国会議員ってどんな人?我々政治記者がよく聞かれる最も素朴な質問だ。
日本には衆・参合わせて700人以上の国会議員がいるが、大手メディアで取り上げられるのは一握りだけ。しかし、熾烈な選挙を勝ち抜いてきた国会議員たちには、全国的な知名度はなくとも、驚異的な能力・特技を持った人や、人間味に溢れた魅力的な人が多い。
フジテレビ政治部は、そんな“知る人ぞ知る”国会議員にバトンリレー形式で連続インタビューし、「日本の国会議員」の実像をお伝えする。
「永田町バトン」第3回の山口晋さんからバトンを引き継いだのは自民党の髙橋祐介さん(45)。札幌市を地盤に活動する当選2回の“若手議員”だ。

「母は政治が大嫌いだった」なのに…なぜ?

髙橋さんはもともと国会議員の秘書だった。その前は、民間企業の営業職。2009年に起きたリーマン・ショックの時に転職を考え、その時、声がかかったのが「議員秘書」という職業だった。

髙橋氏の母方の祖父・原田与作元札幌市長(髙橋氏HPより)
髙橋氏の母方の祖父・原田与作元札幌市長(髙橋氏HPより)
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髙橋さんの母方の祖父は、地元・札幌市で市長を務めていた。髙橋さん自身も札幌に生まれ、祖父の影響で政治の世界に飛び込んだのかと思いきや、そうではない。祖父の選挙活動の大変さを間近で見ていた母は「政治が大嫌いだった」と振り返る。

幼少期の髙橋氏(髙橋氏HPより)
幼少期の髙橋氏(髙橋氏HPより)

母の政治嫌いもあり、髙橋さんは政治には関わらせないと言われて育てられてきたという。「私が秘書になった時も、実家に帰るたびに『いつ辞めるんだ』『政治はもういいだろう』と言われていました」

しかし、秘書として議員の活動を間近で見る中で「ふるさとに帰って国会議員になりたい」という思いが、「ジワリジワリと芽生えてしまった」という。

“政治嫌い”な母親へ伝えた時の様子を話す髙橋氏
“政治嫌い”な母親へ伝えた時の様子を話す髙橋氏

ところで、この話を“政治嫌い”な母親に相談したのか尋ねると、「事後報告でした(笑)」とのこと。自民党の公募に応募し、公認候補となることが決まった際には、母はショックで数日寝込んだそうだ。

目指す日本は「生まれてよかったと思える国」

そんな髙橋議員に日本をどんな国にしたいか尋ねると、「将来を担う子供たちを含め、生まれてよかったと思える国を作っていきたい。抽象的な表現だけれども、すごく大切なことだと思う」という答えが返ってきた。

20代の頃、オーストラリアにワーキングホリデーで滞在していた時のこと。アイリッシュパブの入店を拒否され、その理由を問うと「お前は日本人だからだ」と言われたという。

当時、髙橋さんの周りには「日本人であることを隠す素振りをする若い人が多かった。自分も正直その1人だった」と振り返る。

目指す日本は「生まれてよかったと思える国」だと話す髙橋氏
目指す日本は「生まれてよかったと思える国」だと話す髙橋氏

一方、同じアジアでも「韓国や中国の若者は堂々と自国のことを主張し、語っていた」という。それを見て、日本に生まれたことを誇りに思える国にしなければいけないという思いが高まっていったと話す。

髙橋さんの好きな歌は、ケツメイシの『子供たちの未来へ』。

「この業界に1人で入った時に聴いて、『これだ』と思ったんです」自身のSNS動画にも、この曲が多く使われている。

選挙期間中の「雪かき動画」がプチ炎上

2026年2月に行われた衆議院選挙の期間中、髙橋さんがSNSに上げた動画が突如として話題になる。それは、たすきをかけ、雪かきをしている動画だった。

選挙中、髙橋氏がSNSに投稿した雪かきをする動画(髙橋氏のXより)
選挙中、髙橋氏がSNSに投稿した雪かきをする動画(髙橋氏のXより)

髙橋さんは普段から1人で、人通りの多い場所などの除雪を行っているそうだが、選挙期間に入りスタッフがついたタイミングで普段の活動として、その様子をSNSに上げたところ、プチ炎上したのだ。

「選挙期間中のパフォーマンス、こんな時だけやりやがって!などとえらく叩かれた(笑)」。

SNSに上げた雪かきの動画は198万回再生された一方、自身のやりたい政策を訴えた動画は5000回。

「世の中の関心ってこうなんだなって。これが現実。“見せ方”は考えなきゃいけない」と苦笑する。そして、この「雪かき」だが、実は髙橋さんが解決したい社会課題とつながっていた。

大雪で経済が止まる!解決したい課題は「除排雪」

国会議員として解決したい社会課題は何か?髙橋さんの答えは「除排雪」だった。道路などの雪を脇に寄せる「除雪」と、トラックなどで運び出し雪自体をなくす「排雪」を合わせた言葉だ。

「除排雪」重要だと語る髙橋氏
「除排雪」重要だと語る髙橋氏

特に住宅街が多い札幌市では、道路の外に雪をかき出せばいいというわけにもいかず、「除雪」だけでは対応できない場所も多い。すなわち「排雪」が重要になるが、トラックでの運搬費用を含め多額の費用がかかるのが現実だ。

札幌市では記録的大雪により2025年度は実に約357億円の「除排雪」予算があてられた。髙橋さんは、それでも予算と人手が足りていないと指摘する。

なぜ国会議員が?「除排雪」に取り組むワケ

しかし、地方議員ではなく、なぜ国会議員である髙橋さんがこの問題に着目しているのか。髙橋さんは「国の立場で除排雪をどうにかしたいと言っている国会議員はあまりいないかもしれない」と話す。

そんな中で、髙橋さんは「高市政権は強い経済を作ると言っているが、冬の雪はその『経済』を止める大きな障壁になる」として、国の関与を強める重要性を訴える。

地元から持参した「マイ雪かき」とともに
地元から持参した「マイ雪かき」とともに

さらに、除排雪を担う業者についても「雪が降れば仕事は100%の報酬をもらえるが、降らなければ待機となって7割など、完全にギャンブル。これでは仕事の担い手がいなくなる」と危機感を示し、持続可能な仕組みを自治体レベルではなく国が支える必要があると指摘した。

交通がマヒし物流が滞れば、生活に影響が出るだけでなく、経済が弱くなる―。

さらに髙橋さんは道路の重要性を訴える中で、札幌市の“事情”も説明した。

「札幌は消費地でもあるんです。今は北海道の食料が空輸でその日のうちに東京のスーパーに並ぶ。農家の方々に『札幌は道もちゃんとしていないしコストもかかるし空輸で本州に持っていったほうが高く売れる』という価値観を持たれるのが怖い。しっかり札幌に食料を持ってきてもらう道筋を作るのは国会議員の仕事ではないか」

それゆえ、「国政の立場から安定した除排雪予算をとることが重要だ」と強調した。

国会開会中、地元を離れて国会で過ごす時間が当選前より格段に増えている今、「地元の人々の声を聞く機会が減っていることがもどかしい」と感じながら、髙橋さんは札幌と北海道を往復する生活を続けている。

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政治部
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