田植えシーズンを迎えている富山県内。農家では猛暑対策で暑さに強い品種「富富富」の作付面積を増やした所がある一方で、消費者の人気が根強い「コシヒカリ」をこれまで通り主力とする農家もいます。
不安定な中東情勢などで農業用資材が高騰する中、持続可能なコメ作りを目指す農家の選択が難しさを増しています。
*買い物客は
「二つだったらコシヒカリ。コシヒカリの方がネームバリューがあると思ったから」
*買い物客
「馴染みがあって安心感がある。富富富も美味しくて好きだが、外食は富富富も食べたりする」
*買い物客
「富富富はあっさり過ぎで、もちもち感もなくて、一回食べてみたが、やはりコシヒカリに戻っちゃう」
*買い物客
「(富富富は)ねばねばがなくて、ちょっと甘い感じ(が好き)」
この立山町のスーパーでは「富富富」よりも「コシヒカリ」を選ぶ人が多く見られ、店でもコシヒカリをメインに販売しているということでした。
このような消費者の傾向があるものの、田植えシーズンを迎えた県内農家では、近年の猛暑対策として高温障害や暑さに強い品種「富富富」の作付けを増やしています。
*なかよしファーム 柴垣英己さん
「富富富は去年は2.2ヘクタールぐらいで、今年倍増させた」
富山市西番にある農業法人「なかよしファーム」は47ヘクタールの水田を管理していて、年間およそ230トンのコメを生産しています。
今年はコシヒカリの田んぼの一部を「富富富」に切り替え、5.4ヘクタールに作付面積を増やしました。
*なかよしファーム 柴垣英己さん
「夏場の高温の中、収量があがらなくなっている原因があって、暑さに強いということもあるので、あとは富山県推奨の米なので、コシヒカリよりちょっと(概算金)が高い。これからも富富富を増やしていきたい」
このように夏場の猛暑対策として「富富富」を導入する農家が増えており、県は県内の「富富富」の作付面積は、前の年より570ヘクタールが増え、3379ヘクタールになると発表しています。
しかし、その一方、中山間地にある営農組合ではこれまで通りコシヒカリを主力としています。
*清水営農組合 山崎巌さん
「直売用のものが多いので、コシヒカリはやはり人気がある。」
富山市山田地区にある清水営農組合では18ヘクタールの水田のうち、およそ7割はコシヒカリが占めています。
*清水営農組合 山崎巌さん
「富富富は結構中山間地で、条件を選ぶから、標高の低い方に富富富を植えて、標高の高い所はコシヒカリを植える」
県農業技術課によりますと、砂地が多い土壌環境で栽培開発を進めてきた「富富富」は中山間地の土壌で収量が確保しにくいことがあるとしています。
清水営農組合ではこのような事情に加え、限られた作付面積の中で採算を確保するため、より高く販売できる直売などを見据え、コシヒカリを選んでいるということです。
農家が作付けの品種の選別をより強く意識するようになった背景には、農業資材が高騰していることがあります。
不安定な中東情勢もあり、この2年間で10アールの栽培面積あたりの種もみが2963円とおよそ7割上昇。
肥料は880円、農薬は870円、それぞれおよそ1割以上高くなり、経費が膨らみ利益が出しずらくなっていると言います。
その一方で、現在高止まりしているコメ価格は、今後下がるという予想もあります。
*東京大学大学院農学部 安藤光義教授
「在庫も溜まっていて、消費量も減って、米が余ってるので、下げ圧力は高まっている。(米価は)下げ切れていないと思う」
採算が取れるコメづくりを続けられるのか、農家を取り巻く環境が不透明さを増す中、田植えのピークを迎えた県内農家は不安が増しています。
*なかよしファーム 柴垣英己さん
「農薬にしろ肥料にしろ毎年1割、2割あたり前であがってきます。種の値段もあってきた。原価が上がって売上が減るので苦しくなる」
*清水営農組合 山崎巌さん
「今ちょっと米の値段が上がった。気分は楽になるけど、前にように米の値段が安ければもうアウト。資材はあがるわ、米価がそのままでは一番困る」