットだ。かぶり方を確認すると、あごひもに指が2本分も入るほど緩くなっていた。
ヘルメットの正しいつけ方 4つのチェックポイント
ヘルメットの着用は年齢を問わず努力義務だが、13歳未満の子どもに対しては保護者が着用させるよう努める必要がある。深見さんが示した正しいつけ方のポイントは次の4点だ。

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頭に合ったサイズを選ぶ
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おでこが隠れる位置にかぶる
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あごひもの余裕は指1本分まで
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頭を振ってもずれないか確認する
「緩かった」の一言が示すように、サイズが合っていても着け方が間違っていれば意味をなさない。定期的な確認が欠かせない。
自転車のサイズも「体に合っているか」が大前提
今回の点検で5歳の侑くんは、乗っている自転車のサイズアップを勧められた。深見さんによれば「16インチか18インチ」が適切という。

サイズ選びの目安は、サドルにまたがったときに両足のつま先、または足の裏が地面につく高さであること。加えて、ブレーキに無理なく手が届くかどうかも重要なポイントだ。体の成長に合わせて定期的に見直す必要がある。
幼児を乗せるルール 「小学校入学後はNG」
高田さん親子のように子どもを乗せて走る際には、明確なルールがある。

幼児2人を乗せて走るには、安全基準を満たした自転車であること、そして運転者が16歳以上であることが条件だ。この条件を満たせば、小学校就学前の幼児を2人まで乗せることができる。

チャイルドシートについては製品により異なるが、前用の場合は体重15キロ以下・身長100センチ以下などの制限が設けられているケースが多い。必ず確認が必要だ。そして見落としがちなのが、チャイルドシートの制限内であっても、小学校に入学した児童を乗せることはルール違反になる点だ。
転倒事故は「走行中」より「止まっているとき」に多い
子どもを乗せている際、事故が多いのは走行中ではなく、止まっているときの転倒だという。高田さんの母親・倫子さんも経験がある。
「次男が一度、転倒したことがある。目を離したすきに落ちた。一瞬だがひやっとした」



安全な乗せ降ろしの手順はこうだ。まずスタンドを立て、手元ロック機能で車体を安定させる。それから子どもを乗せ、シートベルトをしっかり締める。その後に手元ロックを外し、スタンドを上げてから運転者が乗る。降りるときはこの逆の順番で行う。
手元ロック機能を実際に試した倫子さんは「すごい!知らなかった」と驚いていた。多くの自転車に備わっているにもかかわらず、使い方を知らない保護者は少なくない。
今年10月から 富山県でも自転車保険の加入が義務化
もう一つ、忘れずに確認しておきたい制度がある。今年10月1日から、富山県でも自転車保険への加入が義務化される。未成年者の場合は保護者が申請することになる。
加入している火災保険や自動車保険などの特約として対応できる場合もある。金額や取り扱い商品はそれぞれ異なるため、まず手持ちの保険内容を確認することが先決だ。

装備を整え、正しい乗り方を知り、制度を理解する。子どもの命を守るために、この春、自転車を点検する機会をつくってみてはどうだろうか。
(富山テレビ放送)
