中東情勢の緊迫化が、宮崎県内の市民生活や産業に深刻な影を落としている。日本は原油の9割以上をホルムズ海峡経由の輸入に頼っており、不安定な国際情勢の影響は医療現場から農業、食卓にまで波及した。

 原油高騰による影響

医療現場で使用される医療用手袋が不足している。手袋には石油由来の合成ゴム製と天然ゴム製のものがあり、どちらも輸入に頼っているため、入手困難な状態が続いているという。政府は備蓄している医療用手袋を5000万枚放出する方針ということだ。

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また、農業分野にも影響は及ぶ。JA宮崎によると、中東情勢が不安定化して以降、JA宮崎が取り扱う農業用重油の平均価格は1リットルあたり最大で約20円値上がりし、経営を圧迫している。

さらに宮崎県のような車社会においては、ガソリン価格も生活に影響を及ぼす。補助金による価格安定策が講じられているものの、原油価格そのものの高騰が家計の負担となっている。

小売店が迫られる経費削減

宮崎市内にある生鮮食品や野菜を安く販売することを強みとするスーパー「ショッピングのだ」では、販売価格への影響を最小限に抑えるための模索が続いていた。

野田勝社長は「一段上のランクの値上げになるのではないかと言われている。おそらく全ての品の価格が上がってくると思う」と話す。

特に深刻なのが資材の高騰だ。食品用トレイやポリ袋などの資材は、今後現在の2倍の価格になる見通しだという。

ショッピングのだでは、これまで精肉などに使用していた色柄付きの容器をより安価な単色のものに切り替え、経費を抑えている。さらに、パック販売していた一部の魚や惣菜をバラ売りに変更することも検討している。

また、お弁当のフライなどを揚げるための食油やガスも中東情勢の影響を受ける見込みだ。

食卓まで波及する影響に、買い物客からも不安の声が上がっている。飲食店を経営する客は「商売をしている以上は値上がりしても買わざるを得ず、非常に厳しい状況」だと話す。他の買い物客も「安価な店を探して回るしかない。どんどん物価は上がっていくと思う」と話し、物価上昇が続く現状に困惑の色を隠せない。

野田社長は、中東情勢による物価高は円安による輸入品の価格高騰や、人手不足による人件費高騰などとも複雑に絡み合い、経営を圧迫しているという。

ショッピングのだ 野田勝社長:
当然、利益率としては落ちるけど、なんとか自助努力で売価の方にあまり反映しないように、値上がりしないように頑張るつもり。でもどうしても若干の値上げは致し方ないのかなと考えている。

卵の価格高騰と容器代上昇

「物価の優等生」とされる卵も例外ではない。

卵1パックの全国の平均価格は、3月が309円と調査開始以来最も高くなり、4月に入ってからも308円と高止まりしたままだ。

都城市で鶏卵の生産販売を行う「フュージョン」の赤木社長によると、中東情勢の影響で6月からは卵のプラスチック容器が1個につき3円から6円値上がりする見込みだという。また、クラフトテープなども品薄状態だということだ。

さらに、鶏の餌となる飼料用穀物も輸入に頼っており、今後の国内流通量が見通せないことから、餌代のさらなる高騰に強い危機感を示している。

円安や人手不足といった要因も絡み合い、宮崎県内の家計や産業は複合的な『物価高の波』にさらされている。小売店や生産現場が自助努力で価格を抑えようと苦闘する中、中東情勢の先行きは依然として不透明だ。私たちの生活を守るためにも、今後の国際情勢や政府の対応を注視していく必要がありそうだ。

(テレビ宮崎)

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